部屋探しの多様化により近年の賃貸業界は、築年数が古くてもリノベーションがされていれば築年数だけで物件判断されることは少なくなっています。
リノベーションは借主はもちろん貸主にもメリットがあります。
借主:新築並みの部屋に安く住める
貸主:リノベーションを機に家賃値上げができ収益改善が期待できる
ただ気をつけたいのがリノベーション後の家賃設定。資産価値が高くなっているため従前より家賃値上げが可能なものの、家賃設定を高くしすぎてしまうと逆効果となり空室期間が長くなってしまいます。
本投稿はリノベーション家賃設定で重要なことについてお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.リノベーション家賃設定について
1)ベースは新築家賃の8掛け
冒頭でもお伝えした通り、リノベーションすると同築年の物件と比べ物件資産価値が高くなるため家賃値上げがしやすくなります。
ただ部屋探しされている方は、エリア内家賃相場は確実に確認しています。そのためリノベーション部屋の家賃が新築物件並みになっていると「オトク感がない」「これなら新築物件に入居したほうがいい」と考えてしまいます。
リノベーションのクオリティーを高めたとしても、資産価値の部分で新築物件を超えることはできません。そのためリノベーション後の家賃設定は「新築物件より安く」しないとリノベーション効果を最大化させることができません。
リノベーション後の家賃設定の目安は、新築物件の8掛けがベストと言われています。
2)リノベーションのクオリティー
先程リノベーション後の家賃設定は新築家賃の8掛けがベストとお伝えしましたが、これはフルリノベーションを行った場合のことで、リノベーションのクオリティーによっては家賃調整が必要になります。
弊社物件は築年数が経過しているため、2018年から空き室を随時リノベーションしています。
リノベーション開始当初は原則フルリノベーション対応にしようと思っていました。ただ最初の頃は客付けがうまくいかず内見者から「部屋自体はいいが家賃予算に合わない」意見を多数頂戴しました。
セカンドライン | | フルリノベーション |
6,0~6,2万円 | 従前家賃 | 6,0~6,2万円 |
6,0~6,2万円 | リノベーション後家賃 | 6,6~7,0万円 |
カフェスタイルキッチン | キッチンについて | カフェスタイルキッチン |
照明器具は借主対応 | LDK | ペンダントライト、ダウンライト標準対応 |
そこでフルリノベーション部屋のセカンドラインを作り家賃帯をリーズナブルにしたところ、選択肢の幅が多くなったことで早期客付けがしやすくなりました。
▶弊社セカンドラインの詳細は、プレスリリースをご覧下さい。
3)弊社失敗例
弊社代表はリノベーションクオリティーを高めれば家賃値上げがさらにできると考え、2019年に行ったリノベーション部屋のキッチンに「タッチレス水栓」を取付け、従前より家賃12%値上げして募集しました。
ただ内見者から「家賃が高い」との指摘を受け、やむなく3,000円値引きして入居して頂きました。
リノベーションの質を高くすることはとても重要ですが、借入を起こしてリノベーションする場合費用が嵩みすぎると毎月のキャッシュが少なくなってしまう可能性があります。
この失敗談から
家賃値上げには限度がある
リノベーションする際キャッシュフローも考慮に入れる
ことを学び、その後リノベーション費用を大幅に削減したことで以前と比べキャッシュフローを改善させることに成功しました。
▶リノベーション失敗例は過去記事をご覧下さい。
2.リノベーション家賃設定の狙い
リノベーションは長期入居に繋げることで「リノベーション費用の回収+利益確保」が可能となるだけでなく、資産価値の目減りを抑えることができるため従前と比べ安定した家賃収入を得ることが期待できます。
ただし物件管理の質が低下してしまうと、リノベーション部屋でも借主が後悔してしまう可能性が高くなります。
Alba Link不動産総研のリリースによると「(賃貸アパート)引越し後に後悔した」と回答した方は約9割、その中で多かった意見ワースト5を挙げると…
ワースト1位:騒音
ワースト2位:日当たりが悪い
ワースト3位:住人トラブル
ワースト4位:設備の不満
ワースト5位:湿気が凄かった
という結果で後悔の理由の大半が「物件管理」です。
築年数が古い物件は室内機能性が新築より低下しているため、上記不満は発生しやすくなりますが借主属性を高め借主のレスポンスを早くすること、トラブル発生率を抑えることができます。
3.まとめ
今回はリノベーション家賃設定で重要なことについてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
費用が嵩むリノベーションするより、ホームステージングを強化したほうがいいと考える貸主は多いと思います。
ただリノベーションしない限り物件資産価値は高くならないため、競合が多くなれば過当競争に巻き込まれて客付けできない可能性が高くなります。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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