家賃値下げしたほうが結果的にオトクとはならない理由
更新日:2022年9月25日
賃貸物件を募集する際、可能な限り「空室期間」を作らないことが非常に重要となります。
特に、1月~3月は「賃貸業界にとっては最大の繁忙期」であることから、この時期に部屋が埋まらないと、空室期間がどんどん伸びてしまう可能性が出てきます。
一般的に、間会社では「お問合せや見学数が少ない」「周辺家賃と比べて募集家賃が高い」場合には、家賃値下げをお願いすることがあります。

オーナー様としてみたら、家賃値下げをする行為は「物件の資産価値を下げることにつながる」ので、反対される方の方が多いと思いますが、ただ理論上においては「家賃を下げた方が結果的にはオーナー様の収益改善」させる効果があると言われています。
例えば、同じ建物内において、家賃10万円の部屋が2つあるとします。
①募集開始6か月後に部屋が埋まり、3年間入居した場合
・入居期間は12か月×3年+6か月=42か月
・家賃合計=360万
・実質的な家賃=360÷42=約8.5万円
②家賃5000円値下げして、すぐに部屋が埋まり3年間入居
・入居期間…①と同様にした場合、42か月
・家賃合計=399万円
・実質的な家賃=9.5万円

近隣物件より家賃が高い設定で、お問い合わせなどが少ない場合、家賃を値下げすることによって、賃貸サイト上においてすぐに反応が来やすくなることから、エリアによっては家賃値下げをお願いすることがありますが、ただこのやり方は、長期的な視点において、オーナー様には不利な結果を招いてしまいます。
①ご入居者様は意外と賃貸サイトを見ている
意外かもしれませんが、現在ご入居されているお客様の一部は、主要賃貸サイトをよくご覧になっていて、ご自身の物件において「募集が行われて」いる場合には、物件情報などをしっかりと確認されています。
もし、募集中の家賃が、ご入居者様の家賃より「安い」場合、当然ではありますが、現在ご入居されているお客様は「不公平だ!」と憤激してしまいます。一部のお客様は、契約更新のタイミングで「家賃交渉をしてくる」ことが多くなり、管理会社側は「今回募集している部屋の家賃はキャンペーン価格」だから、値引きは難しいと言ってしまうと「受け入れられない場合、契約更新をしない」と、退去カードをちらつかせてしまいます。
このような話になってくると、オーナー様としては「退去してしまうと、家賃が入金されてこなくなってしまう」といった懸念が先行してしまうので、退去になるぐらいならば「交渉条件をのんだほうがいい」といった考えとなり、結果的にはご入居者様の完全勝利となってしまいます。
実はここからが問題で…
・一度下げた家賃は、元に戻すことが難しい。
・値下げをした情報は、ほぼ間違いなく他の入居者にも伝えている可能性が大
であることから、たった1回の家賃値下げによって、他の部屋までも値下げを行わなければならなくなるので、アパートの収益が悪化してしまう可能性が高くなります。
②家賃値下げは、物件全体の質を悪化させてしまう
家賃を値下げすれば、確かに市場はすぐに反応し、問合せや成約につながりやすくなります。ただ家賃を下げることによる代償は、とても大きく「値下げすれば入居者の質」は確実に下がってしまい、入居者トラブルや家賃滞納トラブルを引き起こしてしまいます。
物件でトラブルが頻繁に起きてしまうと、それがうわさとなってしまい、募集をかけても入居してもらえない可能性が高くなります。
③満室になっても収入減少
家賃相場は、一部エリアを除ければ「確実に値下がり」していくことが予想されることから、築年数が経過すればするほど「家賃値下げ要求」は多くなっていきます。機会損失を減らすために、家賃を下げて早期に契約が成立し満室を実現できても、家賃値下げをし続けることによって、収入は確実に減ることになることから、明らかにオーナー様にとってはマイナスになってしまいます。
空室による機会損失を減らすためと称した、家賃値下げ交渉をしてくる管理会社は、ある意味において無能というよりほかはない事から、もしこのような提案をしてくる担当者がいた場合には、担当者を変えたほうがいいのかもしれません。

取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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