低コスト空室対策の危険性
更新日:2022年9月16日
退去が発生した際、退去された方の入居年数が「長期」となってしまうと、きれいにお部屋を使っていただいた方であったとしても、壁紙&床の「日焼け」を防ぐことはできませんので、リフォームやリノベーションを行う必要性が出てきます。
近年においては、「低コスト空室対策」(必要最小限の原状回復工事+ホームステージング)を行うと、早期に部屋が埋まっているケースが多くなっていることから、現在空室対策で悩んでいるオーナー様はもちろんですが、なんと客付けに苦戦している仲介会社社員までもが「教えを乞う」ことがあるとのことですので、恐らくではありますが、この方法をすることによって、成果が出ることは間違いなさそうです。
ただ、特に築年数が経過している物件において「低コスト空室対策」は、長い目線で見た時、非常に危険性を伴うことが予想されるので、低予算だからと言って「安易に行う」ことは、やめたほうがいいのかもしれません。
目 次
1.劣化を見逃してしまう危険性

築年数が経過している物件においては、見た目(目視レベル)上においては、何ら問題がないとしても、場合によっては「目視できない部分」において、劣化が急速に進んでしまい、最悪大事故につながる恐れが出てきます。
これは弊社物件で実際にあったことですが、退去後リフォーム工事をすべく「洗面脱衣所のクッションフロア」をはがそうとしたところ、床が完全に腐っていました。
調べてみると、洗濯機置き場の床下が「完全に腐っていて」よく見てみると、床が完全に斜めになっていました。工事担当者の方に「もしこのまま放置していたらどうなったのか?」聞いてみた所、床が抜けてしまう恐れがあり、大事故につながる可能性が高いとのことでした。
もちろんではありますが、緊急修繕を行い、腐敗していた床は新しいものに交換したので、元の状態に戻すことができましたが、低予算リフォームを行う場合、交換の必要性がないと判断した部分は、そのままスルーしてしまうことが多いため、もしスルーした場所が「劣化」していた場合、とんでもないことが発生してしまう可能性が出てきます。
2.リフォームの質が低下してしまう可能性

低コスト空室対策をしようと思っても、交換がどうしても必要なケースが出てくると、内装屋さんなどに「工事依頼」をかけることがあると思います。
コストが気になるオーナー様の場合、複数社から「相見積もり」をとって、一番費用が安い業者さんに「工事依頼」をかけると思われますが、ただその工事業者さんが「腕がいい」方で「良心的な価格」を提示してくれる方であればいいのですが、工事単価が安い業者さんというのは、「何か裏がある」と考えてもいいはずであるので、本当にしっかりと工事をしてくれるかどうか、懐疑的になってしまいます。
さらに、これはどの業界においても「同じ」ことが言えるのですが、相見積もりを取られるというのは、業者さんにとってはものすごく嫌なこと。そのため「初めて工事依頼をする所」に関しては、単会自体がものすごく高いことが予想されます。
ですので、同じ業者んが工事を行うにしても、よくリフォーム工事を行うところと、所謂一建さんの所とでは、単価自体に大きな差異が生じてしまうので、費用がものすごく高くなってしまう可能性があり得ます。
3.広告料を別途設定しないといけなくなる
上の写真は、弊社所有物件(同一部屋)におけるリノベーション前後となっています。
もし掲載されている部屋が「競合他社」であり、家賃帯もほぼ互角であった場合、当然ながら、お部屋探しをされているお客様は、向かって右側の部屋に興味を示してくれるはずです。
実は向かって左側の部屋のキッチンは、お客様のことを一切考えずに「自分の過去の成功例」をそのまま表現しただけの部屋であり、キッチン内にPOPが設置してあるのは、空士対策で成功された方が「これをしたほうがいい」と言ってくれたことを、そのまま真似しているだけであり、今振り返ってみると「このような掲示物があるキッチンは、見た目上とても悪い」と猛省してしまいます。
低コスト空室対策を行っている物件では、コストをかけずに空室対策を行っているので、当然ながらキッチンも、交換されないことが予想されるので、キッチン周辺をホームステージングすることによって、古さなどを何とか払拭させようと対応していますが、ただ家賃帯が同じぐらいであるならば、当然ながら誰もが「おしゃれで使いやすいキッチン」に注目してしまいます。
そこで、低コスト空室対策を提唱しているコンサルタントの方は、少しでも有利になるように「広告料を通常の倍以上」設定して、何とか成約させようと対応しています。
広告料が倍以上設定されていると、お部屋を募集する側の仲介会社としては、売上アップとなることから、積極的に案内しますが、ただ広告料を倍以上設定されているということは、裏を返せば「通常ではまず成約にはならない物件」であることを、仲介会社に行っているようなものであることから、お部屋のクオリティーがあまりにも悪ければ、広告料が倍以上設定してあったとしても「ご案内しない」もしくは「案内しても、本命物件を成約させるために、捨て駒的な案内」をされてしまう可能性が高くなります。
4.まとめ

空室が埋まらない理由として、よく「家賃が高い」「リフォームがしていない」「設備交換がされていない」等が挙げられます。
確かに、上記に関しては「空室対策をする上で、最も重要なこと」ではありますが、ただ日本一空室率が悪い山梨県で、家賃値上げを目的としたリノベーションに成功・満室経営を実現させた「オーナー」の立場で言わせてもらうと、部屋が埋まらないのは、ズバリ「お客様が住みたくない」と言っているようなもので、お部屋探しをされている方が「どのような部屋に住みたいのか/生活したいのか」をしっかりと具現化できるような部屋を提供することができれば、築年数が古くても、部屋は埋まるものです。
退去後のお部屋にどれだけ投資することができるのかについては、ズバリオーナー様の考え次第にはなりますが、リフォームに予算をかけなくてはならない場合があったとしても、市区町村によっては「利子補給が受けられる融資制度」があるので、それらを有効的に活用することができれは、実質金利1%で借りることができるので、費用負担軽減を抑えることが可能となります。
追伸
低コスト集客のデメリットは、家賃値下げを繰り返すことによる「収益性の悪化」が、一番の懸念材料となりますが、それ以上に深刻なのは、賃貸空室率上昇によって、競争力が低下した物件においては、募集をかけても部屋が埋まりにくくなる点。
家賃値下げ/低コストリフォームをして、空室期間が長期化してしまうと、さらに家賃値下げをしなければならないことから、負のスパイラルに陥ってしまう可能性が高くなります。

取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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