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賃貸経営で陥りやすいカスタマーマイオピアとは?価格競争から脱却するための考え方


賃貸経営を行っていると、内見時や入居申込時、また契約更新時に「家賃を下げてほしい」「初期費用をもっと安くしてほしい」「設備を追加してほしい」といった要望を内見者や借主から受けることがあります。



空室が続いている場合や、競合物件との競争が激しいエリアでは、こうした要望を受け入れた方が入居につながると考える貸主も少なくありません。



しかし借主の要望をそのまま受け入れ続けると、入居率の改善につながりやすくなる反面、収益性の低下や価格競争の激化を招くことがあります。



借主の要望ばかりに目を向け、本来提供すべき価値や長期的な収益性を見失ってしまう状態は、カスタマーマイオピア(顧客近視眼)的な考え方と言えます。



私自身も山梨県で1993年築のファミリー向けアパートを経営する中で、価格競争や空室問題に直面した経験があります。



しかし2018年からリノベーションによる差別化と独自の価値提案に取り組んだことで、価格競争に依存しない募集へと転換することができました。



本記事では、賃貸経営でカスタマーマイオピアに陥るリスクと、その状態から脱却するための考え方について実体験を交えながら解説します。




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私の経営する有限会社山長では、アパート経営改善・空室対策コンサルティングを行っています。かつて私自身が直面した「自己破産寸前」だった状態を、独自の高付加価値リノベーションで再生。入居率77%→99%への改善、年間収入430万円UPという自社物件で実践・検証してきたノウハウをもとに、オーナー様と二人三脚で改善サポートします。



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▼ 目 次




【本記事でお伝えする結論】


  • 賃貸経営では空室を埋めたい心理からカスタマーマイオピアに陥りやすく、長期的な経営判断を誤ることがある。


  • 家賃値下げや設備追加、入居条件の緩和を安易に受け入れると、収益悪化や滞納などのトラブルにつながる可能性がある。


  • 価格競争から脱却するためには単に家賃を下げるのではなく、借主が「この家賃でも住みたい」と感じる価値を提供することが重要。


  • 借主の声を分析し物件価値を高めたことで、価格競争に頼らない集客と収益安定化につながった。


1.カスタマーマイオピアとは何か?


カスタマーマイオピアとは何か?

カスタマーマイオピアとは、顧客の要望や意見を重視するあまり、本来の経営目的や利益を見失ってしまう状態を指します。



顧客満足度を高めることは重要ですが、すべての要望に応え続けることが必ずしも正しいとは限りません。



賃貸経営は、一度入居が決まれば数年間にわたって家賃収入が期待できる点が大きな特徴です。また管理業務の多くを管理会社へ委託できるため、比較的安定した運営が可能になります。



しかし建物の築年数が経過すると、設備や内装の老朽化などによって物件の競争力が低下し、適正家賃で募集しても空室が埋まりにくくなることがあります。賃貸経営では商品である部屋が空室になると、その期間の家賃収入は発生しません。


空室が長期化したり空室が増えてくると多くの貸主は焦り、内見者からの要求をつい受入れてしまいます。


そのため貸主は空室を早く埋めたいと考えやすく、条件交渉にも応じたくなります。特に空室期間が長引いている場合、「この申込を逃したら次はいつ決まるか分からない」といった心理が働きやすくなります。



そのため内見時や入居申込時に…



  • 家賃を○○円まで下げてほしい


  • 礼金を無料にしてほしい


  • 設備を追加してほしい(例:エアコンを増設、交換してほしい)



といった要望が入ると、「多少条件を譲歩してでも受け入れて契約に持ち込んだ方がいいのでは?」

「背に腹は代えられない」と考えてしまう貸主も少なくないのではないでしょうか?



ただし借主が家賃値下げを希望したからといって、必ずしも安さだけを求めているとは限りません。



十分な検討を行わずに借主の要望を受け入れてしまうと、短期的には入居促進につながる可能性がある一方で、収益性の低下や他の借主との不公平感、管理上のトラブルにつながる可能性もあります。



カスタマーマイオピアを安易に行うと管理上のリスクが高まる。

私は1993年築のファミリー向けアパートを所有しています。現在は比較的安定した入居率を維持していますが、築年数の経過とともに空室対策に悩んだ時期があり、実際にカスタマーマイオピアとも言える判断を2度経験しています。



当時は空室を埋めることを優先して判断しましたが、後になって大きな問題につながりました。次章では、賃貸経営で起こりやすいカスタマーマイオピアの具体例と、私自身が実際に経験した事例についてご紹介します。



