繁忙期なのに空室部屋が埋まらない。これって管理会社のせい?
更新日:2022年9月21日
不動産賃貸業界は、毎年1月~3月が最大の繁忙期を迎えます。
この時期に空室部屋が埋まらないと、場合によっては「空室期間が長期化」する可能性も、決して珍しい事ではありません。
不動産賃貸業界も、繁忙期は「様々な入居キャンペーン」を展開して、一人でも多くの方に入居してもらうように、対策を講じているものの、募集をしていても「反響が得られずに、空室が埋まらない物件」は、必ずと言ってもいいほど、あり得る話。
このような話をしてしまうと、「これはあくまでも物件を管理している管理会社が、しっかりと対応しないからだ」と、つい決めつけてしまいがちになってしまうのですが、では本当に繁忙期に部屋が埋まらないのは「管理会社の責任」と決めつけていいものなのでしょうか?
目 次
1.需要と供給のバランスの崩壊している

不動産賃貸物件の供給数は、全国的に見ても「供給数の方が圧倒的に多い」ことから、空室部屋が全て埋まるということは、決してあり得ません。
特に、地方都市における賃貸空室率は、年々増加傾向となり、弊社物件がある山梨県甲府市における賃貸空室率は、およそ30%。新規物件供給数を制限するか、もしくは人口を増やす/住宅ローン減税の見直しなどといった「ハード的な対策」を行わない限り、賃貸物件供給数は右肩上がりになるのに対し、お部屋を借りる方の割合は、反比例となることから、地方都市においては、今後賃貸の空室率はさらに悪化することが予想されます。
2.賃貸サイトに掲載しても、反響が得られない

お部屋探しをされている方が、仲介会社に訪問する件数は、年々減少傾向となっており、おおよそ1~2件程度となっていることから、募集している物件を早く埋めるためには、大手賃貸サイト上に掲載し、魅力的な部屋にすることが大前提となります。
ただ、築年数関わらず「募集中の部屋」は、どの部屋を見ても「右に倣え」といった感じとなり、差別化がされていないことから、築年数が経過している物件においては、必然的に「価格競争」になりがちになってしまいます。
価格競争になってしまうと、成約ができたとしても、今までと同じ家賃では貸し出すことができないので、必然的に「利幅」が減少してしまいます。つまり損益分岐点を常に高い状態=高入居率を保たなければ、収益が一気に悪化してしまう要素を作ってしまい、さらに家賃の値下げは「質の悪い入居者」も受け入れることになるので、家賃滞納や入居者トラブルが発生しやすくなる物件となってしまうので、負のスパイラル状態になってしまう可能性があり得ます。
3.同質化がさらに空室期間を延ばす

賃貸物件を募集する際、お部屋の状態によっては、リフォームを行うこともあると思います。
ただ、費用対効果のことを考えると、リフォームにかける費用は抑えることが求められますが、これをしてしまうと「原状回復程度」しか対応ができないため、他社物件との差別化を図ることができにくくなります。
差別化を図ることができなければ、どの部屋を見ても「同じような部屋」といった認識をお客様は持たれてしまいやすくなるので、それならば「家賃が安い部屋」を選んでしまいます。
こうなると、価格競争が発生しやすくなってしまうため「家賃をこれ以上値引きすることができない」と値下げに消極的な姿勢をとっていると、エリア内において、その物件だけが家賃が高い状態となってしまうことから、空室期間が長期化になってしまう恐れが出てきます。
4.仲介担当者が勧められる物件になっているか?

募集中の部屋を早期に決めるためには、仲介会社の担当者の協力が不可欠となります。
仲介担当者は、会社から「ノルマ」を課せられているので、仮にお客様が見学したい物件を選んだとしても、その物件では「成約になりそうもない」と判断した場合、おススメ物件を紹介することもざらにあります。現に、契約成績が常にトップの担当者は、最初にあえて「質の悪い物件」をお客様に見せておいて、その次に「成約になりそうな物件」を見せることで、早期に契約をもらえる雰囲気を出しています。
余談ではありますが、弊社物件は「築29年」「和室アリの2LDK」「家賃相場より1万円以上高い」物件となっているため、賃貸サイト上においては「反響が得られにくく」なっていますが、協力仲介会社様も含め、弊社物件で募集が開始されると、皆さんが積極的にご案内をしてくれています。
どうしてこのような現象が発生しているのかというと…
・募集している部屋が、しっかりとリノベーションしている
・女性心をくすぐるような、おしゃれな設備がある
・設備トラブルがあっても、オーナーがしっかりと対応してくれる
・内見させると、高い確率で決まりやすい
このような物件となっているため、当方が知らない間に、弊社物件を積極的に案内してくれる業者様が増えてきています。
5.広告料を出せば大丈夫という考え方

繁忙期に何とか部屋を埋めたいと考えているオーナー様の中には、
仲介会社に広告料を別途支払う
対応をされていると思われます。
確かに、広告料をつけることによって、担当者は「広告料がついている物件」を積極的に案内してくれることから、早期に部屋が埋まりやすい環境となることは、間違いありません。
ただ、賃貸物件数は明らかに供給過多状態となっていること、またお部屋探しをされているお客様の多くは「事前に物件見学予約」をした上で、見学を行うことから、見学先物件が広告料と条件的に同じであれば「積極的に営業活動」を行いますが、そもそも広告料が設定されている物件は、通常の集客では「成約になりにくい」物件に多いことから、広告料をつけた物件が、お部屋探しをされている方にとって「希望条件に合っているか」というと、残念ながら懐疑的と言わざるを得ません。
6.まとめ

いかがだったでしょうか?
繁忙期になっても部屋が埋まらない理由として、物件供給数の増加も一因にはあるものの、それ以上に募集している部屋が「お客様にとって喜ばれていない」可能性が高く、その結果「どの部屋も同じ」ように見えてしまうことから、価格競争になりがちになり、部屋が埋まりにくくなってしまいます。
さらに仲介会社にとって、物件の質があまりにも悪いところは、案内しても契約が流れる可能性が高いと判断して、別の物件を紹介する可能性が出てくることから、もし一日でも早く部屋を埋めたいと考えているのであれば、「担当者から喜ばれるようなおしゃれな部屋」をつくることが、必須となります。

取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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