
競合他社賃貸物件に勝つための差別化戦略とは?
更新日:2022年12月26日
一部の地方都市では「物件供給数が飽和状態」となっているところがあり、このままの状態が続くと、空室率が40%台になるのは時間の問題。
これは地方都市に限ったことではなく、大都市圏であったとしても「人口減少する可能性」がでてくることから、対岸の火事的な感覚で静観していると、痛い目にあってしまいます。
マーケティング的に、市場が飽和している状態の中で「勝ち抜く」ためには、差別化戦略が重要と言われていますが、賃貸業界に限って言うと「まだまだアナログ的な集客」を持続しているような感じとなっているため、物件によっては集客に苦戦している所もあるはずです。
弊社物件がある山梨県は、日本一空室率が悪い県。さらに弊社物件がある甲府市大里町は「1990年代に建てられた賃貸アパート」が乱立し、価格競争が激化しているので、競争がとても激しくなっています。
このような状況下の中、築30年目を迎える弊社物件では、差別化戦略が功を奏し、家賃相場よりも高い賃料設定をしていても現在満室経営を継続中です。
本投稿は、弊社物件が実践して成功した「差別化戦略」の方法について、お伝えさせてもらいます。
▼目 次
1.差別化戦略を始めようとした理由

弊社物件では、他の物件と比べると「退去リフォームを積極的」に行っていたこともあったので、比較的早期に部屋が埋待っていました。
しかし、2017年の繁忙期。
今まで通りの集客をしても、部屋が殆ど埋まらなかったため、集客方法を全面的に見直しました。
部屋が埋まらない理由について、顧客が創造するような部屋になっていないと判断し、その後キッチンと畳を変えて募集したところ、すぐに成約となったことから2018年に新しいリノベーションブランド:エレガントルームを立ち上げ、収益性の改善を図ろうと決意しました。
▶弊社物件が再生するまでの過程については、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと①
【過去記事】【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと②
2.物件専用公式サイトの開設で価格競争回避

物件を募集する際、大手賃貸検索サイトに物件情報をアップしてもらうように、仲介会社にお願いすることになります。
同サイトはお部屋探しをされている方が利用しているので、条件に該当すれば反響を得られやすくなり早期成約も決して難しくはありません。
しかし、築年数が経過している物件は「家賃帯が勝負」となってしまうため、どうしても価格競争になりがちになり、値下げができなければ成約候補から外れてしまいます。
また、同サイトを利用するとなると仲介会社がランニングコストを支払わないといけなくなるため、反響率が悪い物件は掲載終了となってしまうリスクがあります。
リノベーション事業を立ち上げた2018年に、物件公式サイトを立ち上げました。
弊社物件は家賃相場を無視した集客を行っていることから大手賃貸検索サイトでの集客は難しいと判断し、それならば独自で集客した方が成約率は高くなるのではと思い、公式サイトを開設しました。
開設当初はホームページのSEO対策が不十分なため、反響はあまり多くはなかったものの、SNSからの反響は一定数ありました。
その後SEO対策を強化するため、パソコン管理を外部委託した結果「表示回数が急増」し、今ではホームページからの反響が多くなってきています。
独自集客を確立したことで、当方が希望する家賃帯で募集~成約させることができたため、収益性を高めることに成功しました。
3.徹底した差別化リノベーション
(1)集客ターゲットを絞り込む
2018年よりリノベーション事業を開始した弊社物件ですが、まず行ったのは「集客ターゲットを徹底的に絞り込む」ことです。ペルソナ設定ともいわれていますが、ターゲットが気に入るような部屋を作らなければ、早期に部屋を埋めることは難しく、さらに家賃相場より高い部屋を「借りたい」という気持ちに持って行くことはできません。
ファミリータイプ物件の場合、ご入居される方の多くは
20~30代のカップル、新婚さん、お子様が2人ぐらいまでのご家族
が圧倒的に多く、また「成約決定権は完全に女性(奥様)」が握っていることから、20~30代女性(奥様)が100%に気に入るような部屋を作れば、訴求効果は十分期待できると判断し、ナチュラルテイストに特化したリノベーション部屋を作りました。
▶集客ターゲットを明確にする重要性に関する詳細は、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】アパート経営で成功したいなら、しっかりとした顧客を選ぶべきです
(2)お客様の声で実現した「セカンドライン」
弊社リノベーションは、基本的にフルリノベーション対応とし家賃を値上げして募集しています。
リノベーション事業を始めた当初、内見に来た方から「部屋自体は気に入っているが希望家賃オーバーになっている」との声を多数頂きました。
そこでリノベーション個所を限定的にすることで家賃帯をリーズナブルにした「セカンドライン」を製作し募集した所、早ければ1週間で成約させることに成功しました。
そこで3棟あるうちの1棟=M棟で空き部屋が発生した際は、セカンドラインで募集しています。
▶セカンドラインに関する詳細は、プレスリリースをご覧下さい。
築古物件を魅力的にする「Elegant Room」セカンドラインを始動 甲府市の賃貸アパート「グレイスロイヤル」
(3)暮らし方のご提案ができるリノベ部屋
近年では、他社物件でもリノベーションを行っている所がありますが、他社リノベーション部屋と弊社リノベーション部屋の「決定的な違いは、暮らし方のご提案」ができる点です。
例えば、今年は「原油価格の高騰」「おうち時間の増加」などによって、電気代がとても高くなっています。特に夏場は「エアコンを使用する時間が多い」ので、家計を圧迫させてしまいます。
ご存知の通り、エアコンは「冷房設定温度を低く」することによって、消費電力が多くなり、電気料金も高くなってしまいます。
弊社リノベーション部屋の内、上級グレードの部屋においては、自然素材の漆喰を施工しています。漆喰を施工することによって、調湿効果が期待できることから、冷房温度を低くしなくても、快適に過ごすことができるため、無理しなくても節電をすることができてしまいます。
▶漆喰の効果に関しては、過去記事をご覧下さい。
4.差別化戦略をした結果、どうなったか?

