空室対策コンサルタント ㈲山長

2月19日10 分

【2022年】実体験をもとに賃貸リノベーション失敗と対策を解説

最終更新: 4月15日

アパートは築年数の経過とともに避けることができないのが資産価値の低下です。

家賃を維持することができなくなり、値下げを余儀なくされてしまいがちになります。需要と供給のバランスが保たれていれば、少しの値下げを行えば、すぐに部屋が埋まりやすくなるため、集客効果としては期待できます。

近年、地方都市を中心に「賃貸空室率が悪化」していることから、単に家賃値下げをしても、エリア内にある同築年の競合他社が「同じような部屋」を募集してしまうと、同質化してしまうため、空室が埋まりにくくなっています。

しかし、築年数が経過しても、資産価値を高めてくれるリノベーションを行うことによって、家賃値上げが可能となり、差別化できれば、集客においても有利になります。

弊社物件も、1993年築の2LDK物件であることから、2018年以降「空き部屋を随時リノベーション対応」していますが、実のところ軌道に乗るまでは「失敗」の連続でした。

部屋はきれいなのに、なぜ失敗したのか?

今振り返ると、その理由はとても簡単なことで、しっかりと対策を講じなかったのが、最大の原因です。

本投稿では弊社が行ったリノベーションの失敗例と、失敗に対してどのような対策していったのかまとめてみたいと思います。


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私の経営する有限会社 山長ではアパートの経営改善、空室対策など賃貸経営者を支援するコンサルティングサービスを行なっています。自己破産寸前の状態から空室ゼロへ、そして安定した入居率を実現するまでに至った経験をもとにオーナー様と一緒になって改善のお手伝いをさせていただきます!

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▼目 次

1.リノベーション失敗例

 1)予算をかけても、更なる家賃値上げができなかった

 2)予算をケチったことで、怒られた

 3)入居後、配管からニオイが出てしまった

 4)床材が廃番となってしまった

2.リノベーション失敗をどう対策したのか?

 1)予算上限をしっかりと定め、公的融資制度を活用

 2)リノベーションブランドの重要性を再認識する

 3)入居前確認を再徹底する

 4)フロアタイルからクッションフロアに変更

3.まとめ


【本記事でお伝えする結論】

1.リノベーション失敗例

1)予算をかけても、更なる家賃値上げができなかった

弊社物件は3棟所有していますが、2棟はフルリノベーションした上で、家賃を値上げして募集」を行い、1棟に関しては、リノベーションを行う個所を限定的に行うことで、リーズナブルな家賃にしてあります。

今回ご紹介する失敗例は、2019年に行ったフルリノベーション部屋。

2018年より開始したリノベーション事業は、少しずつではありますが、反響数も出てきたため、さらなる飛躍を目指し、2019年にリノベーションを行ったこちらの部屋です。

弊社物件では初となる「タッチレス水栓」をキッチンに取付けました。

タッチレス水栓を取付けることで…

  • 家事効率が向上する

  • 競合物件で同水栓は採用されていない

ことから差別化につながると判断しました。

予算をかければ、家賃はさらに値上げしても成約になると考え、こちらの部屋にかけたリノベーション費用は過去最高額となりましたので、従前家賃と比べて15%UPして募集していました。

結果的にはお客様から「家賃が高過ぎる」と指摘され、家賃を若干値下げしてようやく決まりました。


▶︎筆者の取り組みに関する詳細は下記の過去記事をご覧ください

【過去記事】相続してから空室0にするまでやってきたこと②


2)予算をケチったことで、怒られた

フルリノベーションした部屋では原則として「無垢材で製作したオリジナルの洗面台」が、標準装備となっています。

弊社物件は2LDK賃貸ということもあり、集客ターゲットを「20~30代のカップル/新婚/子育て中のご夫婦」とし、さらに成約決定権はほぼ女性=奥様です。そのため女性客を徹底的に意識したリノベーションを行っています。

しかし2019年に行ったフルリノベーション部屋では費用を抑えようと、本来ならば交換するはずの洗面台を交換せずに、再利用してしまいました。

上記洗面台は、賃貸業界ではよく使用されている既製品ですが、先程ご紹介したナチュラル洗面台と比べると、デザイン性はもちろんですが利便性の部分においても、確実に劣ってしまいます。

こちらのお部屋に見学にこられたお客様は、弊社公式Instagramを事前にご覧になった上で、参加されたことから、奥様から「Instagramで見た洗面台とは違う!」と、怒られてしまいました。

当方としては、期待を裏切るような形となってしまったことを「お詫び」した上で、迷惑料という形で、家賃を少しだけお安くさせていただきました。

3)入居後、配管からニオイが出てしまった

弊社リノベーション部屋のキッチンはもともと使用していた古いキッチンをリメイクしています。キッチン扉とキッチンパネルはリノベーション時に交換しているものの、それ以外のものについては特段変更していません。

お客様に引き渡す前に、管理会社担当者が「室内状況を再確認」し万が一不具合があった時には、引渡し前に必ず修繕を行います。

弊社物件ではいままで引き渡し後トラブルになるといった事故は、皆無に等しかったのですが、2021年に行ったリノベーション部屋において、引き渡し後ご入居者様から「キッチンからニオイが発生する」という、クレームを頂きしました。

管理担当者が確認した時にはキッチンからのニオイについても大丈夫と判断したはずなのに、どうして問題となってしまったのか?

