賃貸経営はサブリース契約以外すべての最終決定は賃貸オーナーが握っています。そのため賃貸オーナーの決断次第で賃貸経営の命運は大きく分かれると言っても過言ではありません。
このような話をしてしまうと大多数の賃貸オーナーは委縮してしまいますが、適切な空室対策を行えば実は賃貸経営はうまくいくものです。
本投稿は賃貸オーナーが空室対策で優先すべき施策についてお伝えいたします。
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私の経営する有限会社 山長ではアパートの経営改善、空室対策など賃貸経営者を支援するコンサルティングサービスを行なっています。自己破産寸前の状態から空室ゼロへ、そして安定した入居率を実現するまでに至った経験をもとにオーナー様と一緒になって改善のお手伝いをさせていただきます!
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.空室対策の全体像と基本的な方法
1)空室問題が多い原因
空室問題が発生する原因は近年の賃貸市場は物件供給数の飽和によって空室率が悪化し、客付け強化のために価格競争が生まれます。その結果家賃相場が値下がりし現況家賃との家賃乖離が発生しやすくなるからです。
部屋探しされる方は賃貸検索サイトを活用しています。
同サイトにはエリア内の家賃相場が記載されているため、希望物件の家賃と家賃相場に乖離があると家賃が安い物件を選択する可能性が高く、また家賃予算が合えば少しでも築年数が浅い物件を選択してしまいます。
そのため競争力が低下した築年数が古い物件は、築年数が浅い物件と比べ過当競争が激しくなる傾向です。
2)物件の魅力をアピールする方法
部屋探しされる方は平均3件内見しています。また内見からの成約率は約2割と言われています。成約率を高めるには内見時、物件の魅力を伝えることがポイントとなります。
物件の魅力をアピールする方法としては…
募集部屋をリフォーム/リノベーションする
定期的に物件清掃を行い清潔感を出す
短期電気契約を行い内見時、電気が使えるようにする
契約された方に日用雑貨をプレゼントする(部屋に置く)
などがあります。
3)効果的な設備改善とリノベーションのノウハウ
空室が埋まらないのは部屋の資産価値が低下している可能性が高いです。
特に築年数が20年以上経過した物件の設備減価償却が終了するため見た目以上に古さが目立ち、また機能性や利便性が低下しているため内見時の物件印象が悪くなります。
基本的に築20年以上経過した物件は設備/内装/間取り変更を行うリノベーションを行うと資産価値を高めることができるため、早期客付けが期待できます。
▶リノベーションのノウハウは過去記事をご覧下さい。
2.費用対効果を考慮した空室対策
1)家賃設定と賃料見直しの重要性
賃貸検索サイトからの反響が少ない場合、募集家賃と家賃相場に乖離が発生している可能性が高いです。
賃貸物件で家賃設定を行う際
賃貸事例比較法
積算法
収益分析法
の3つの方法がありますが、賃貸物件で最も採用されているのは「賃貸事例比較法」でエリア内にある似通った条件の賃貸物件の家賃相場を比較して家賃を算出します。
ただ上記は手間がかかるのがデメリットです。すぐにエリア内の家賃相場を調べたいのであれば、SUUMO賃貸経営サポートを活用すれば簡単にエリア内の家賃相場を調べることができます。
家賃相場に近い家賃設定にすると、賃貸検索サイト内の反響数が多くなるため従前と比べ早期客付けが期待できます。
2)礼金・敷金の条件見直しとその効果
賃貸物件に入居される方は契約前に初期費用を支払わなければなりません。賃貸業界には昔からの諸習慣が今でも残っており、敷金/礼金もそのひとつです。
敷金は家賃未払いなどに備え、賃貸オーナーや管理会社に預けておく「担保金」の要素が強いもので、礼金は入居許可を出してくれた賃貸オーナーに支払う謝礼金です。
ただ両者は現在の価値観/ライフスタイルにあっていません。そのため敷金/礼金を無料化することで初期費用が安くなるので入居促進効果が期待できます。
3)コストパフォーマンスに優れたリフォーム・リノベーションアイデア
近年の賃貸業界は物件供給数が飽和状態となっているため、競争が厳しくなっています。そのため早期客付けを目指すなら築年数に応じた空室対策を行う必要があります。
