適正相場に家賃設定するのが、どうしていけないのか?
更新日:2月14日
賃貸物件を募集する際、現在設定されている家賃が、家賃相場よりかけ離れていると空室期間が長期化したり、また契約更新時に家賃値下げ要求を受けてしまう可能性が高くなります。
そのため物件募集時、家賃相場を意識した家賃設定するところが多くなります。
適正家賃設定を意識することは賃貸経営の基本と言われていますが、ただ家賃相場を意識した集客をしてしまうと、相場自体は築年数が経過するごとに右肩下がりとなっているため、収益性が確実に低下してしまいます。
弊社物件では家賃相場を意識した集客を行えば、確実に収益性が低下すると判断し、2018年から差別化リノベーションを開始し、リノベーションを機に家賃値上げに踏み切りました。その結果2020年以降は増収増益を達成することができ、築年数が経過しているものの安定的な賃貸経営を行うことができています。
本投稿は適正相場に家賃設定することがいけない理由についてお伝えいたします。
▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
"適正家賃を意識しなくてもいい理由”
1.適正相場を意識してしまうわけとは?
多くの物件では適正家賃相場をとても意識しています。その理由は部屋探しをされている方の多くは賃貸検索サイトを利用し、同サイト内にはエリアごとの家賃相場を調べることができるからです。
適正家賃設定にしないと次のようなリスクが増えてしまうと言われています。
1)空室期間が長期化する

上のグラフをご覧下さい。
グラフは、弊社所有物件がある甲府市大里町における「2LDK・家賃相場」です。
築年数が経過すればするほど、相場自体は下落してしまいます。特に築15年を過ぎてくると家賃相場が「一気に下落」してしまうことかよくわかります。
先程もお伝えした通り、賃貸検索サイト上にはエリアごとの家賃相場が調べられるため、希望物件の家賃より家賃相場の方が高ければ、他の物件に流れてしまい空室期間が長期化することが懸念されます。
2)物件内の家賃乖離
築年数が経過すると資産価値は低下してしまいます。そのため家賃値下げはどうしても発生してしまいますが、値下げを繰り返すことによって同じ物件内で家賃乖離が発生してしまいます。
賃貸検索サイトは誰でも閲覧することができるため、借主が自分の部屋の家賃の方が高いことを知ると更新時に家賃値下げをお願いしやすくなります。近年の賃貸市場は完全な借り手側有利なため、貸主が断ってしまうと最悪更新せずに退去してしまうリスクが高くなることから、貸主は適正家賃を意識してしまいやすくなります。
2.適正家賃設定したことによるリスク

物件募集時に適正家賃を意識した集客を行えば、成約率は高くなります。
ただ家賃相場は基本的に値下がりしていくものなので、適正家賃を意識した集客を繰返していくと利幅の減少は確実に発生してしまいます。
利幅が減ることになれば損益分岐点が高くなり、イレギュラーで空室が複数件発生してしまえば一気にキャッシュフローが低下してしまいます。
キャッシュフローが低下し貸主が対処することができなければ、金融機関にお願いしてリスケジュールを検討してもらうようにお願いすることになります。
金融機関側も貸付金が焦げ付かれてしまうのは得策ではないため、リスケジュールを依頼されれば柔軟に対応してもらうことができますが、リスケジュールを行うと貸主の信用度が低下し、さらに新規融資が難しくなってしまいます。
また金融機関側は不動産投資に対する危機感を持っており、2018年7月28日付の朝日新聞ではアパートローン融資を行っている地方銀行にアンケート調査を行っています。
将来の貸し倒れリスクの懸念について、約3割の金融機関はあると回答し、その理由として「融資物件の空室率上昇」「家賃低下」を挙げています。
つまり、適正家賃を意識した集客を繰返しキャッシュフローが低下してしまうと、金融機関側は貸し倒れリスクを回避するために債権回収に打って出る可能性も否定することはできません。安定した賃貸経営を行うためには、適正家賃集客からの脱却が不可欠となります。
3.適正家賃集客から脱却するためには?

1)資産価値を高めるリノベーション
家賃相場が値下がりする最大の要因は、資産価値が低下してしまうからです。
特に築年数が20年を超えてくると物件資産価値は大幅に下落し価格競争が激化します。
しかし、価格競争を行っている物件は「原状回復程度のリフォーム」しか行っていないことから、資産価値を高める部屋を提供することができれば、家賃値上げも十分可能となります。
弊社物件は今年で築30年目。さらに日本一空室率が悪い山梨県にありますが、資産価値を高めるリノベーションを行ったことから収益性を高めることに成功しています。
▶弊社リノベーションの詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと②
2)集客方法の見直し
賃貸業界で価格競争が発生してしまう最大の原因は、賃貸検索サイトです。
同サイトは希望条件を自由に入力することができますが、そのことによって「条件に1つでも合致しない物件」は成約候補から除外されてしまいます。
築年数が浅い物件に入居したい方は、家賃帯や築年数などは特段気にしていませんので、同サイト集客の影響は受けにくくなります。一方で築年数が経過している物件では、家賃が安い物件に入居したいと考えているため価格競争が発生しやすくなります。
弊社物件では2018年からリノベーションを行っていますが
募集部屋の家賃は家賃相場より高い
リノベーションを機に家賃を8~10%値上げしている
事から同サイト内のみの集客では、空室期間が長期化してしまいます。
そこで弊社ではリノベーション事業を開始した2018年から「物件公式サイト」を立ち上げ、独自集客を展開することにしました。その結果、今では入居される方の約8割は弊社公式サイトからとなったため、価格競争からの脱却+閑散期でも安定した集客を実現することができました。
▶弊社集客の見直し効果の詳細は、過去記事をご覧下さい。
【過去記事】【2022年】弊社アパート人気№1リノベーションルームを大公開
4.まとめ
今回は、適正相場に家賃設定することの危険性についてお伝えしました。
賃貸業界は今後空室率がさらに悪化し、今までと比べると集客に苦戦を強いられる物件が多くなります。その結果二極化がさらに進むことになり、競争力に負けた物件は淘汰されてしまいます。
適正家賃設定を意識した集客をしても空室率が悪化してしまえば、部屋が埋まらない物件は確実に出てきてしまうことから、収益性を低下させるだけとなってしまいます。
しかし資産価値を高めることができれば、築年数が経過したとしても安定的な集客を行うことはできます。弊社が築30年目/日本一空室率が悪い山梨県で結果を出すことができたことは、他県でも十分通用することができるはずです。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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