ニオイは人によって感じ方に個人差があるため敏感な方は、少しのニオイでも「違和感」を感じてしまいます。よってこの問題は、どうしても他の物件でも起こり得てしまいます。

ご入居者様から連絡を頂いた後、すぐに担当者が排水トラップと蛇腹ホースを新しいものに変えたことで、ニオイを軽減させることができました。

4)床材が廃番となってしまった

弊社はナチュラルテイストに特化したリノベーションを展開していますが、全ての部屋に自然素材の部材は使用せず、一部は既製品を使用しています。

リノベーション事業を立ち上げた当初は、より本物ぽく見せるため「フロアタイル」と呼ばれる床材を採用していました。弊社が特にこだわっていたのが「ベージュ色のフロアタイル」。

色彩学的に「ベージュは、無意識のうちに筋肉の緊張を解きほぐす」効果があると言われていたので、弊社リノベーション部屋にとってはプラスになると考え、積極的に採用しました。

しかし、弊社が使用していた床材が「廃番」になってしまったことから、今後リノベーションを行う時、どの床材を使えばいいのか苦慮しました。

2.リノベーション失敗をどう対策したのか?

1)予算上限をしっかりと定め、公的融資制度を活用

リノベーションを行うことで物件資産価値が高まることから、家賃値上げはしやすくなります。

しかしリノベーション予算をつぎこんだとしても、更なる家賃値上げは難しいと判断したため、2020年以降に行ったリノベーションは予算上限をしっかりと定め、予算内で施工できるよう事前に工事担当者と打ち合わせをした上で行うようにしました。

リノベーション事業を開始した当初は、徹底的な差別化を図るため、各部屋のドアをすべて無垢材扉に変更していました。

無垢材扉はとてもおしゃれで、お客様から高い評価を頂いていましたが、リノベーション費用が高額となってしまうことから、メインバンク担当者からも「費用を抑えてほしい」と指摘を受けました。

リノベーション当初は無垢材ドアを設置

元々のドアを再利用することで、経費削減

そこで、2020年以降のフルリノベーション部屋においては、ドア部分は取っ手部分だけを変更することによって、コスト削減に成功することができ、結果的に100万円近く費用を減らすことができました。

ドアを再利用したとしても、リノベーション部屋の価値は下がらなかったので、今でもこのスタイルを踏襲しています。

またリノベーションを開始した当時は金融機関から融資を受けていましたが、金融機関から借りると「金利が高い」ため、月々の支払いが高くなってしまいます。

そんな中メインバンクの融資担当者から「公的融資制度を使えば、金融機関で借りるより金利が大幅に安い」と教えていただき、今ではリノベーションに活用させてもらっています。

ちなみに、弊社物件がある山梨県甲府市では「小規模事業者小口資金」というものがあり、こちらを活用することによって、実質金利が1.0%となることから、金融機関で借りるより金利を抑えることができます。

2)リノベーションブランドの重要性を再認識する

弊社リノベーション物件に内見される方は、少なくとも、弊社のリノベーションに興味を持っている方がほとんどです。

特に女性のお客様は、事前にInstagramをご覧になっているケースが多いため、お客様の期待を裏切るような部屋を提供してしまうと、ブランド価値が低下してしまいます。

ブランドの重要性をしっかりと再認識し、フルリノベーション部屋においては、ナチュラルキッチンと洗面台は、標準対応にするよう配慮しています。

【弊社物件公式サイト】

GRACE ROYAL ELEGANT ROOM(グレイスロイヤル エレガントルーム)

3)入居前確認を再徹底する

弊社は大手管理会社に委託していることから、入居前の室内確認は、担当者が行います。

通常はすべて一人で対応していますが、複数人で対応することによって、問題点を発見しやすくなることから、今では二人体制で入居前確認を行っております。

4)フロアタイルからクッションフロアに変更 

今まで使用していた部材が廃番となってしまうと、今後どのような部材を使用すればいいのか、分からなくなってしまいます。

そこで弊社物件においては、2020年以降フロアタイルより安い「クッションフロア」を積極的に採用するようにし、更に色についても、ベージュから白系に変更しました。

白系の床材にすることでフロアタイル(ベージュ色)を採用していた時と比べると、室内空間がより明るくなったことから、内見当日にお部屋申込が入る確率がさらに高くなり、足音などの生活音対策=吸音効果が期待することができます。

賃貸業界における入居後のクレームとして、上階からの生活音クレームはよく発生してします。

フロアタイルは吸音効果が期待できないため、場合によってはクレームにつながりやすくなってしまいますが、クッションフロアは吸音効果があるためクレーム発生率を軽減が期待できます。

3.まとめ

今回は、弊社リノベーション事業の実体験をもとにした「失敗」と、どのように「対策」を行ったのかについて解説させてもらいました。

冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。

リノベーション事業を開始した当初は、どのくらい費用をかければ成約に繋げることができるのか、四苦八苦しながら対応していたことから、費用をかけたことによる成約の効果は、あまりありませんでした。

メインバンクから「リノベーション費用を抑えてほしい」とアドバイスを受けた時、費用を抑えるとクオリティーの低下を招くのでは?と、危機感を感じていましたが創意工夫することによって、結果的に100万円近い費用を圧縮することができました。

部屋のクオリティーを落とさず、かえって集客効果が上がったことから、リノベーションで集客効果を高めたい場合、しっかりと費用対効果を考えた上で行った方が成功しやすいと言えます。

私たち有限会社 山長では本記事で紹介したような手法でアパート経営をするオーナーさんの支援をさせていただいております。

「空室対策をしているのに、なかなか結果がでない・・・」

とお悩みの方は、まずはお気軽にお問合せ下さい。


有限会社 山長 

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント

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