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入居者の虚偽記載が発覚した場合、貸主が取るべき行動とは?


不動産投資は、「部屋を貸す貸主」と「借主」との信頼関係が成立しなければ、賃貸経営を行うことができません。もし信頼関係を破綻するような行為があった場合、契約上貸主は借主に対し事前予告なく賃貸借契約を解除することができます。



基本的に賃貸物件募集~契約までは仲介会社が全て行ってくれます。契約時に入居審査が行われるため…



  • 家賃支払い能力がない

  • モラルが守れないと仲介/管理会社が判断



した場合、貸主許可を得て入居拒否しますが、ごく稀に入居申込書に虚偽記載する方がいて裏付けができないまま契約に至ってしまうことがあります。




もし入居後虚偽記載が分かった場合、貸主としては「裏切られた」気持ちが強くなるため、賃貸借契約を解除し退去させたいと考えるのが自然ですが、果たして退去させることができるのでしょうか?



本投稿は入居者の虚偽記載が発覚した場合、貸主が取るべき行動についてお伝えいたします。






 

▼目 次

 

1.虚偽記載でよくあるパターンとは?


虚偽記載でよくあるパターンとは?


虚偽記載が発生してしまう背景には、本当のことを記載すると「入居審査上不利」になることが当人自身把握しているからです。



一般的な賃貸物件では、所謂フリーター/水商売系の方々は…



  • 家賃支払い能力がないのでは?

  • 収入が一定ではない

  • 昼夜が逆転しているので他の借主に迷惑をかけるのでは?


等といった理由で断られる可能性が極めて高くなっています。



最近では、水商売系の方でも入居可能な物件がありますが、少なくとも大手管理会社物件が管理しているところでは、入居を断れる可能性が高いです。




そこで、どうしても入居したい方は、



「身元を隠す」ために、アリバイ会社を使い「在籍確認や源泉徴収票」を作ってもらい、勤務実態がある


ようにみせかけます。




仲介会社及び管理会社ではアリバイ会社を使って入居してくる方を忌避します。



そのため少しでも怪しいと感じると徹底的に調査しますがアリバイ会社の対応が「精巧しすぎてしまう」と、虚偽を見破ることが難しくなってしまうため、入居を許可してしまう可能性があり得ます。




2.虚偽記載が発覚した場合、退去させられるか?

虚偽記載が発覚した場合、退去させられるか?

入居後に「虚偽記載した事実」が発覚した場合、貸主的には「裏切られた」気持ちがいっぱいになり、今すぐにでも退去してもらいたいのが本音です。



虚偽記載を理由に退去させることができるかというと、残念ながら難しいのが正直となところです。その理由を解説いたします。




1)契約自体は解除できる


賃貸借契約書に「虚偽記載があれば即契約を解除できる」といった記載があれば、貸主は契約を解除することは可能です。ただし契約を解除することができても、退去させることはできません。それは借家権の問題があるからです。



2)正当事由がなければ、退去させることはできない


貸主からの不当退去を防ぐため、借主には借家権が与えられています。そのため貸主が「更新拒絶や退去をさせたい」場合には、正当事由を示さなくてはなりません。



正当事由で認められる事例としては…



  • 老朽化による建替え

  • 賃料未払い

  • 他の借主への迷惑行為などの契約違反


がありますがいずれも民事裁判で判決が確定しなければ貸主は強制退去させることはできません。



虚偽記載は一見すると「契約違反」に該当しますが、それを取り締まる法律/判例がないため、裁判に訴えても勝訴できる見込みがありません。そのため虚偽記載を理由に退去させることはできないのが正直なところです。




3.不正入居を防ぐ方法


不正入居を防ぐ方法

虚偽記載を防ぐには、入居審査をシビアにするしか方法はありません。



1)会社発行の「源泉徴収票」「在籍証明書」を提出してもらう


虚偽記載を防ぐには主契約者が「本当に会社に在籍しているのか」「家賃支払うだけの能力があるのか」を確認することが重要となります。



そのため仲介会社では「在籍証明書」「源泉徴収票」「住民票」を契約前に提出してもらうことで、その方が確かに在籍しているか、家賃支払い能力があるか確認することができます。



2)在籍確認を行う


在籍証明書を提出されても、本当に契約者となられる方が「在籍」しているかこの時点では把握できません。



そこで仲介会社は「事前に断りを入れた」上で、契約者となられる方が本当に会社にいるのかどうか、確認するために電話連絡を行います。




3)担当者の相談を聞く


仲介会社は毎日のように物件案内~契約手続きを行っています。そのため少しでも入居動機が曖昧の場合徹底的に調査し、場合によっては入居を断ったほうがいいとアドバイスすることもあります。



貸主的には入居拒否すると家賃収入を復活させることができなくなるため、嫌悪感を感じてしまいます。ただ意外と仲介会社/管理会社の「直感」は当たる可能性が高いため、上記を理由に入居拒否をアドバイスされた場合は従った方がいいのかもしれません。




4.仲介+管理一体型に委託する


仲介+管理一体型に委託する

大手管理会社物件に管理委託している場合、直営の仲介会社を運営していることから、契約自体が「専任媒介契約」の可能性が高くなります。



専任媒介契約は他社仲介会社でも契約手続きはできますが、契約手続き~契約書は全て媒介先のものとなります。



そのため家賃保証会社の提携先が、信用情報機関と連携している信用系/信販系の場合、過去5年間の滞納歴などの情報を確認することができるため、虚偽記載を予防する効果が期待できます。




5.まとめ


今回は入居者の虚偽記載が発覚した場合、貸主が取るべき行動についてお伝えいたします。



虚偽記載は賃貸借契約上における「信用関係」を破綻させる行為と言っても過言ではありません。しかし虚偽記載が発覚してもそれ自体で退去させることはできません。



虚偽記載を予防するには、入居審査時において審査を厳しくするしか方法はないのが正直なところですが、貸主ができる対策としては「入居審査を甘くしない」ことで必然的に入居のハードルを高くすることができることから、トラブル回避させることが期待できます。




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空室対策コンサルタント 有限会社山長
有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント


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