(1)黒字決算が続く
2018年以降、空き部屋を随時リノベーション対応したことによって、フルリノベーション部屋においては、家賃8~10%値上げに成功し、またセカンドライン部屋においては、家賃据置で募集しています。
おかげ様をもちまして2020年以降は増収増益を達成し、さらに今期(2023年度)はアパート収入が過去最高を更新することができました。
(2)メディアからの取材が多くなる
弊社が手掛けるリノベーション事業は、競合他社では中々真似することができず、さらに収益性を高めていることから、毎年必ずと言っていいほどメディアから取材が来るようになりました。
2022年度においては
から取材依頼があり、充実した一年となりました。
(3)客付けがしやすくなる
弊社リノベーション部屋は、家賃相場を完全無視しているものの、室内のクオリティーに関しては、自信を持って紹介することができますが、仲介会社にとって「室内がおしゃれで訴求力がある」物件は、積極的に案内・紹介したくなります。リノベーションをしたことによって、管理会社直営の仲介会社はもちろんのこと、他社仲介会社からも反響を頂くことが多くなってきました。
5.まとめ

差別化戦略をする場合において、一番重要なこととは「妥協してもいい部分といけない部分」をしっかりと見極めることです。
築年数が経過している物件を再生させるには、リノベーションしか方法はありません。
ただリノベーションするとなると、費用が嵩んでしまうため、予算オーバーになった場合には、どこかを削るしか選択肢はありません。その時「妥協してはいけない部分を妥協してしまう」と、部屋自体が統一感がなくなり、訴求力が低下してしまうので、空室期間が長期化してしまいます。
▶弊社が推奨するイノベーションに関しては、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】賃貸業界における「イノベーションのジレンマ」とは?
【過去記事】マネジメントとイノベーションなき賃貸物件は確実に衰退します
今回ご紹介した内容は空室対策上とても有益な情報です。
ただ本記事を読んだだけでは「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。
過度なメール配信、強引な営業活動等は一切行なっておりませんのでどうか安心してご相談ください。


取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
あなたのアパート経営を支援させていただきます!
▶︎〒400-0053 山梨県甲府市大里町2090
▶︎まずはお気軽にお問い合わせください
055-241-2218
090-8514-3562