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賃貸アパート老朽化問題。どう解決するか?


不動産投資は他の投資と比べるとリスクは少ないと言われています。しかし築年数が経つと、どの物件でも老朽化問題が発生し貸主にとっては大きな悩みとなってしまいます。



老朽化した賃貸アパート問題を解決する方法はさまざまありますが、部屋探しの多様化が進んでいることを踏まえると、今すぐ建て替えるのではなく、建物を維持し続けた方がトータル的には貸主にとってプラスになる可能性があります。



本投稿は賃貸アパートの老朽化問題の解決方法についてお伝えいたします。


▶︎お知らせ◀︎


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【本記事でお伝えする結論】





1.賃貸アパート老朽化問題について


賃貸アパートの老朽化問題について


賃貸アパートは築年数が経過するにつれ、さまざまな問題が発生しやすくなります。代表的な事例を3つ挙げると以下の通りとなります。



  • 空室率の上昇と賃料の低下

  • 修繕費の増加と耐振性

  • 税負担の増大



それではそれぞれの問題点を見ていきましょう。


空室率の上昇と賃料の低下


空室率の上昇と賃料の低下

賃貸物件の資産価値は築年数が経過するにつれて徐々に低下します。このため、築年数が古くなると競争力が弱くなり、賃料を維持し続けることが難しくなります。一般的な傾向として、築1年毎に賃料が1%下がると言われています。



さらに、賃貸市場は築年数が進むにつれて供給が増加します。この影響で、次第に空室が目立つようになり、賃料を下げなければ客付けが難しくなってしまいます。競合物件も客付けのために値下げを行うため、結果的に価格競争が激化しやすい構造になってしまいます。



空室率の上昇と賃料の低下が続くと、損益分岐点が高くなってしまい、安定した収益を生み出せなくなってしまいます。


修繕費の増加と耐振性


修繕費の増加と耐振性

アパートの外壁とそれらをつなぐコーキングは、雨風や日射の影響を受けることで、時間の経過と共に徐々に劣化していきます。



外壁にチョーキング現象が現れたり、コーキングにクラックが入ると、塗装と打ち直しを行うタイミングとなります。


▶チョーキング現象とクラックの詳細については、こちらをご覧下さい。




外壁塗装とコーキングの打ち直しは、大規模な修繕となり、一般的には10年に1度の割合で実施されることが多いです。



外壁塗装とコーキング打ち直しにかかる費用は、建物の規模、使用される材料によって変動します。一般的な目安としては、小規模な2階建て物件の場合で、120万円から300万円程度が相場です。



物件の規模が大きくなるほど、それに伴い修繕費用が高額になります。そのため事前に計画して修繕費を積み立てておかないと、金融機関から借入をしなければならないため、キャッシュフローに影響を及ぼす可能性があります。



支払いが多い


また一部の貸主は、修繕時期を迎えていることを承知しているのに、高額な費用がかかることを理由に避けている場合があります。しかし修繕を怠ると、建物の美観が損なわれてしまうだけでなく、耐水性や耐久性が低下し、結果的に建物寿命を締めてしまうリスクがあります。



さらに築年数が経過すると、エアコンや給湯器、キッチンなどの備付設備やが老朽化してくるので、適時交換を行わなければなりません。



また退去の度に空室対策として、リフォーム工事を行うことが多くなるため、新築時と比べて修繕費の負担が重くなり、それをデメリットと感じる貸主は少なくないはずです。



耐振性の問題

アパートの老朽化を考える際、多くの貸主が特に気にするのは、建物の耐震性ではないでしょうか?