先程もお伝えしましたが、賃貸設備の減価償却は最長で20年となっていますので、現在の築年数が20年以下なら表装リフォーム/20年以上の場合はリノベーションを検討することで空室問題を早期解決が期待できます。
また物件清掃/フリーレント/エアコン交換なども行うと、相乗効果/訴求効果が期待でき内見時の物件印象が高くなるため入居促進効果が期待できます。
▶リフォーム/リノベーションアイデアの詳細は、過去記事をご覧下さい。
3.空室対策における物件管理
1)24時間管理の重要性
賃貸設備トラブルが発生した場合、借主は管理会社に連絡することになっていますが、営業時間外で発生した際、どこに連絡すればいいかわからなくなってしまいます。
大手管理会社に管理委託している物件では、24時間管理になっているため夜間帯/土休日にトラブルが発生してもすぐに対応できるため、管理上のトラブル軽減/顧客満足度を高める効果があります。
24時間管理の管理料は毎月支払っている管理費の中に含まれているため賃貸オーナー負担はありませんが、ただ管理会社によって借主が利用する場合毎月利用料が発生するケースがあります。
2)共用部の清掃と管理
日本トレンドリサーチが飲食店の清潔感に関する調査を行ったところ、店内が汚いことを理由にそれ以来行かなくなったかとの設問に対し、約6割はいかないと回答したとのことです。
つまりお店の第一印象が悪ければ、たとえ料理がおいしくてもリピーター客になってくれる可能性が低いことを示唆していますが、これは賃貸物件でも同じです。
物件外観や共用部清掃が行き届いていないと、清潔感が感じられないため、内見時の物件印象は最悪となってしまいます。事実物件清掃が行き届いていない物件は成約率/空室率は悪化しているため、仲介会社からの評価も低いです。
ただ物件清掃は賃貸オーナーでもできる仕事であるため、物件が自宅から近ければ定期的に掃除するだけで物件印象は格段に良くなり客付けにもプラスになります。
4.物件の魅力を最大限に引き出すアイデア
物件の魅力を高めることができれば、反響/成約率は一気に高くなるため空室で悩むことはまずないと言っても過言ではありません。
物件の魅力をどう高めればいいのか?おそらく多くの賃貸オーナーは自問自答するはずです。
弊社代表が考える「物件の魅力を高める」方法とは、室内インテリアを強化することです。
部屋探しされる方は、内見時「入居後の生活イメージ」を連想させています。そのためリフォーム/リノベーション時に「成約ターゲットとなる方が好むインテリア空間」を作ることで、所謂映える部屋となり魅力的な部屋となります。
リフォーム/リノベーション時に上記のような考え方を持つ賃貸オーナーは意外と少ないのですが、意識することで従前と比べクオリティーが高い部屋を作ることができます。
5.リスクを避けるための空室対策
1)安易なアイデアとやってはいけない空室対策
広告料増額
客付けに強い仲介会社に定期的に訪問営業する
家賃値下げ
ホームステージング
等といった空室対策は効果が期待できる言われています。上記はいずれも「低予算」で対応できるものばかりで早期客付けに成功すれば費用対効果は十分期待できます。
ただ上記空室対策は費用対効果が期待できないと弊社代表は考えています。最大の理由は競合物件も同じような空室対策を行っているため結果的に競争が激しくなり更なる価格競争が生まれるからです。
また上記空室対策で客付けができても、物件管理/借主属性が低下するとトラブル発生率が高くなるため長期入居に繋げることが難しくなります。
2)リスク分析と問題回避のためのチェックリスト
上記空室対策リスクと問題回避させるポイントをまとめると以下の通りとなります。
6.宣伝と募集方法による空室対策
1)効果的な宣伝手法とタイミング
賃貸検索サイトは家賃や築年数などを選択することができます。そのため築年数が古い物件は検索に引っかかりにくくなるため反響数を伸ばすことが難しくなります。
また築年数が古い物件がリノベーションしても「同サイト内のリノベーション定義」に合致しなければ専用ページ掲載ができません。
そこで効果的な宣伝手法となるのが賃貸オーナー自身で物件情報をSNS投稿することです。賃貸物件を利用する機会が多い20~30代は「リアルな情報と時短検索」を求めています。
