
アパート経営のデッドクロス問題を回避するためには?
ごくわずかな投資家の方を除ければ、物件を購入される際には、金融機関から「アパートローン」を借りられるのが一般的です。
物件を購入した時点において、減価償却は決まってしまいます。
建物のみで考えた場合、「鉄筋コンクリート造は47年」「鉄骨造は34年」「木造は22年」「建物設備は15年」で均等償却を行いますが、アパート経営におけるデッドクロス問題とは「ローン元金返済>減価償却費」という状態に陥ってしまうことを言いますが、もしこのような問題が発生しまうと、手取りキャッシュが少なくなり、キャッシュフローがうまく回らなくなってしまいます。
不動産賃貸市場は、地方都市を中心として「供給数が飽和」状態となっているため、デッドクロス問題を解消したいと思い、物件売却を検討しても、オーナー様が希望される金額で売却できるかどうかは「未知数」であり、売却できたとしても「ローン残債」を解消できるかどうかは、分かりません。
キャッシュフローが回らなくなると、アパートローン返済はもちろんのこと、税金や保険支払い、又は修繕支払いも難しくなってしまうため、経営が一気に悪化してしまいます。
では、デッドクロス問題を解消するためには、どのような対策を講じればいいのでしょうか?
目 次
1.リスケジュール/借り換えを検討する

デッドクロス状態となっている場合、すでにキャッシュフローがうまくいっていない可能性が高く、場合によっては「自転車操業」をしている可能性が高くなってます。
この状態を解消しない限り、最悪「自己破産」してしまう可能性が高くなるので、支払いがショートしてしまう可能性が高い場合には、すぐに借入先の金融機関に相談し「リスケジュール」を検討してもらうように、お願いするのがベストです。
また、アパートローンの金利が高いと思っていて、借入先の金融機関に相談しても「金利の引き下げは難しい」と判断された場合には、思い切って「借り換え」を検討されてみるのもいいと思います。
リスケジュール/借り換えを行うことによって、毎月の支払額が少なくなるので、キャッシュフローのマイナス化を防ぐことができます。
2.募集部屋に付加価値をつけて家賃値上げする

デッドクロス状態となってしまっていると、キャッシュフローがすでにうまくいっていない可能性が高くなっています。そのような状況下で、退去が発生してしまうと、さらに収益が悪化してしまい、更には募集をしても、その部屋に資産性がなければ、部屋を埋める=家賃発生が難しくなってしまいます。
そこで、空室が発生した場合においては、思い切って資産性を上げる「リノベーション」工事を行い、家賃値上げして募集をすることを提案します。
築年数が経過してくると、例え原状回復やリフォームを丁寧にしても、部屋自体が古くなってしまうため、現状の家賃のままでは「早期に部屋を埋める」ことが難しく、やむなく「家賃値下げ」を検討せざるを得ません。ただ家賃値下げをしてしまうと「負のスパイラル状態」を招くだけとなってしまうため、賃貸経営的にはマイナス化となるだけです。
しかし、リノベーションを行うと、新築物件に対抗できるぐらいのクオリティーをだすことができるため、従前家賃よりも高い賃料で貸し出しても、借り手は見つかります。
さらに工事費用が20万円を超えてくると、経理上「資本的支出」となるため、減価償却することができるため、一石二鳥となります。
3.内部留保が溜まったら、繰り上げ返済をする

内部留保に余裕が出てきた場合には、思い切って「繰り上げ返済」を行うことにより「元金返済額」を減らすことができ、デッドクロス後の資金不足に備えることができます。
ただし、無理してまで「繰り上げ返済」をしてしまうと、資金繰りが悪化することが予想されるため、余裕がある場合のみにとどめておくことが重要となります。
4.売却も検討する

デッドクロスによって、急激にキャッシュフローが悪化し、打開策を講じても結果を出すことが難しい場合には、売却を検討されるのも、ひとつの手です。
売却することによって「譲渡取得税」が発生してしまいますが、所有期間が5年以上の場合では税率が約20%/5年以内の場合は約40%課税されることになるものの、保有していても、打開策を行わない限り、現在の状態が継続されてしまうため、思い切って処分するのも効果的です。
5.まとめ

デッドクロス状態になってしまうと、減価償却費用が少なくなってしまうため、節税が難しくなり、キャッシュフローが難しくなってしまいます。
デッドクロスが生じないようにするためには、減価償却費と元金返済額のバランが重要となります。そのため、築年数が経過している物件においては、減価償却費用を捻出するために、リノベーション工事などを行うことで、資産性/収益向上+減価償却費を捻出することができるため、一石二鳥となります。