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賃貸経営の負のスパイラルとは?

更新日:2月24日


賃貸物件の資産価値は築年数の経過と共に下落するため、新築時の家賃を維持し続けることはできません。



特に築年数が10年目/20年目は物件資産価値が著しく低下するため、家賃相場も一気に下がる傾向です。



賃貸市場は物件需要より供給数の方が多くなっています。そのため競争力が低下した物件は過当競争が激しくなり家賃値下げを余儀なくされます。



賃貸経営の一番恐ろしいところは一度家賃値下げをしてしまうと、それを止めることが難しくなってしまい、気づいた時には「経営悪化」になっている可能性が高くなります。



これを「負のスパイラル」といいますが、もしこのような状態に陥った時どのような対処をすればいいのか、本投稿は賃貸経営の負のスパイラルについてお伝えいたします。






 

▼目 次

 




1.賃貸経営の負のスパイラルとは?

賃貸経営の負のスパイラルとは?


1)賃貸経営における「負のスパイラル」の入口


物件募集する際仲介会社にお願いして、賃貸検索サイトに物件情報を掲載してもらいます。



一定期間募集して反響/問い合わせなどが少ない場合、仲介会社/管理会社担当者は「このまま募集しても結果が出ない」と判断し、貸主に家賃値下げをお願いすることがあります。



これこそ賃貸経営の負のスパイラルの始まりです。




2)値下げして成約ができたとしても…


家賃値下げすると反響が多くなることから、成約になる可能性が高くなります。物件が決まれば家賃収入は復活するものの、家賃値下げは貸主にとってマイナスでしかありません。



デメリット①:家賃収入が減る


値下げした分家賃収入が減ることになります。一度値下げしてしまうと元の家賃に戻すことは難しくなります。


デメリット②:他の借主からクレームが発生する


募集部屋の家賃を値下げすると、その情報は賃貸検索サイトに反映されますが、物件内で家賃相違があると確実に管理会社/貸主にクレームが発生し中にはトラブルになることもあり得ます。


デメリット③:契約更新の際、家賃値下げ要求が発生する


同じ物件なのに先に入居した方の家賃が高ければ、現借主は不満に感じてしまいます。そのため契約更新のタイミングで、値下げした部屋と同額にするよう要求する可能性が高くなります。



家賃値下げは借主/貸主の同意が必須で貸主が拒否すれば、現在の家賃のままで契約することになります。ただ借主の要求に断固反対してしまうと、最悪更新せずに退去してしまう可能性があります。




3)キャッシュフローが難しくなる


家賃値下げが続けば利幅減少→損益分岐点が高くなり、少しの空室で一気にキャッシュフローが悪化してしまいます。



特に築年数が経過すると経年劣化の影響で修繕費が多く発生してしまいます。そのことから安易な値下げは稼働率の部分では改善できますが、収益の部分ではマイナスになってしまいます。



4)空室の機会損失を防ぐという提案は、邪道


一部の賃貸空室コンサルタントの方は、「数か月募集をして部屋が埋まらないよりも、この際適正家賃にして、早期に空室を解消した方が、機会損失を防ぐことができる」と提案してきます。



例えば、家賃5万円の部屋が1年間空室が続き、3年間入居した場合、計算式は・・・

5万円×(36か月−12か月分の空室)=120万円


仮に家賃を5000円値下げして、2か月後に成約となり、3年間入居した場合は・・・

4,5万円×(36か月−2か月分の空室)=150万円




ただし上記は机上論にすぎず、実際適正家賃より安く募集していても空室が長期化になることがあります。今後空室率は悪化傾向となることを踏まえると、家賃をただ単に値下げしても客付け効果は期待できません。




2.負のスパイラルからの脱出方法

負のスパイラルからの脱出方法


1)基本はやはり物件清掃


賃貸経営を成功させるためには、物件清掃に力を入れ清潔な物件にすることです。賃貸経営に成功している物件と成功していない物件の大きな差は、物件清掃に力を入れているかどうかです。



ごみ置き場や共用廊下が汚いだけで、内見時の物件第一印象はとても悪くなります。



物件清掃は貸主でもできる仕事ですので、自宅から物件までそれほど遠くなければ貸主自ら行った方が、客付けに失敗している原因がどこなのか把握することができるかもしれません。



2)部屋のクオリティーを上げて、他社と差別化&家賃UP


負のスパイラルから脱出するには収益性を高めるしか方法はありません。リノベーションは資産価値を高めることができ家賃値上げも可能になるため、客付けに成功すれば収益性UPが期待できます。



リノベーションの資産価値を最大化させるためには、競合他社との差別化が重要となります。



  • リノベーションブランド

  • 品質を高めたリノベーション部屋

  • 集客の差別化



を徹底しすることで、家賃相場より高い家賃設定しても早期客付けが期待できるため、負のスパイラルから抜け出すことができます。


 

▶差別化戦略の詳細は過去記事をご覧下さい。


 



3)低金利融資でリフォームする


収益性を高めるためには、クオリティーが高いリノベーション/リフォームすることが必須となります。



ただ借入するといっても金融機関の事業系ローンは金利が高めに設定されているため、貸主によっては返済がきつくなる可能性があります。



そこでおススメなのが「公的融資」制度を活用することです。公的融資制度とは市区町村が貸付を行っているもので、メリットとしては…



  • 金融機関より低金利設定されている

  • 保証協会に支払う保証料の一部を負担してくれる

  • 融資によっては利子補給付きもある



ため非常に使いやすい融資と言えます。



 

▶公的融資制度の詳細は、過去記事をご覧下さい。


 



4)リスケジュールを検討/借入先を変える 


負のスパイラル状態に陥っている場合、キャッシュフローが悪化している可能性があります。無理して毎月の支払いを続けていても、突発的な支払いが発生すると完全にショートしてしまい、支払い自体ができなくなります。



今後支払いが厳しくなると予想される場合には、早めにリスケジュールを検討したほうがいいです。



リスケジュールを行うことによって資金繰りが改善されるため、経営の立て直しを図ることが期待できます。



但しリスケジュールを行う場合、貸主側にもデメリットが発生するため注意が必要です。


  • リスケジュールする場合には、経営再建計画を伝えなければ難しい。

  • リスケジュールを行うと新規融資が難しくなる。

  • リスケジュールの期間は長くても1年程度



アパートローンの金利見直しを図りたい場合、他行に借り換えを行うことで金利圧縮が期待できます。



ただし担保能力/物件価値/現在の経営状態などを総合的に判断されるため、場合によっては借り換えができないこともあります。



 

▶キャッシュフローの改善方法については、過去記事をご覧下さい。


 



3.まとめ


今回は賃貸経営の負のスパイラルについてお伝えしました。



近年の賃貸市場は完全に物件供給数が飽和状態となっているため、家賃値下げしても早期客付けは難しくなっているのが現状です。



そのため設備投資せず家賃値下げしかしていない物件の中には、空室期間が長期化している/資金繰りが悪くなっているところがあります。



賃貸空室率は今後も悪化することが予想されているものの、近年では築年数だけで物件判断している方は少なくなっています。そのため資産価値を高めた差別化リノベーションを行い家賃値上げして収益性を高めることを行えば、負のスパイラルに陥ることはまずないと言えます。




今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。


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空室対策コンサルタント 有限会社山長
有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント


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