SNS媒体を使って物件情報を投稿することで、ハッシュタグ検索された方にダイレクトに情報が届くため同サイトと比べ反響数UPが期待できます。
2)仲介会社との協力方法
仲介会社が物件成約させた際に発生する報酬は仲介手数料のみです。売り上げを伸ばすには契約本数を伸ばす以外方法はありません。
ただ内見からの成約率は約2割と言われているため、成約本数を伸ばすにはより多くの物件を紹介するかクオリティーが高い物件を紹介するかの2択となってしまいます。
そこでおススメなのが賃貸オーナー自ら物件紹介/客付けに成功した際、仲介会社にお客様を紹介/契約手続きを代行してもらうことで双方がwinwinの関係となるため、初期費用の一部を緩和してもらうことが期待できます。
7.成功事例から学ぶ空室対策
1)成功したアパートの事例紹介
弊社物件がある山梨県は日本一空室率が悪く、賃貸単体では約3割が空き室と言われています。弊社物件は築年数は経過しているものの表装リフォームを強化していたため、2016年まで客付けに苦戦することはありませんでした。
しかし翌年の繁忙期、今までの空室対策が通用しなくなり客付けに失敗。表装リフォームのみでは資産価値低下を抑えることができないと考えリフォームからリノベーションへと舵を切ることを決意。
翌年からカフェスタイルに特化した差別化リノベーションを展開したところ、2年後から満室+増収増益を達成することがででき本執筆時の2024年2月22日現在満室状態を継続しています。
2)空室対策が成功したワケとは?
弊社リノベーションが成功した最大の理由は
顧客が望んでいる価値と弊社が提供する価値が一致
したことが大きいと分析しています。
弊社物件は2LDK賃貸アパートで借主属性は20~30代の新婚さん/カップルが全体の約8割を占めています。ファミリー物件の場合女性が部屋探しの主導権を握っており、また同年代は…
自宅で落ち着きたい思いが強い
シンプル傾向/空間全体の統一感を重視
していることが花王の調査によりわかっています。そこで弊社物件ではカフェスタイルに特化した差別化リノベーションを展開しています。
温もり溢れるおしゃれなカフェスタイルキッチンは、シンプルナチュラルが好きな方にとっては毎日の料理の時間が楽しくなるばかりではなく、リラックスしたい時には「おうちカフェ」も楽しめるため友達にもつい自慢したくなるキッチンとなっています。
また弊社リノベーションは白を基調としたシンプルなデザインとなっているため、統一感を重視したい方にとっては理想的な部屋と言っても過言ではありません。
自然素材を活用した本格的なリノベーション部屋は、競合物件では提供できないため、資産価値を最大化させることに成功。その結果従前より最大10%家賃値上げすることに成功し、物件周知を独自展開したことによって成約期間を短縮させることに成功しました。
3)改善結果と課題
弊社物件ではリノベーション前と比べ入居率/家賃収入とも大幅に改善させることに成功しました。その一方で弊社物件は築年数が古いこともあるため、新築物件と比べると「収納力」が弱いところが唯一の弱点と言えます。
新規にクローゼットを増設すると費用がある程度かかってしまうため、今後リノベーションを行う際には洋室の一部に壁棚+ハンガーパイプを設置することを検討しています。
▶弊社リノベーション詳細は、過去記事をご覧下さい。
8.まとめ
今回は賃貸オーナーが空室対策で優先すべき施策についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
近年では物件供給数が飽和状態となっているため、築年数が浅い物件であっても客付けに苦戦することがあります。そのため早期客付けを目指すなら空室対策は強化することが求められます。
ただ有効と言われている空室対策は競合物件も行っている可能性が高いため、昔と比べると結果が出にくくなっています。
安定した賃貸経営を目指すならば、顧客が何を望んでいるのか賃貸オーナーがしっかりと把握した上で対策を講じないと今後客付けがはさらに厳しくなる可能性が高くなります。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
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