賃貸経営は右肩下がりのビジネスモデルと言われています。築年数が経過すると物件資産価値が低下するため空室が目立つ+家賃値下げを余儀なくされるため収益が低下しやすく、また近年では全国的に賃貸空室率が悪化しているため、家賃値下げしても昔と比べると客付けが難しくなっています。
弊社取引先のメインバンク支店長の話によると、最近「築年数が古い物件を所有する顧客から、賃貸経営がうまくいかないからリスケジュールしてほしい」と相談されることが多くなっているとのことです。
収益性が低下した古いアパートを改善させることは難しいと思われますが、実は対応次第では古いアパートでも収益物件に蘇らせることは可能です。
本投稿は古いアパートの賃貸経営を成功させるポイントについてお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.古いアパートの問題点とは?
築年数が古くなると以下の問題が発生しやすくなります。
空室リスクが高まる
家賃値下げリスク
修繕費が多くなる
それではそれぞれの問題点を見ていきましょう。
空室リスクが高まる
築年数が古くなると物件価値が下落し見た目の古さが感じるようになります。そのため募集しても空室期間が長期化し家賃機会損失が大きくなってしまいます。
近年の賃貸市場は全国的に空室率が悪化しています。空室率悪化=競争力が低下した築年数が古い物件は不利になるため、家賃値下げしても供給数が多いことから空室を埋めることが難しくなります。
家賃値下げリスク
家賃値下げして客付けに成功しても、新たなリスクが発生します。家賃値下げすると同一物件内で家賃差異が発生するため、現在入居している借主からクレーム/家賃値下げ交渉が入りやすくなり、場合によっては住替えされる可能性が出てきます。
また家賃値下げ=借主属性が悪くなることがあり、万が一属性が悪い借主が入居しトラブルを起こしても借家権の問題から簡単に退去させることができません。
つまり家賃値下げは管理上のリスクが上昇する可能性があると言えます。
修繕費が多くなる
築年数が経過してくると設備の経年劣化が多くなるため、新築時と比べ修繕費は多くなります。さらに昨今の円安/原材料費高騰の影響で、修繕費用も高くなると必然的に「損益分岐点」は高くなるため、安定した賃貸経営を行うことが難しくなります。
2.古いアパートの賃貸経営を成功させるポイント
収益性が低下した古いアパートを再建させる方法は主に3つあります。
リノベーション
売却
建替え
結論から先に申し上げますと古いアパートの賃貸経営を成功させるならば、リノベーションがおススメです。なぜ売却/建替えではなくリノベーションがおススメなのかについて解説します。
売却検討する際、残債+売却にかかる費用をクリアできるか確認する
一般的に収益性が低下した物件は早く売却させた方がいいと言われています。ただ売却する場合残債をクリアにすることが最低条件であり、さらに…
仲介手数料:売却価格の3%+6万円*消費税10%(売却価格が400万円以上の場合)
印紙税:5,000円~6万円(契約金額で異なる)
登記費用:1万円~3万円
ローン返済手数料
譲渡税:譲渡益の20%or40%
上記費用が別途発生してしまいます。
建替えする場合相当額の頭金が用意できるか?
アパートローンが完済するころは、建物の減価償却が終了し節税効果は期待できなくなります。そこで貸主の中には建て替えを検討される方がいますが、昨今原材料費がものすごく高騰し、従前と同じ規模の物件を建設した場合約2倍近い費用が掛かってしまいます。
そのため安定した家賃収入を得るには、頭金を相当額出さなければならず、また今後賃貸市場は確実に衰退するため事業性が期待できない物件にはアパート融資をしてくれない可能性が高くなります。
なぜリノベーションがおススメなのか?
築年数で判断する方が少ない
部屋探しの多様化が進み築年数が古くても「リノベーション」がされていれば、築年数で物件を決める方は少なくなっています。
リノベーション物件は新築物件/築年数が浅い物件に入居したい方をターゲットにしているため、デザイン性が高く更に家賃もリーズナブル。部屋探しの選択肢が広がるため早期客付けがしやすくなります。
メンテナンスさえすれば建物寿命は伸ばせる
築年数が古くなっても外壁メンテナンスさえしっかり行えば、建物寿命を延ばすことができ更に築年数の古さは一切感じられないため、客付けで不利になることはありません。
節税対策どうすればいい?
RC物件以外、築30年前後で建物の減価償却は終了するため帳簿上の利益が一気に上がり、所得税+住民税が高くなります。万が一税負担によりキャッシュフローが悪化した場合…
借換して返済期間を伸ばす
のがベストです。リノベーションで物件稼働率を改善させることができれば、金融機関も「将来性が期待できる」と判断してくれるため、借換えに応じてくれる可能性が高くなります。
借換により返済期間が長くなれば月々の返済額を圧縮することができるため、従前と比べ内部留保が溜まりやすくなるため、所得税が高くなっても安定した賃貸経営を行うことができます。
3.まとめ
今回は古いアパートの賃貸経営を成功させるポイントをお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。
築年数が古くなるとメリットよりデメリットの方が大きくなりますが、ただリノベーションを行うと収益性を伸ばすことが期待できるためメリットに変えることは十分期待できます。
また減価償却が終了すると税負担が大きくなりますが、節税効果を求め無理に新規物件建設/売却するよりリノベーション+借り換えによる返済期間延長を選択した方が、トータル的に安定した家賃収入を得ることが期待できます。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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