
満室経営を実現するならば、家賃値下げはするべき?
更新日:1月12日
サブリース契約ではない「集金管理」物件では、空室が発生してしまうと、その分の家賃入金はなくなってしまうことから、収益を少しでもよくするためには、空室期間を可能な限り「抑える」必要が出てきます。
空室期間を短縮させる、最もポピュラーな対策としては、募集時/または更新時に「家賃値下げ」を行うことです。
家賃値下げを行えば、例え数千円であったとしても、お客様の立場で考えば「オトクに感じる」のは確かであることから、成約/更新しやすい物件になると思われます。
ただ満室経営を実現するために安易に家賃操作などをしていると、いずれ必ず行き詰ってしまい、経営が難しくなってしまいます。
▶アパート経営を左右してしまうポイントに関しては、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】見逃しがち?アパート経営の年収を左右する6つのポイント
▼目 次
1.家賃値下げは、収益を悪化させるだけ

募集し続けていても、部屋がなかなか決まらない場合、管理会社担当者から「このままでは空室が長期化してしまう可能性が高いので、この際家賃を値下げしてみたらどうでしょうか?」といった相談をされることがあります。
仮に家賃を値下げして成約ができたとしても…
家賃を値下げすると、元の家賃に戻すことができない
ネット上でも確認できるので、他の入居者様からクレームが発生してしまう
家賃値下げの一番怖いところは、値下げした情報を他の借主が「確認」してしまうと、自分達が住んでいる部屋より「安くなっている」ことから強硬な方は「管理会社にすぐクレーム連絡」をしてしまいます。
さらに家賃値下げをしてしまうと、結果的には他の部屋にも「同様の対応」をとることになるので、結果的に「成約できたとしても、収益が悪化」するだけとなってしまいます。
▶上記詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
賃貸業界における「家賃下落」に関しては、「築年数が1年経過するたびに、家賃1%下落する」と言われています。もしこのような対応をとってしまうと、年間家賃収入はどうなってしまうのでしょうか?
仮に、家賃5万円の部屋が10戸、満室状態が続いていて、毎月のアパートローン返済が10万円とした場合
| 新築 | 築10年目 | 築20年目 |
振込家賃 | 50万円 | 45万円 | 40万円 |
アパートローン | 10万円 | 10万円 | 10万円 |
手取り家賃 | 40万円 | 35万円 | 30万円 |
アパート経営における固定費としては、「固定資産税」「火災保険料」が最も大きい支出となるため、これらを月割りにして計算した場合、アパート家賃収入が減少してしまうと、手取り額も少なくなってくることから、満室を達成するために家賃値下げする行為をしてしまうと、自分の首を絞めてしまうことになってしまいます。
2.家賃値下げは、入居者の質を悪くする

家賃が値下がりとなれば、誰もが喜びます。
ただその代償として、借主の質が確実に低下してしまいます。
1)入居審査が甘くなる
家賃値下げを頻繁に行えば必然的に借主の質も低下してしまいます。
そのため、過去に滞納歴がある方が入居してきやすくなりますが、賃貸管理をしっかりしている物件では、滞納歴がある方は基本的には断る傾向が強いです。しかし、家賃値下げを行っているような物件では、滞納歴があったとしても「背に腹は代えられない」ため、入居許可を出してしまう可能性があります。
実際問題として、過去に滞納歴がある方は、入居後も滞納癖が抜けきれずに滞納してしまう方がいますので、注意が必要です。
2)家賃滞納リスクが上昇
近年では「約8割の物件で家賃保証会社」を使っている言われています。
保証会社を利用することによって、万が一滞納が発生したとしても、保証会社が代位弁済してくれるため、実質的には家賃滞納は発生しません。
ただし、保証会社では基本的に「家賃滞納が3か月以上続く」と、強制退去に向けた手続きに入りますが、滞納する方の特徴としては先程紹介した通り、入居審査時において過去に対応歴がある方が多いです。
司法判断で強制退去が決定されると、裁判所から派遣された執行官立ち合いのもと、強制退去が行われますが、複数人が物件に立ち会うことになるため、物件価値が低下してしまうことは避けられません。
▶家賃保証会社詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】確実に債権回収を図りたいなら、家賃保証会社は付けるべき
【過去記事】家賃保証会社利用物件がどうして増加傾向となっているのか?
3.家賃値下げ物件は、いずれ誰も住まなくなる

1)キャッシュフローが回らなくなり、設備投資ができない
家賃値下げばかりしていると、当然ながら利益を確保することが難しくなってしまいます。さらに今の時代、需要より物件供給数が飽和状態となっているエリアが多いため、家賃値下げをし続けてしまうと、募集をしても「部屋が埋まりにくく」なってしまい、最悪キャッシュフローが回らなくなってしまいます。
こうなってくると、設備投資をしたくても「資金」がないため、さらに空室期間が長期化してしまう「負のスパイラル」状態が続く事はもちろんのこと、値下げばかりし続けたことによって、物件を処分しようと「売却」しようと思っても、売却できない/売却できても二束三文程度の値段しかつかない恐れがあります。
2)告知義務対象物件になるかも?
家賃値下げ集客のデメリットとして「入居者の質が悪くなる」ことを、先程お伝えさせてもらいましたが、弊社物件を管理している管理会社担当者の話によると、とあるエリアにある物件1階に入居中の方は、「迷惑行為(騒音)」をしている方で、その物件の2階は常に募集を行っていますが、誰も入居しません。
その理由は、上階に入居されていた方は生活音にい配慮した生活を送っていたものの、騒音を出している方が因縁をつけて我慢ができなくなって退去されたとのことです。
このようなケースで退去してしまうと、退去した部屋を募集する際には「告知義務」をしなければなりません。告知義務が発生するような物件にはだれも住みたくはないと考えますので、結果的に空室期間が長期化してしまう可能性が出てきてしまいます。
▶告知義務に関してはこちらもご覧下さい。
入居したら隣室から騒音が…契約時に“隣人問題”の告知義務はない? 弁護士に聞いた
4.価値を上げることが、満室経営の基本

堅実な満室経営を行いたいのであれば、物件の価値を上げるしか方法はありません。
家賃値下げは、貸主の一存で簡単に対応することができます。
ただ家賃値下げすることによって、「物件価値低下」「収益悪化」「物件及び入居者の質が低下」してしまうだけとなるので、誰も得することはありません。
価値を上げる方法としては、退去後に「リフォームやリノベーション」を行うのが最適と言われています。弊社物件は築年数が経過していることから、2018年から空き部屋を随時リノベーションを行っています。
リノベーションを機に家賃値上げをして募集しているものの、家賃以上に物件価値の方が上回っていることから入居希望者が多くなり、その結果2020年以降増収増益+満室達成することができるようになりました。
▶弊社リノベーションに関しては、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと②
5.まとめ

満室達成させるために家賃を値下げしても、利幅減少→キャッシュフロー悪化/借主の質が低下→トラブル、家賃滞納リスクの上昇を招くだけとなり、さらに売却しようと思っても売却価格が下がることを意味しているため、安易な家賃値下げは百害あって一利なしと言えます。
弊社物件では築年数が経過しているため、リノベーションを積極的に展開していますが、差別化リノベーションを行うことで物件資産価値を高めることができ、その結果家賃値上げしても入居希望者が多くなり、利幅を増やすことに成功しました。
おかげ様をもちまして、弊社の取組はメディアから多数の取材を頂いております。弊社の取組をわかりやすく説明していますので、興味がある方はこちらをご覧下さい。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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