空室対策コンサルタント ㈲山長

2月20日10 分

リノベーションによる賃貸空室対策が今注目される理由は?

近年の賃貸市場は人口減少+物件供給数飽和状態が続いているため、空室率が悪化傾向となっています。野村総研の予測では2040年には空室率が40%前後になるとのことです。

空室率悪化は客付けできない物件が今以上に増えることを示唆するため、生き残りを図るには空室対策を強化しなければなりません。

一昔前は競争力がある築浅物件が非常に人気でしたが、近年では部屋探しの多様化が進み築年数が古くてもリノベーションがされていれば、築年数だけで判断されることが少なくなっています。

そのため最近ではあえてリノベーション物件に入居される方が急増していることから、築年数が古い物件を所有している貸主は積極的にリノベーションを行っているケースが多くなっています。

本投稿はリノベーションによる賃貸空室対策が今注目される理由についてお伝えいたします。


▼目 次

1.リノベーションが空室対策に注目される背景とは?

  1)日本の空室問題とその背景

  2)リノベーションの需要増加の理由

2.リノベーションによる空室対策の具体的な方法とは?

  1)空室リフォームの具体的な工事内容

  2)内装及びフローリングのリフォームとコスト

3.リノベーションによる空室対策の効果とは?

  1)家賃収入のアップと入居率の向上

  2)長期的な経営安定の可能性

  3)物件の魅力の向上と差別化

4.リノベーションに関する重要ポイント

  1)リノベーションローン

  2)リノベーションのポイントとは?

  3)ターゲット設定

5.まとめ


【本記事でお伝えする結論】

1.リノベーションが空室対策に注目される背景とは?

1)日本の空室問題とその背景

総務省 令和4年版情報通信白書より

日本の総人口は2008年をピークに減少傾向が続きます。特に注視すべき点は賃貸物件を最も利用する15才~64才の人口(生産年齢人口)が2050年には約5,200万人(2021年比29.2%減)まで減少します。

賃貸物件を利用する人が少なくなれば、必然的に空室率は上昇してしまうため、今後客付けできない物件は今よりさらに多くなります。その結果客付けができない物件は稼働率が低下し自然淘汰される可能性が高くなります。

これは決して対岸の火事的な問題ではなく、どのエリアでも起こりうる問題です。

2)リノベーションの需要増加の理由

エイブルが賃貸物件に住んでいる20代・30代男女にアンケート調査したところ、築年数の許容範囲について

  • 築年数にこだわりはない

  • リフォームされていれば気にならない

と回答した方が全体の約3割いることがわかりました。背景にはSDGsの普及/部屋探しの多様化が進みデザイン性が優れ家賃がリーズナブルなリノベーション物件にあえて入居する方が増えてきていることが挙げられます。

2.リノベーションによる空室対策の具体的な方法とは?

1)空室リノベーションの具体的な工事内容

賃貸設備の減価償却は長くても20年で終了します。そのためリノベーションを行う場合…

  • キッチン&トイレ本体、洗面台、ユニットバス交換

  • 壁紙/床材張替え

は基本的に対応することで資産価値が高まり早期客付けが期待できます。

また最近ではリビングを広く使いたい方が多いため間取りが「DK」では客付けに不利になります。そのためリノベーションを機にLDKに間取り変更するケースが多いです。

2)内装及びフローリングのリノベーションとコスト

【内装張替】

内装張替えを行う場合、施工面積/使用する内装グレードによって施工費用は大きく異なります。

内装グレードは大きく分けると「量産型」「1000番」タイプとなります。

量産型は大量生産された壁紙のことで1000番台と比べデザイン性や機能性は期待できませんが、単価が安いため内装費用を抑えたい場合は効果的な壁紙と言えます。単価は1㎡あたり1,500円前後が相場です。

一方1000番タイプの壁紙はアクセントクロスともいわれ、量産型と比べ機能性/デザイン性がとても優れています。部屋のデザイン性を高める/アクセントとして使う時とても便利な壁紙です。単価は量産型より高めで1㎡あたり2,000円前後が相場です。

【フローリング張替】

賃貸リノベーション時にフローリングを張り替える際「クッションフロア」「フロアタイル」のどちらかを選択するケースが多いです。

クッションフロア/フロアタイルとも材質は「塩化ビニール」素材で、前者はシート状/後者はタイル状となっています。

クッションフロアはカーペットを敷くイメージで施工するためフロアタイルと比べコストが安く、また耐水性が期待できるためキッチン/トイレ/洗面脱衣所に採用されるケースが多いです。

単価は1㎡あたり2,200~4,500円程度となっています。

一方フロアタイルはタイル状となっているため、1枚ずつ手作業で施工します。そのためクッションフロアと比べ施工費用は高くなりますが、デザイン性に優れているため本物のフローリング感を演出させる効果が期待できます。

なおフロアタイルの単価は4,000円~6,000円と割高です。

フロアタイルは硬く傷が付きにくいことが特徴です。デザイン性にも優れまるで天然木を使用したフローリングのようなリアルな木目柄もあります。

3.リノベーションによる空室対策の効果とは?