建築基準法で定められている「建物の耐震基準」には、旧耐震基準と新耐震基準、そして木造の住宅に適用される2000年基準の3つあります。



そのうち旧耐震基準と新耐震基準の分岐点は1981年6月です。同年以降に建築された賃貸住宅は「新耐震基準」で施工され、震度6強~7程度の地震でも倒壊しないことを基準にしています。



なお新耐震基準で建てられた物件については、耐震診断を実施する義務はありませんが、注意点があります。それは建物瑕疵が直接的な原因で地震により倒壊し、借主にケガを負わせた場合、貸主側には賠償責任が発生する可能性があります。


税負担の増大


税負担の増大


賃貸経営を行うとことで節税効果が期待でき、その中でも特に効果的なのは、相続税と所得税・住民税を抑えることが可能になる点です。



例えば更地の評価額が1億円だったとします。被相続人が何もせずに亡くなると、1億円を基準に相続税が課税されます。



しかしその土地を使ってアパートを建てることで、評価額を下げることができるため、節税効果が期待できます。さらに評価額よりも借入金額が上回れば、相続税が免除されます。


弊社が賃貸経営を始めたきっかけは、まさに相続税対策でした。当時は祖父がまだ健在で、顧問税理士に相続税のシミュレーションを依頼したところ、何も対策を講じなければ約2億6千万円課税されることが明らかになりました。



そこで、1993年にファミリー向けアパート3棟、1998年にワンルームアパート1棟をそれぞれ建設しました。



祖父は2007年に亡くなりましたが、相続税評価額より借入金の方が多かったため、相続税の支払いはありませんでした。私が祖父名義のアパートを相続しましたが、当時は物件稼働率が低く、家賃収入より返済の方が上回っている状況で、資金繰りに苦労する厳しい経営状態が続いていました。



▶相続時における弊社代表の葛藤については、過去記事をご覧下さい。


減価償却が終わると税金が高くなる

アパートの規模によって建設費が1億円を超えるばあいがありますが、賃貸経営の大きなメリットとしては、取得にかかった費用を法定耐用年数に応じて償却できる点です。これにより所得税や住民税が圧縮さ、節税効果は高まります。



法定耐用年数は、建物の構造により以下のように決められています。



  • 木造:22年

  • 軽量鉄骨造:骨格剤の厚さが3㎜以下は、19年、3㎜から4㎜は27年

  • 重量鉄骨造:34年

  • 鉄筋コンクリート造:47年



ただし償却期間が終了すると、その分は帳簿上利益として計上されるため、所得税と住民税が一気に高くなります。この状態に陥りるのは、償却期間内にアパートローンが完済できない場合です。



この状況のことをデッドクロスと言います。デッドクロスに入ると税負担が急増し、一気にキャッシュフローが悪化してしまいます。最悪の場合、資金不足による黒字倒産になるリスクが高まります。


▶デッドクロスの詳細は、過去記事をご覧下さい。




▶アパートの老朽化問題の詳細は、過去記事をご覧下さい。




2.賃貸アパート老朽化問題。解決方法


賃貸アパート老朽化問題。解決方法


アパートが老朽化してくると、空室率の増加や修繕費の負担がどんどん膨らみ、それに加えて減価償却費が終了することで税負担が増加してきます。そのため、思ったほどの収益を手にできなくなるケースが増えていきます。



一般的に築年数が30年を超えてくるとアパートローンが完済することが多いため、このタイミングで貸主の多くは老朽化したアパートの出口戦略を検討し始めます。



出口戦略にはさまざまな方法がありますが、実際によく行われているのは「物件売却」と「建て替え」の2つです。それではそれぞれの特徴を見ていきましょう。



物件売却


物件売却

近年では不動産投資の人気が高まりつつあります。物件があるエリアが今後も安定した賃貸需要が見込めると、買い手が見つかりやすく以下のメリットが期待できます。



  • 現金化できる

  • 修繕費やデッドクロスからの負担から解放される

  • アパートローンが完済できる(ただし場合によっては残債が発生する可能性もある)

  • 売却した資金で新たな土地で賃貸経営を始められる



一方で注意が必要なのは、物件を売却した際「譲渡所得税」(所得税、住民税、復興特別所得税)、印紙代、登録免許税、手数料に伴う消費税といった費用が発生することです。なお譲渡所得税は、所得していた期間が5年以下なら約40%、5年以上の場合は約20%と税率が異なります。



