賃貸募集時に敷金は設定すべき?
更新日:4月18日
近年の賃貸市場では敷金設定がない物件が多くなってきています。
借主から敷金を預け入れることで、家賃滞納や夜逃げ/借主責任による破損や汚損などが発生しても充当することができます。そのため敷金を設定することによって賃貸管理上のリスク軽減を図れることができます。
ただ最近の賃貸市場では敷金設定されている物件は一部に限られています。このことから再募集する際、敷金設定したほうがいいのかどうか迷う貸主は多いはずです。
本投稿は賃貸募集時に敷金は設定すべきかについて、お伝えいたします。
▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
"賃貸募集時における敷金設定における重要なポイント”
1.民法改正

1)原状回復
借主が退去される際、入居前と同じ状態に戻す義務があります。ただ入居中劣化や破損や汚損が発生することがあるため100%元の状態に戻すことは不可能です。
そこで入居期間中に劣化や破損などがあった場合、その原因が借主/貸主どちらにあるのか管理会社(自主管理物件では貸主)立会いのもと退去立ち合いを行います。
壁紙の日焼け/ビス跡などは通常使用の範囲内であることから、これらは貸主側負担となります。
ただ原状回復に関するトラブルは非常に多く独立行政法人国民生活センターの調べによると、本来ならば貸主責任となるものを借主請求している事例が後を絶ちません。
同センターに寄せられた相談内容を一部抜粋すると…
6か月居住した賃貸アパートを退去。玄関の壁紙のわずかな傷で、全面張替え費用を請求された。
賃貸マンションを退去した所、高額なハウスクリーニング費用を請求された
原状回復に関する法的な規定に関して今まで明文化されていませんでした。
しかし2020年に行われた民法大改正によって原状回復に関する規定が追加されました。これによって、退去時における原状回復の責任度合いがより明確になりました。
第621条(賃借人の原状回復義務) 賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年劣化を除く。以下この条において同じ。)がある場合において、賃借物が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、その限りではない。
2)敷 金
民法改正によって敷金が法的に明確化されました。その結果…
名目に関わらず「担保目的」であれば敷金となる
借主の賃料滞納などの債務不履行があった際にその弁済に充てる
契約終了などによる明渡の際、敷金から修繕費などの債務不履行額を差し引いた額は借主に返還
ことになりました。
2.保証会社の利用で敷金は有名無実化

契約時に敷金を預け入れた借主が家賃滞納/夜逃した場合、法律上敷金から相殺することができます。
ただ実際に家賃滞納/夜逃が発生してしまうと、敷金だけでは対応することができなくなる可能性があります。
当然ながら貸主は借主/連帯保証人に対して債権回収を行いますが、債権回収するとなると司法判断=差し押さえを行わなければならず、時間と費用が掛かってしまうだけです。
2000年代に入ると家賃保証会社が急速に普及し、近年では賃貸物件の約8割は家賃保証会社を利用していると言われています。
家賃保証会社を利用することにより
家賃滞納/夜逃が発生しても保証会社が代位弁済してくれる
借主が保証会社に保証料などを支払うことで、保証会社が事実上の連帯保証人となる
家賃滞納長期化による強制退去を行う場合、保証会社が裁判費用を全額負担
してくれることから、敷金は事実上有名無実化状態となっています。
そのため契約時に家賃保証会社を利用することによって、敷金を設定しなくても経営上のリスクを軽減することができ、更に初期費用を抑える効果が期待できるため、入居促進に繋げれることが期待できます。
3.ペット可能物件では敷金設定が必要に

家賃保証会社を利用することによって、事実上敷金不要にすることができます。ただしペット可物件においては、今まで通り敷金設定をしておいた方が無難です。
背景には入居中ペットの汚損が発生する確率が高くなることから、退去費用が高額になりやすくなります。また家賃保証会社を利用していたとしても、退去費用に関しては上限設定がされているため、場合によっては貸主負担になってしまう可能性が出てきてしまいます。
このことから確実に退去費用をもらうためにも、ペット可物件においては築年数関係なく敷金設定をしておいた方が安心と言えます。
4.まとめ
今回は賃貸募集時に敷金は設定すべきかについて、お伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
家賃保証会社の普及により借主が敷金を預け入れなくても、保証会社が一定の保証をしてくれるため事実上有名無実化になりつつあります。
また保証会社を利用することによって、信用情報を確認することができるようになったため、借主の質を上げることも期待できます。
家賃保証会社の保証が充実している現在では、敷金を入居条件に入れなくても経営上のリスクを防ぐことは十分可能です。
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