近年の賃貸業界は物件供給数が全国的に飽和状態となっているため、特に競争力が低下した築年数が古い物件は過当競争になりがちになっています。
少しでも早期客付けを目指すには、反響数を上げることがとても重要となります。
築年数が古い物件には和室が設定されているケースがありますが、賃貸で和室があると反響数を上げることが難しくなるため最近では和室がある物件は殆どないと言っても過言ではありません。
弊社物件は築年数が古く施工当時から和室があります。2018年からリノベーションを行っていますが和室をあえて残しリノベーションしたところ逆に集客上プラスになり、本執筆時の2024年8月20日現在満室状態となっています。
本投稿は弊社物件が和室リノベーションにこだわるワケについてお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.賃貸物件で和室が減少した理由
少なくとも2000年前に施工された2LDK以上の物件には和室が設定されているケースが多かったのですが、近年では洋室化が進み和室がある物件はごく限られています。
和室が減少した理由は以下2点を挙げることができます。
退去時表替え費用が発生する
イメージが悪い
それではそれぞれの理由を見ていきましょう。
退去時表替え費用が発生する
一般的な畳は丁寧に使用していても日焼けするため、退去時に表替えを必ず行わなければなりません。
畳の表替えに関して国交省が平成23年に発表したガイドラインによると…
入居者入れ替わりによる物件の維持管理上の問題であり、賃貸人の負担とすることが妥当
としていますが、賃貸業界の商慣習で表替えは借主負担となっているケースが多いです。理由は賃貸借契約書の特約事項に「表替えは借主負担」と記載があるからです。
近年では退去費用を抑えたい方が多くなっているため、最初から退去費用が発生する和室には入居したくない方が多くなったことが、賃貸和室減少の要因になっています。
イメージが悪い
賃貸和室が敬遠される理由のひとつにイメージが悪いことも挙げられます。
例えば夏から秋にかけては高温/多湿が続くためダニが発生しやすくなります。和室でダニの発生を抑えるには換気/掃除を徹底しなければならないため住みにくいイメージが強くなってしまいます。
また一般的な畳には縁がありますが、縁があることで堅苦しいイメージが先行してしまい室内レイアウトが難しくなってしまうのも敬遠される理由として挙げられます。
2.弊社物件が和室リノベーションにこだわるワケとは?
1)和室が嫌われているのは?
賃貸物件で和室が減少していることは注文戸建て住宅でも和室は少ないと考えるのが自然的ですが、住環境研究所が2019年に発表したリリースによると…
タタミルームの採用率は若い世代ほど高く、年代別では20代が最も多い
ことが分かったとのこと。タタミルームが多い理由について同研究所は客間として使用するのではなく自由に使える「場」のニーズが高くなったからと分析しています。
注文戸建て住宅を購入される年代と賃貸物件を最も利用する年代は同じである以上、賃貸和室が敬遠されるのは表替え費用に問題があるからと弊社代表は考え、退去費用が発生しない和室を提供できれば若い世代でも受け入れられる可能性は十分にあると考えています。
2)和モダン空間が魅力
そこで弊社物件ではリノベーション時和室を洋室に変更するのではなくあえて和室を生かしたリノベーションを展開しています。
リノベーションを機に一般的な畳からおしゃれでモダンな琉球畳に変更しています。琉球畳に変更することで…
堅苦しさがなく室内全体が広く見える
畳を交互(縦向き/横向き)に置く事で市松模様を楽しめる
一般的な畳と比べ日焼けがしにくいため、退去時表替えが原則不要となる
ベージュ色を採用することでリラックス効果が期待できる
ことから和室生活に慣れていない若い世代でも受け入れられるため、入居促進効果としても期待できます。
3)借主の声
琉球畳を敷いている部屋に入居されている借主は、和室についてどのように感じているのでしょうか?弊社物件では入居後の暮らしを調査すべく一部借主に取材しています。
昨年8月に入居された借主は、和室に関して次のように述べています。
私、娘とも和室に強い抵抗がありましたが、琉球畳は縁がなく更に部屋とマッチしていたので抵抗を感じることはなくとても気に入っています。もし通常の畳だったら敬遠していたはずです。
▶上記取材の詳細は過去記事をご覧下さい。
4)凹みは大丈夫?
畳は重い荷物を載せてしまうと凹みが発生しやすくなり、場合によっては元に戻すことができません。つい先日3年間入居された方が退去されましたが、畳に凹みなどは一切なくまた日焼けも全くありませんでした。
万が一畳交換が必要になったとしても対象部分を交換するだけなので、従前と比べるとランニングコストを抑えることができます。
3.まとめ
今回は弊社物件が和室リノベーションにこだわるワケについてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。
賃貸で和室があると集客上不利になるイメージが強いですが、ただ和和室を敬遠している方は少なく表替え負担を改善出来れば、和室を洋室に間取り変更しなくても何ら問題はありません。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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