不動産投資されている方にとって「閑散期中の退去」はできたら避けたいところです。
賃貸業界は5月の大型連休後~8月お盆前/10月後半から12月までは部屋探しされる方が少なくなる閑散期に入ります。
閑散期は需要そのものが少ないため、客付けに失敗すると空室が長期化になりやすくなります。
早期に客付けを図るには空室対策を強化しなければなりませんが、ネット上で謳っている「効果が期待できる空室対策」を行えば期待できるのでしょうか?
本投稿は効果的と言われている空室対策について、検証してみたいと思います。
▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
"効果的と言われている空室対策を考える上で重要なポイント”
1.効果的と言われている空室対策
地方都市の賃貸空室率は深刻となっています。背景には人口減少/賃貸物件の供給数規制がされいないことが挙げられます。
近年の賃貸市場は完全に借り手市場となっています。
そのため早期成約につなげるためには、築年数関係なく空室対策を強化しなければなりません。一般的に効果的と言われている空室対策は、次の4点となっています。
敷金や礼金をなくす
フリーレント設定をする
広告料をつける
管理会社を変えてみる
1)敷金や礼金をなくす
本題に入る前に、敷金と礼金をおさらいしたいと思います。
敷 金
契約時に貸主に預け入れる「担保金」みたいなもの。入居期間中に「夜逃げや家賃滞納」などがなければ、原則退去時には返還されます。
なお賃貸借契約で「退去時には室内クリーニングを行い、その費用は借主負担」とある場合は「敷金から相殺」され、残りが返金となります。
礼 金
入居許可を出してくれた貸主に「謝礼的な目的」として礼金制度が生まれたと言われ、その慣習が今でも残ってます。
礼金は、敷金とは異なり、退去時には返還されません。
敷金や礼金は、築年数/募集条件によって設定の見直しが必要となります。
築浅物件/ペット可物件
新築や築浅物件では、家賃帯が高くても「築浅物件に入居したい」と考える方しか入居してこないことから、敷金や礼金設定されていたとしても「入居の足かせ」にはなりません。
またペット可物件においては、入居期間中にペットによる破損や汚損が考えられるため、借主の退去費用を抑える目的から敷金は設定しておいた方が、ある意味で借主ファーストと言えます。
築古物件
一方、築年数が経過している物件では「家賃予算を抑えたい」と考えている方が多いため、敷金や礼金設定がされていると、入居のハードルが高くなるためめ、見直した方がベストです。
敷金設定しないと「夜逃げや家賃滞納した時大変では?」と思う貸主もいるはずですが、家賃保証会社を利用することで敷金設定以上の効果を期待することができます。
今では約8割の物件で家賃保証会社を利用しています。
家賃保証会社を利用することで家賃滞納や更新料、退去費用の未払いが発生しても、保証会社が代位弁済してくれます。ある意味敷金と同じ意味合いを持ちますので、敷金設定がなくても貸主に不利になることは少ないです。
▶敷金の詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
2)フリーレント設定をする
フリーレントとは、一定期間「家賃が無料」となるサービスのこと。
フリーレントが設定されていると、初期費用の中に含まれている「前家賃の家賃部分」が相殺されるため入居促進効果が期待できます。
ただし部屋探しされている方は「物件力」「築年数」「家賃」「エリア」等を重視する傾向が強いため最初からフリーレントを求めているは、正直殆どいません。
また競合他社物件も同様の対応をしているケースが多いため、空室対策の起爆剤にはなりません。
3)広告料をつける
法律によって仲介会社が貰える成約報酬は「仲介手数料」のみとなりますが、貸主が集客アップの目的として広告料設定をつけると…
成約時「借主から仲介手数料、貸主からは広告料」
がもらえるため積極的に紹介されます。そのため広告料設定は空室対策の起爆剤になると言われています。
しかし、昨今のお部屋探しの特徴としては…
事前に賃貸検索サイトで内見したい部屋を決めてから予約する
広告料物件は反響が少ない物件が多いため、ニーズとマッチしない可能性が高い
ことを踏まえると、広告料設定しても必ずしも早期に部屋が埋まるとは言えません。
▶広告料の詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
4)管理会社を変えてみる
物件入居率/成約率が悪い場合、管理会社の管理能力に問題があると判断しがちです。貸主の中には管理会社を変更したことによって「満室達成」ができた方がいます。
満室達成は歓迎されるべきことではありますが
家賃値下げ
広告料をばらまく
入居審査を甘くする
などを行えば、満室達成の代償として「家賃滞納」「借主トラブル」等を引き起こすことが懸念されます。借地借家法により借主には借家権があるため、トラブルを起こしたからと言って簡単に退去させることはできません。
また管理会社を変更すると「家賃保証会社の契約」「管理会社が提携している家財保険」は自動的に契約終了となるためリスク&トラブル発生率が高くなります。
▶管理会社に関しては、過去記事をご覧下さい。
2.イノベーションなき空室対策は失敗する
社会や企業の発展には「イノベーション」は欠かすことはできません。
しかし大多数の企業は既存製品やサービス拡充に集中するあまり顧客のニーズに気づくことができず、その結果、あとから出てきたアイディアや技術革新に後れを取ってしまうことがあります。
これをイノベーションのジレンマと言います。
賃貸業界における空室対策は、どの物件でも同じようなことを行っています。その結果差別化戦略を打ち出した賃貸物件が出てくると、前掲の空室対策が無力化となり空室期間が長期化になる恐れが出てきます。
▶イノベーションのジレンマについては、過去記事をご覧下さい。
弊社物件は築年数が古く集客に失敗してしまったことから、2018年から空き室を随時リノベーションを行っています。
近年ではSDGsが普及されたこともありリノベーション物件が注目/対応する物件が多くなってきています。
ただ競合物件と同じようなリノベーションを行えば、資産価値を最大化させることができなくなるため同質化→過当競争が発生しやすくなります。
そこで弊社物件では資産価値を最大化させる「差積化リノベーション」を展開し、検索で有利になるよう物件公式サイトを開設しました。
その結果閑散期であっても安定した集客を実現させることができ4年前から増収増益+満室達成することに成功しています。
▶弊社リノベーション詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
3.まとめ
本投稿は効果的と言われている空室対策についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
効果的と言われている空室対策は、クロージング時などでは有効的と言えるものの空室対策の起爆剤とは言えません。
本来の空室対策は「資産価値を最大化させる」ことを意識しなければなりませんが、現在の空室対策はコスト削減を重視しているため同質化になりやすく、効果を最大限させることが難しくなっています。
賃貸市場は今後空室率がさらに悪化するため、客付けできない物件は増加することが予想されます。そのため今までのような空室対策では家賃値下げしても早期客付けは厳しくなります。
今回ご紹介した空室対策は、賃貸経営を今後行っていく上でとても重要な情報となります。
ただ貸主の中には「もっと詳しく空室対策のことを教えてほしい」と思う方も多いはずです。
そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。過度なメール配信、強引な営業活動等は一切行なっておりませんのでどうか安心してご相談ください。
取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
あなたのアパート経営を支援させていただきます!
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