▶当時私がどのような状況で空室対策に悩んでいたのかについては、関連記事「【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと①」で詳しく紹介しています。



2.賃貸経営で起こりやすいカスタマーマイオピアの具体例


賃貸経営で起こりやすいカスタマーマイオピアの具体例


カスタマーマイオピアは経営理論だけの話ではなく、賃貸経営の現場でも起こりやすい問題です。



特に空室期間が長くなると、「早く部屋を埋めたい」という気持ちが強くなり、借主からの要望や仲介会社からの提案を十分に検討しないまま受け入れてしまうことがあります。



もちろん借主のニーズに応えることは大切です。しかし目先の契約成立ばかりを優先すると、収益性の低下や新たなトラブルにつながることもあります。



ここでは、賃貸経営で起こりやすいカスタマーマイオピアの具体例と、私自身が実際に経験した失敗事例を紹介します。



1)安易な値下げが収益全体を悪化させてしまう


安易な値下げが収益全体を悪化させてしまう


募集開始から3か月以上空室が続くと、管理会社や仲介会社から「このままでは空室による家賃機会損失が大きくなるため、多少家賃を下げてでも早期成約を目指した方が良いのではないか」と提案されることがあります。



確かに家賃を下げれば反響が増えたり、入居につながったりする可能性はあります。しかし、安易に行ってしまうと物件全体の収益に影響を与えることがあります。



例えば、同じ物件内で設備や間取りに大きな違いがないにもかかわらず、一部の空室だけ家賃を下げて募集した場合です。



実際、借主は貸主が思っている以上に賃貸検索サイトを確認しています。そのため既存借主が募集条件を目にすると、「同じような部屋なのに自分だけ家賃が高いのは不公平ではないか」と感じても不思議ではありません。



その結果、契約更新時に「募集している〇〇号室と同じ家賃にしてほしい」と交渉される可能性があります。もしその要求に応じると、その情報が他の借主にも伝わり、さらなる家賃交渉につながる恐れがあります。



こうした対応が広がると、入居率を維持できたとしても物件全体の収益性は低下しやすくなります。また、一度下げた家賃を元の水準へ戻すことは容易ではありません。



そのため家賃値下げは、目先の空室対策だけで判断するのではなく、物件全体の収益への影響も考慮した上で慎重に判断することが重要です。


)過剰な設備追加


過剰な設備追加


内見時や入居申込時には、借主から設備に関する要望を受けることがあります。



私の物件でも、エアコンの増設に関する相談を受けたことがありました。空室を早く埋めたい状況では、こうした要望を受け入れるべきか悩む貸主も少なくないでしょう。



エアコンは一般的に10年~15年で交換の時期を迎えるため、設置から10年以上経過したエアコンは、故障リスクが高くなる傾向があります。そのため交換の相談を受けた場合は入居促進だけでなく、入居後の設備トラブルを未然に防ぐという観点からも検討する価値は十分にあります。



一方で注意したいのがエアコンの増設です。



1LDK以上のファミリー向け物件では、備付エアコンが1台のみというケースも少なくありません。そのため内見者から「もう1台設置してもらえれば入居したい」と交渉されることがあります。



もちろん、その設備追加が物件の募集条件やターゲット層に合致しているのであれば、有効な投資になる可能性もあります。



しかし、単に「入居してもらうためだけ」を理由に増設すると、将来的に2台分のエアコン交換費用が発生するため、長期的な収益性を低下させる可能性があります。



設備追加は借主の要望だけで判断するのではなく、将来の維持管理費や収益性も踏まえた上で検討することが重要です。


例えばエアコンを増設する場合、本体代や設置費だけでなく、電気設備の状況によっては専用コンセントの新設工事が必要になることがあります。



一般的にエアコンは消費電力が大きいため、専用回路の設置が推奨されています。既存の電気配線の状況によっては追加工事が必要となり、その分費用も増加します。



このように、エアコンの増設は本体価格だけで判断できるものではありません。経営戦略として計画的に実施するのであれば有効な投資になる可能性がありますが、「今回の契約を取りたい」という理由だけで安易に応じると、想定以上のコスト負担につながることもあります。




3)入居審査を緩めた結果、大きなトラブルにつながった事例


私が経験したカスタマーマイオピアとは?


