地方都市の賃貸市場は人口減少+物件供給数過多状態が続いているため、空室率が30%台に達している所があります。特に競争力が低下している築年数が古い物件は適正家賃に設定しても、競合他社が価格競争をしているため、部屋が埋まりにくくなっています。
空室改善を図るのであれば、物件資産価値を上げるしか方法はありません。
築年数が古くても物件資産価値を高めるリノベーションを行うことで、収益性や成約率を格段に向上させることができます。
ただ一部の貸主はリノベーションの重要性は理解しているものの、基本的な情報が理解していないため困惑している方もいます。
そこで本投稿は、アパートオーナーが知っておくべきリノベーションの基本についてお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
"リノベーションの基本で重要なポイント”
1.リノベーションのメリットとは?
築年数が経過した物件をリノベーションすることで貸主には様々なメリットが発生します。具体的には下記の3つを挙げることができます。
家賃アップが可能となり収益改善が期待できる
借主の質が格段に良くなる
仲介会社から紹介されやすくなる
それぞれの理由についてみていきましょう。
1)家賃アップが可能に
築年数が経過してくると物件資産価値低下/空室率が悪化してしまい、多くの物件では募集時/更新時に家賃値下げを余儀なくされています。そのため収益性が低下しキャッシュフローが悪化してしまう可能性も否定できません。
一方、リノベーションすると資産価値が向上し目減りが少なくなるため…
従前と比べ家賃値上げが可能
契約更新時家賃値下げ交渉が入りにくくなる
ため安定した家賃収入を得ることが期待できます。
2)借主の質が良くなる
不動産投資を成功させるためには、管理の質の向上は必定です。一般的に築年数が経過している物件は家賃帯が安いこともあり借主の質が悪くなります。
借主の質が悪くなれば騒音トラブルが発生しやすくなり早期退去してしまう可能性が高くなります。
一方家賃帯が高い物件では借主属性がいいためトラブルは起こりにくく、リノベーション物件も家賃値上げを行う物件が多いため、同築年と比べると借主の質は格段に良くなります。その結果トラブル回避&長期入居に繋げられます。
3)仲介会社から紹介されやすくなる
築年数が経過すると物件自体に訴求効果が期待できないため、客付けが難しくなってしまいます。
一方リノベーション物件は築年数は経過しているものの新築並みのクオリティーになっているのに家賃帯がリーズナブルとなっていることから、仲介担当者にとっては客付けがしやすいため積極的に紹介してくれる可能性が高くなります。
2.リノベーション基本情報
リノベーションすることで早期成約&収益性を高めることが期待できますが、一方で費用が高額となり工期も長くなってしまいます。
但し工夫次第で工期&費用を抑えることができます。それでは費用及び期間について詳しく見ていきましょう。
1)リノベーション期間は工事内容で異なる
一般的にリノベーションするとなると、内装や間取り設備交換をしなくてはならないことから、完成までに数か月かかると言われています。
しかし貸主がリノベーション後の家賃設定をどのようにするかによって、工事内容も異なることから工期も異なってきます。
賃貸物件におけるリノベーションは主に
一部分リノベーション
フルリノベーション
の2つがあります。
一部分リノベーション
一部分リノベーションとは、集客する際に絶対に変えたほうがいい「一部の設備や内装のみを交換」することです。
リノベーション個所を限定することで工期短縮が可能となり、工事内容によって差異はあるものの、概ね2~3週間程度で完成します。
なお、一部分リノベーションは家賃アップは難しくなりますが現状家賃で募集するのであれば比較的短期間で成約させることができます。
フルリノベーション
フルリノベーションとはその名の通り、室内の設備や内装、場合によっては間取りまでもリノベーション対応することです。すべてを変えるとなると配管変更も余儀なくされることから、工期は最低でも1か月以上かかってしまいます。
フルリノベーション部屋は物件資産価値を最大限高めることができるため、家賃アップすることは十分可能となります。
ただし新築物件並みの家賃設定をしてしまうと、借主にとってはオトク感がなくなってしまうため、入居促進に繋げることが難しくなるため注意が必要です。
2)リノベーション費用は?
リノベーション費用は、リノベーション内容や劣化症状によって差異が大きくなってしまいますが…弊社実績(2LDK)では、一部分リノベーションの場合でおおよそ100万円、フルリノベーションでは200万円となっています。
3.リノベーションを成功させるためには?
リノベーションすることで資産価値が上がるため、成約率や収益性を高めることが期待できます。リノベーションを成功させるためには、ニーズの把握と差別化を徹底することが求められます。
1)ニーズの把握
SUUMOが発表した2021年実態調査によると、借主が入居する際「築年数と家賃はあきらめている」ことが分かったとのことです。
▶SUUMOが発表したリリース詳細は、こちらをご覧下さい。
つまり築年数が経過していたとしても、物件クオリティーや居住性を意識したリノベーションを行えば入居検討してくれる可能性が高くなること示唆しています。
またリノベーションする際には、成約ターゲットに沿った部屋作りが重要となります。
成約ターゲットを事前に設定した上でリノベーションすると早期成約に結び付けることが容易となりますが、その際に注意しなければならないは、競合リノベーション物件との差別化です。
2)差別化
近年では賃貸空室率が全国的に悪化していることから、リノベーションを行う物件は多くなってきています。
ただしリノベーションを行う際、競合リノベーション物件との差別化を行わなければ、同質化しやすくなり価格競争に巻き込まれてしまう可能性が出てきてしまいます。
リノベーション物件は新築/築浅物件を検討している方をターゲットにしていますが、新築物件は逆にリノベーション物件を脅威に感じているため、徹底的につぶそうと考えています。
そのため新築物件では
ホームセキュリティー
オートロック
インターネット無料化
といった最新設備を充実させて対抗しています。
ランチェスター戦略上リノベーション物件は「弱者」の立場であることから、差別化戦略を打ち出さなければなりません。
しかし、多くのリノベーション物件は「新築物件に近いような設備や内装」「成功しているリノベーション物件」を意識した部屋作りをしています。その結果一部の部屋は空室期間が長期化し、費用対効果が期待できない物件になっています。
徹底的な差別化を図るのであれば、集客ターゲットが確実に興味を示してくれる部屋を作ることです。差別化を図ることができれば、競合物件が過当競争を行っても影響を受けることは殆どありません。
▶差別化戦略に関する詳細は、過去記事をご覧下さい。
4.まとめ
今回は、アパートオーナーが知っておくべきリノベーションの基本についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
リノベーションすることによって築年数が経過した物件でも、収益性や資産性が高くなるため利益を残すことができやすくなります。
但しニーズを把握した上で差別化を徹底しないと、家賃値上げしても借主は納得してくれないため、空室期間が長期化になってしまいます。
弊社物件も築年数が経過していることから、2018年から差別化リノベーションを展開。その結果2年後から増収増益を達成+2022年度はアパート家賃収入及び利益が過去最高を更新することができました。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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