古いアパートのリノベーションはどこまで必要？
- 空室対策リノベーション コンサルタント ㈲山長
- 9月4日
- 読了時間: 7分
更新日：9月15日
部屋探しにおける価値観の多様化している現代、築年数が古い物件であってもリノベーションを施すことで、その価値は大きく変わります。
適切な改修を行えば、早期客付けの可能性が高まるだけでなく、家賃値上げが可能になるため、収益性の向上も期待できます。その結果、安定した家賃収入の確保にもつながると言えるでしょう。
とはいえ、古いアパートをリノベーションする際に、具体的にどの範囲まで手を加えるべきか、悩む貸主は少なくないはずです。
この点について弊社の見解ですが、先に結論から申し上げますと、リノベーションの目的を明確にすれば、必要な改修範囲も見えてくるはずです。
本投稿は、「古いアパートのリノベーションはどこまで必要なのか」というテーマについて、最大の効果を生むための判断材料を提供します。これからリノベーションを検討される方は、ぜひ参考にして下さい。
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【本記事でお伝えする結論】
１．古いアパートのリノベーションが必要な理由
近年の賃貸市場では、築年数の古い物件の供給量が増加していることから、需要と供給のバランスが大きく崩れています。
この状況は借り手にとって有利に働くケースが多くなるため、設備や間取りが陳腐化した古い物件よりも、快適な生活環境を提供できる築年数が浅い物件を選ぶ傾向が顕著となっています。
そのため広告費を投入したり、適正家賃以下で募集を行ったとしても、競争力自体が低いため早期客付けが難しくなります。
一部の築年数が古い物件では最低限のリフォームを実施し、ホームステージングを活用して早期客付けを目指す取り組みが行われています。しかしこの方法では、設備や配管の老朽化対策に踏み込まないため、将来的な修繕コストの増加につながり、結果として空室リスクをさらに高める可能性があります。
一方で、顧客のライフスタイルに合わせたリノベーションを行うことで、設備や配管の経年劣化を抑えつつ、住空間を現代のニーズに適合させることができます。
こうしたリノベーションは資産価値を高める効果を持ち、家賃の値上げや早期客付けが期待できるため、収益性の改善につながる重要な手段として注目されています。
２．古いアパートのリノベーションの決断基準
古いアパートをリノベーションすると、従前と比べ資産価値が向上するため、家賃値上げや早期客付けができ収益性を高められます。ただし、一般的なリフォームと比べて費用が倍以上かかるため、その投資が十分な費用対効果を発揮するかどうか、慎重に判断する必要があります。
リノベーションを決断する際のポイントしては…
物件空室率が以前よりも上昇している
間取りが現代のニーズに対応していない
適正家賃以下で募集しても、空室が埋まりにくくなっている
などが挙げられます。これらの問題は、すでに物件としての資産価値が低下している証拠と言えます。そのため、リノベーションを実施することで価値を再び高めると同時に、高い費用対効果を狙うことが可能になります。
３．古いアパートのリノベーションはどこまで必要？
古いアパートをリノベーションする際、貸主の目指す目的や意図に応じて、リノベーション範囲や対応が変わります。
貸主がリノベーションを行う主な目的には、コストを抑えつつ現状の家賃水準で早期に部屋を埋めたいケースや、予算を投入して物件価値を高め、収益性を強化したいケースがあります。
前者の場合、主にキッチン交換を中心とした集客効果の高い改修や、古い間取りの変更、室内内装の張替えなどが基本となります。一方後者の収益性を向上を目指すケースでは、フルリノベーションが必要となり、設備の一新、間取りや内装の全面的な改修が施工範囲に含まれます。
なおフルリノベーションを行う場合には、特に慎重な計画が求められます。
どれほど改修に力を入れても、新築物件以上の価値を実現することはできないため、家賃の引き上げ幅は最大でも新築物件の80％が上限となりがちです。
予算をかけすぎると回収までに長時間を要する可能性があるため、コストパフォーマンスをしっかりと考慮しつつ、改修対象を選定することが大切です。コストを効果的に抑えるには、以下のような工夫が役立ちます。
管理会社ではなくリフォーム会社へ直接依頼して、中間マージンを削減する
既存設備の状態が良ければ、再利用することで費用を削減する
キッチンをリニューアルする際は、同型を採用することでコスト圧縮を図る
内装張替えする際には、素材や仕様のグレードを下げることで、施工単価を抑えられる
リフォーム会社に施主支給を認めてもらえれは、コストを抑えられる
これらの方法を取り入れることで、費用対効果を最大化しながら有効なリノベーションが可能になります。
４．古いアパートのリノベーションを成功させるには？
近年ではSDGsの普及に伴い、リノベーション物件が社会的に認知されるようになりました。その結果、築年数が古い物件であっても、集客に苦戦するケースは依然と比べて少なくなっています。
しかし、今後リノベーションを手掛ける物件が多くなることが予想されます。その中で確実に早期客付けに成功し、安定した家賃収入を得るには、ターゲット層の嗜好をしっかりと反映した魅力的なインテリアデザインを提供することがポイントとなります。
特にリノベーション物件を選ぶ方は、自分の好きなインテリアテイストで暮らしたいと考えている傾向が強いです。そのため、リノベーションを進める際には、ターゲット層を明確に設定し、そのペルソナに基づいたデザイン空間を作り上げることが重要です。
ターゲット層に響くインテリアを実現できれば、反響の増加が期待でき、結果として早期客付けにつながります。実際に、この戦略はリノベーション成功の必須要素と言えます。
一方で、この基盤となる取り組みが欠けている物件では、期待した結果が得られないことも少なくありません。競争が激化するこれからの時代において、一歩先を行くインテリアデザインを切り口にした工夫がカギとなるでしょう。
５．まとめ
今回は、古いアパートのリノベーションはどこまで必要なのかについて、お伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
空室対策としてリノベーションを検討している貸主は、今後退去が発生するタイミングで、順次リノベーションを展開していくと思われます。しかし複数の部屋を改修するとなると、多額の費用が必要になるため、自己資金だけでは対応が難しくなるケースも考えられます。
こうした場合、金融機関からリノベーション資金の融資を受けることで、資金繰りを安定させることができます。特に市区町村が窓口になっている公的融資制度は、低金利で返済期間が長めに設定され、税金の滞納がなければ利用しやすい特徴があります。
この制度は貸主にとって、安心して活用できる資金調達方法と言えるでしょう。
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