私は1993年築のファミリー向けアパート3棟を所有しており、2018年から空室を順次リノベーションしています。当時は現在のように安定した入居率ではなく、空室が長期化することもありました。



そのような中、家賃保証会社の審査で過去の滞納歴が分かった方について、本来であれば慎重に判断すべきところを、「早く空室を埋めたい」という気持ちが先行し、入居を認めてしまったことが2件ありましたが、結果としてその判断は大きな失敗となりました。


夜逃げ


1人は入居後すぐに家賃滞納が始まりました。ある日、私が物件の共用部清掃を行っていたところ、その借主がトラックを借りて室内の荷物を運び出している場面を偶然目撃しました。



事情を尋ねると、「今から退去する。管理会社にはすでに伝えている」と説明されたため、念のため管理会社へ確認したところ、そのような連絡は入っておらず、正式な退去手続きも行われていませんでした。



私はそのまま夜逃げされる可能性が高いと感じ、すぐに管理担当者へ連絡し現地へ来てもらいました。その結果、正式な退去立会いを行うことができ、大きなトラブルになる前に対応することができました。



もし現場で状況を確認していなければ、夜逃げによって対応がさらに複雑になっていた可能性もありました。



また別の1人は家賃滞納を3か月以上続けたため、家賃保証会社が不動産明渡訴訟を提起し、最終的には強制退去となりました。




当時を振り返ると、私は「空室を埋めたい」という目先の課題ばかりに意識が向き、入居後のリスクを十分に考えられていなかったのだと思います。



カスタマーマイオピアは、借主の要望を受け入れることだけを指すものではありません。私のように「空室を埋めたい」という短期的な目的を優先した結果、本来重視すべき入居審査やリスク管理を軽視してしまうことも、同じ問題と言えます。



この経験から、借主からの要望や入居条件の緩和については、その場の契約成立だけで判断するのではなく、長期的な収益性やリスクも踏まえて検討することが重要だと強く感じています。


3.価格競争が起こる理由と脱却するための考え方


価格競争が起こる理由と脱却するための考え方


賃貸経営で価格競争が起こりやすい理由は、築年数の経過とともに競合物件が増え、借主から見た物件同士の違いが分かりにくくなるからです。



築年数が浅い物件であれば、「新しい設備が使える」「建物がきれい」といった点が、そのまま入居の決め手になることがあります。しかし築20年、30年と経過すると、同じような築年数や間取りの物件が増えます。



さらに設備や内装の老朽化も進むため、借主から見ると「どれも似たような物件」に見えてしまいます。



その結果、貸主側は空室が続くと「家賃を下げれば決まるのではないか」と考えやすくなります。確かに家賃を下げれば反響が増える可能性はありますが、価格だけで選ばれる状態になると、今度はさらに安い競合物件との比較が始まります。



つまり価格競争とは、一度始まると終わりが見えにくい募集方法とも言えます。



私が所有する1993年築のアパートでも、リノベーションを行う前は反響が少なく、空室期間の長期化に悩んだ時期がありました。



当時は家賃を下げることも選択肢の一つとして考えていましたが、周辺にも築年数が経過した物件が数多く存在していたため、値下げだけでは根本的な解決にならないと感じていました。


新築物件はなぜ価格競争が起きにくいのか?


私が注目したのは、新築物件の募集状況です。私の物件周辺でも、新築物件は家賃が高く、礼金が設定されていても完成前に成約するケースが珍しくありません。これは家賃が安いからでは説明できません。



借主は新築ならではの快適な住環境や設備、暮らしやすさに価値を感じ、その対価として家賃を支払っているからです。



▶私が建て替えではなくリノベーションを選択した理由については、関連記事【2026年版】築20年以上のアパートは建て替えよりリノベーション?インフレ時代の空室対策を解説で詳しく解説しています。



この状況を見て、私は借主が求めているのは単純な安さではなく、「その家賃を支払う価値があるかどうか」ではないかと考えるようになりました。



こうした考えから、弊社では家賃値下げによる募集ではなく、リノベーションによって物件価値を高める方針へ転換しました。



価格で選ばれる物件ではなく、「この部屋に住みたい」と感じてもらえる物件を目指したことが、価格競争から脱却する第一歩になったと考えています。



私は、借主からの値下げ要求に応じ続けるのではなく、借主が本当に求めている価値を提供することこそが、賃貸経営におけるカスタマーマイオピアから脱却するために重要だと考えています。