また募集をかけても、買い手がすぐに見つからない可能性があるため、そうしたリスクも考慮しなければなりません。


建て替え


建て替え

物件エリア内の賃貸需要がある一方で、空室率の悪化や修繕費の増加が目立つ場合は、建替えを検討することで総合的なメリットが大きくなる可能性があります。



建替えを実施すれば、競争力が向上するため入居率の大幅な改善が見込めるだけでなく、また家賃も高めに設定することが可能になります。また新たに発生する減価償却費も、毎年経費に計上できるため、節税効果も期待できます。



ただし建替えを進める際には、以下の点に十分注意しなければなりません。


解体費用と立ち退き料は融資対象外


解体費用と立ち退き料は融資対象外

建物老朽化による賃貸借契約の解除は、借地借家法による正当事由に該当します。しかし借主にとっては引っ越しを余儀なくなれることから、一般的には貸主が「立ち退き料」を負担しなければなりません。



立ち退き料の相場は家賃6ヵ月~12か月程度と言われているものの、あくまでも目安であり、借主が駄々をこねて退去に応じない場合は、不動産明け渡し訴訟を起こさなくてはならなくなります。



また建て替えの資金は金融機関から融資してもらえることができるものの、その対象は建設費のみで、解体費用や立ち退き料は含まれない場合があります。また解体費用や立ち退き料は高額な費用となるため、あらかじめ一定の資金を準備しておくことが求められます。


融資条件


融資条件

不動産投資を行う際、かつて頭金ゼロのフルローンで全額融資を受けることが可能でした。しかし某金融機関による不正融資問題やフラット35偽装利用問題などの影響により、現在では金融機関の審査基準が厳格化され、頭金を用意することが融資条件になっています。



さらに近年インフレの影響により、建築資材や人件費が高騰しています。そのため従前と同じ規模の物件を建て替えようと思っても、費用は約2倍程度かかります。



建て替え後も以前と同じような家賃収入を確保するには、多額の頭金を準備しなければならないのが現状です。



3.賃貸アパート老朽化問題。新しい解決方法


賃貸アパートの老朽化問題。新しい解決方法


賃貸アパートの老朽化が進むと、多くの貸主は「売却」や「建替え」のどちらを選んだ方が得策だと考えがちです。しかし、長期的な視点で見れば、建物を維持しリノベーションを行った方が、貸主にとって最大限のメリットが得られます。



以下では、その理由について詳しく解説します。


部屋探しの多様化と安定した賃料収入


部屋探しの多様化


かつての賃貸業界では、築年数が部屋探しの主な判断基準となっていました。しかし近年では部屋探しに対する価値観が多様化し、古くなった物件の間取りや設備、室内デザインを現代のライフスタイルに合わせたリノベーションを施すことで、築年数で物件判断される方は少なくなっています。



またインフレの影響で、新築物件の賃料が高騰している中、機能性やデザイン性が新築並みのリノベーション物件は、家賃がリーズナブルに設定されているため、築年数が浅い物件を求めている方の受け皿として、注目されています。



さらに、物件があるエリアは立地にも恵まれていることが多いため、リノベーションを行うことにより、賃料を値上げしても反響数増加や成約率の向上が期待でき、安定した賃料収入を得られやすくなります。


建て替えよりもコストが安い


建て替えよりもコストが安い


建て替えは建築費用の他に解体費用と立ち退き料も加わるため、多額の費用が必要になります。これに対しリノベーションは、基本的に改修費用のみで対応でき、建物に大きなダメージがない限りは、建て替えよりもはるかにコストを抑えることができます。



また工期を比較した場合にも、違いは明らかです。



リノベーションの場合は、改修内容によって多少異なるものの、工期は約1か月前後と短く、競争力が高いため早期に部屋が埋まりやすくなり、家賃収入が復活します。一方建て替えは、工期は1年前後と長期間を要し、その間家賃収入はゼロになります。


自己資金がためやすい


自己資金がためやすい

リノベーションのメリットは資産価値が向上するため、賃料を値上げしても早期に部屋が埋まりやすくなり、適切な物件管理を行うことで顧客満足度が高まるため、長期入居に繋げやすくなります。



その結果、物件稼働率が向上し、安定した賃料収入を得やすくなるため、自己資金が溜まりやすくなります。十分な自己資金を確保できれば、その一部を資産運用に回すことで、さらなる資金の拡大を目指すことができます。



また物件の経年劣化に伴い、突発的な修繕が発生し、場合によっては費用が高額になることもあり得ますが、自己資金を厚くすることで、資金不足に陥るリスクを低減できます。


税金対策どうしたらいいの?