リノベーションを行うと資産価値を高めることが期待できます。その結果従前と比べ…

  • 家賃収入

  • 入居率

  • 長期入居

  • 差別化

を図ることが期待できます。それではそれぞれのメリットを見ていきましょう。

1)家賃収入のアップと入居率の向上

原則リノベーションは設備/内装交換を行うため部屋全体に付加価値がつき、同築年の物件と比べると資産価値を向上させることができます。

そのため従前と比べ「家賃値上げ」「早期客付け」が可能となり収益改善させることが期待できます。

なお一点気を付けないといけないのが、資産価値を高めても家賃値上げには限界がある点です。家賃を新築並みにに設定してしまうと、リノベーション物件のオトクさを軽減させてしまい逆効果となります。


▶リノベーション家賃設定の詳細/失敗談は、過去記事をご覧下さい。

【過去記事】【2022年】実体験をもとに賃貸リノベーション失敗と対策を解説

【過去記事】リノベーション家賃設定で重要なこと


2)長期的な経営安定の可能性

リノベーションを行うと資産価値が高くなるため、従前/同築年の物件と比べると室内機能性/利便性が大幅に改善されます。

そのため顧客満足度を高めることから、長期入居/更新時の家賃値下げ要求回避させることができ安定した家賃収入を得ることが期待できます。

3)物件の魅力の向上と差別化

リノベーションでより安定的な家賃収入を得たいのであれば、競合リノベーション物件との差別化は必須です。

今後リノベーションを行う物件は増加することが予想されます。

物件供給が多くなるとマーケティング的に「過当競争」が発生する可能性が高くなりますが、そのため今のうちから競合他社が真似できない魅力的なリノベーション部屋を作り差別化を意識すると、価格競争からの脱却を図ることができます。


▶差別化戦略の詳細は、過去記事をご覧下さい。

【過去記事】競合他社物件に絶対に勝つための差別化戦略とは? 


4.リノベーションに関する重要ポイント

1)リノベーションローン

リノベーションは設備/内装変更を伴うため、費用が高額となり全額キャッシュ払いは厳しい可能性が高くなります。

そのため金融機関から融資を得るケースが多くなりますが、事業系ローンは概ね2%台~となっているため金利負担が大きくなってしまいます。

そこでおススメなのが公的融資をうまく活用することです。居住地の市区町村役場では公的融資制度が設定されていますが…

  • 一般的な事業家ローンと比べ金利が安い

  • 税金滞納がなければ融資が下りやすい

  • 利子補給がついている場合もある

ためリノベーションを検討する際、とても使いやすい融資と言えます。


▶リノベーション融資の詳細は、過去記事をご覧下さい。

【過去記事】賃貸退去リフォームしたいが資金がない!どうしたらいい? 


2)リノベーションのポイントとは?

リノベーションを成功させるポイントは、費用を抑えつつも資産価値を最大化させることです。そのためには以下のポイントを抑える必要があります。

キッチン交換は必須

クックパッドのリリースによると、部屋探しされている方は多少妥協してもキッチンの充実度を優先させたいと考えているとのことです。そのためリノベーションを行う際キッチンは必ず交換しないと早期客付けは難しくなります。


▶キッチン交換の有効性に関しては、過去記事をご覧下さい。

【過去記事】弊社アパートの人気№1リノベーションルームを大公開!キッチン編 


既存設備を有効活用させる

リノベーションは施工箇所が多くなるため、費用が高額となります。費用を抑えつつも資産価値が高い部屋と作るためには、既存設備を有効活用すると効果的です。

先程もお伝えした通りキッチンは部屋探し/資産価値を高める上で交換必須ですが、トイレ本体/洗面台は使用状況が良ければ表装リフォームを強化することで、古さが感じにくくなるため集客上問題はありません。

なお築年数が古い物件の浴室水栓には「2ハンドル」が採用されていますが、同水栓は古さが目立ってしまうため集客上マイナスになります。最新型のサーモスタット水栓に交換することをおススメします。


▶既存設備を生かしたリノベーションについては、過去記事をご覧下さい。

【過去記事】既存設備活用した賃貸リノベーションする際の注意点とは?


3)ターゲット設定

部屋探しされる方は平均3件内見していると言われ、内見からの成約率は約2割と言われています。

成約率を高めるにはリノベーションする際成約ターゲットに沿った室内インテリア空間を作ることが重要です。部屋探しされる方は家具との相性を気にしながら内見しています。

そのためイメージに合致した部屋を提供できれば、早期客付けは十分期待できます。

ただし室内インテリアは男女によって好みが異なります。リノベーションする際現在の間取り/入居者属性から成約ターゲットを設定した上で対応すると、反響が多くな早期客付けに結び付けやすくなります。


▶室内インテリアの重要性は過去記事をご覧下さい。

【過去記事】【成約率アップ】内装デザイン性が高いリノべーションが重要な理由


5.まとめ

今回はリノベーションによる賃貸空室対策が今注目される理由についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。

部屋探しの多様化が進み築年数が古くても所謂「映える」リノベーションを提供できれば、築年数の古さは部屋探しにおいて重要とは言えなくなっています。

ただ今後リノベーション物件は確実に増えることが予想されるため、差別化を意識したリノベーションを行わなければ早期客付け/安定した家賃収入は難しくなります。

弊社物件は築年数が経過していますが、差別化リノベーションを推進した結果、2020年以降増収増益を達成することができ昨年度はアパート家賃収入が過去最高を更新することができました。

今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。

そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。

過度なメール配信、強引な営業活動等は一切行なっておりませんのでどうか安心してご相談ください。


有限会社 山長 

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント

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