4.弊社が実践した差別化戦略



夜逃げや強制退去を経験したことで、私は「空室を埋めること」そのものを目的にしてはいけないと考えるようになりました。



重要なのは、家賃を下げたり条件を緩和したりすることではなく、「この部屋に住みたい」と思ってもらえる理由を作ることです。



借主インタビュー


弊社では、まず実際に入居されている借主へインタビューを行いました。リノベーションによってデザイン性や設備を改善することはできますが、貸主が良いと思うことと、借主が実際に住みやすいと感じることが一致するとは限りません。



また、築年数が経過した物件でも快適に暮らせるのかを確認し、その評価を客観的に把握したいという思いもありました。



借主の本当の評価を知ることで、貸主の思い込みによるカスタマーマイオピアを防ぐとともに、実際の暮らしやすさを今後の募集活動にも活かせると考えたからです。



その結果、私たちが想定していた以上に、リノベーションによるデザイン性や暮らしやすさが評価されていることが分かりました。



そこで、その魅力をホームページやSNSで積極的に発信するとともに、仲介会社にも情報提供を行い、内見者へ具体的な暮らしのイメージを伝えてもらう取り組みを始めました。



▶借主インタビューの詳細は、関連記事をご覧下さい。








また、リノベーションについても継続的な改善を行いました。具体的には…



  • 造作洗面台の照明を改良


  • 部分リノベーション部屋で評価の高かったIKEA製カウンターを、フルリノベーション部屋にも採用


  • 宅配ボックスを全世帯に設置


などの取り組みを行いました。これらは単なる設備追加ではありません。実際に借主から評価された内容や、生活利便性の向上につながると考えた内容を反映した改善です。



その結果、家賃だけで比較される機会は以前より少なくなり、物件のコンセプトやリノベーション内容に共感した方からのお問い合わせが増えるようになりました。



また、更新時の家賃値下げ交渉も以前より少なくなり、当方が希望する家賃帯でも納得して入居していただけるケースが増えました。



私自身、この経験を通じて、カスタマーマイオピアを防ぐためには借主の要望をそのまま受け入れるのではなく、その背景にある課題や価値観を理解し、それを物件独自の価値として提供することが重要だと考えています。


5.まとめ


今回は、賃貸経営でカスタマーマイオピアに陥るリスクと、その状態から脱却するための考え方についてお伝えしました。



カスタマーマイオピアは、空室を埋めたいあまり借主の要望や目先の契約成立を優先し、本来重視すべき収益性やリスク管理を見失うことで発生します。



実際に私は、家賃滞納歴がある方の入居を認めた結果、夜逃げや強制退去を経験しました。また、安易な家賃値下げや設備追加は、一時的な空室対策にはなっても、長期的には収益悪化につながる可能性があります。



そこで弊社では、価格競争ではなくリノベーションによる差別化と借主インタビューを活用した価値向上に取り組みました。その結果、家賃だけで比較されにくくなり、物件コンセプトに共感した方からのお問い合わせが増加しました。



賃貸経営で重要なのは、借主の要望をそのまま受け入れることではなく、その背景にあるニーズを理解し、選ばれる理由をつくることだと考えています。




今回ご紹介した内容は、私自身が1993年築のアパートを運営する中で実践し、試行錯誤を重ねながら取り組んできた空室対策です。



しかし、「何から始めればよいのかわからない」「自分の物件でも活用できるのか判断できない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。



そのような場合は、(有)山長の無料相談をご利用ください。






空室対策コンサルタント 有限会社山長

有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)    空室対策コンサルタント


1993年・98年に祖父が建設した計4棟のアパートを、2007年に突如相続。当時は赤字経営に陥り、修繕費すら捻出できない絶望的な状況からのスタートでした。


暗中模索の中、2018年より独自の「高付加価値リノベーション」を本格開始。


その結果、2020年以降はリノベーション前の入居率77%から、年間平均95%以上へと大きく改善しました。築30年以上の物件ながら、周辺相場より10%以上高い家賃設定で「年間収入430万円アップ」と「満室継続」を同時に達成しています。


この逆転劇は『全国賃貸住宅新聞』などの業界メディアでも大きく取り上げられました。


現在は、山梨県内を中心に空室対策コンサルタントとして活動。自ら苦境を乗り越えた「大家の痛みがわかる専門家」として、コストを抑えつつ物件収益を最大化する、持続可能な満室経営をサポートしています。


あなたのアパート経営を支援させていただきます!


▶︎〒400-0053 山梨県甲府市大里町2090

▶︎まずはお気軽にお問い合わせください

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090-8514-3562







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