税金対策どうしたらいいの?


アパート老朽化対策として、リノベーションを選択する場合の最大のデメリットは、減価償却費を見込めないことによる税負担の増加です。



まとまった減価償却費を狙うとなると、物件購入しかありません。しかし新築物件は高価格のため、資金面でハードルが高くなります。また中古物件は、購入できる可能性があるものの、築年数が法定耐用年数を超えてしまうと、減価償却期間は短くなり限定的な効果しか得られません。




物件を購入しなくても節税効果を狙う方法は、いくつかあります。その具体的な手段については、以下で詳しく説明します。


ふるさと納税


ふるさと納税


ふるさと納税は2008年から開始された制度で、応援したい自治体に寄付を行うことで、その寄付金が翌年の所得税や住民税から控除されます。



実質的な自己負担額である2,000円を除いた寄付金の全額が控除の対象となり、自治体からは返礼品として地域の特産品などを受け取ることができます。



なおふるさと納税の控除上限額は、年収や家族構成、その他の控除の有無によって異なります。そのため具体的な控除上限額に関しては、税理士に相談されることをおすすめします。


現状回復を目的とした外壁塗装


現状回復を目的とした外壁塗装

アパートの外壁は紫外線や風雨などの影響で次第に劣化し、変色やひび割れなどの症状が出やすくなります。そのため、一般的に10年に1度の割合で外壁塗装工事が必要とされています。



修繕規模が大きくなるため、費用が高額になるものの、ある裏ワザを使えば全額修繕費としてその年の損金計上できるため、節税効果は高くなります。



その裏ワザとは、原状回復を目的とした外壁塗装を行うことです。塗料には主に6種類あり、それぞれの耐用年数をまとめると以下の通りとなります。



  • アクリル塗料:5年~7年

  • ウレタン塗料:8年~10年

  • シリコン塗料:10年~15年

  • ラジカル塗料:15年~18年

  • フッ素塗料:15年~20年

  • 無機塗料:20年~25年



貸主としては今後の塗装回数を減らす目的で、耐用年数の長い高品質な塗料を選ぶ方がメリットが大きいと考えるのはごく自然なことです。



ただし耐用年数が長いものを選ぶと「資産価値を高める」と見做される可能性があり、修繕費として経費計上できず、資本的支出として減価償却扱いになってしまいます



どの塗料を使用すれば修繕費として損金計上できるのかについては、税理士に相談されることをおすすめします。


付帯設備交換


付帯設備交換

賃貸物件に備え付けられているエアコンや換気扇、温水洗浄便座、給湯器などの耐用年数はおよそ10年前後言われています。経年劣化が原因により設備を交換する場合は、貸主が費用を負担しなければなりません。



設備を交換する際に、ハイグレードのものを設置しなければ、その交換は経費上「原状回復を目的としている」と判断されるため、全額修繕費として、一括で損金計上できます。



4.まとめ



賃貸アパートの老朽化問題の解決方法についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。





弊社が所有している物件はファミリー向けで、築年数は30年を超えています。一般的な観点から考えれば、出口戦略として「建て替え」か「売却」のどちらかを検討しなければなりません。



一時期、建て替えを検討したこともありましたが、仮に現在と同規模の建物を建設する場合、新築時と比較し費用が約2倍に膨らむことが判明しました。



弊社では、収益性の向上を目的としたリノベーションを、2018年から順次行い、その結果2年後からは4期連続で増収増益を達成しています。



現在、リノベーションで安定した収益基盤を維持できているため、まずは自己資金をさらに蓄えることを優先し、その上で改めて出口ん戦略について検討していきたいと考えています。


▶弊社のリノベーションの詳細、実績については、過去記事をご覧下さい。








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空室対策コンサルタント 有限会社山長
有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント


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