適正賃料の問題点とは?
- 空室対策リノベーション コンサルタント ㈲山長
- 4月13日
- 読了時間: 7分
部屋探しをされる方は、エリア内の賃料相場に関心を持っています。
近年の賃貸市場は需要と供給のバランスが崩れ、借り手有利な状況となっています。そのため募集部屋の賃料を適切に設定しなければ、反響を得ることが難しくなり、他の物件に流れやすくなるため、早期客付けが難しくなります。
しかし適正賃料に過度にこだわると、結果的に利幅が減少し、キャッシュフローを悪化する恐れがあります。
本投稿は適正賃料の問題点について、お伝えいたします。
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【本記事でお伝えする結論】
"適正賃料を考えるうえで重要なポイント”
1.適正賃料とは?

本題に入る前に適正賃料について簡単に説明いたします。適正賃料とは…
物件があるエリア
築年数
設備
周辺環境
賃貸需要と供給のバランス
などを考慮し、物件に対して合理的とされる賃料のことです。ポイントは貸主にとっては利益をもたらし、借主にとっても納得できる金額であることが求められます。
賃料の算出方法は「積算法」「賃貸事例比較法」「収益分析法」の3種類があります。賃貸物件の賃料算出の際には、積算法と賃貸事例比較法が使用されますが、管理会社が採用するのは「賃貸事例比較法」です。
賃貸事例比較法とは、募集する部屋と条件が類似している部屋の家賃を収集して比較し、算出する方法です。
管理/仲介会社が適正家賃にこだわる理由
管理会社や仲介会社が適正賃料にこだわる理由は明確です。
募集している部屋の賃料が相場と乖離すると、顧客は希望条件の中で最も賃料が安い部屋を選択するため、空室期間が長期化し管理料/仲介手数料収入が得られなくなってしまいます。
そのため貸主に対して市場相場にに基づいた賃料を提案することで、早期に管理料/仲介手数料収入を確保したいと考えています。
2.適正賃料の問題点とは?

賃貸物件の賃料相場は、一部エリアを除き築年数の経過と共に下落する傾向があります。適正賃料に見直すことで反響数が増加し、早期客付けしやすくなる利点がありますが、同時に以下の問題点が発生する可能性が高まります。
1)キャッシュフロー減少の可能性

築年数が経過した物件は競争力が低下し、更に供給数が多いため、集客強化するために価格競争が激化しています。
価格競争が進むと、前述の「賃貸事例比較法」の影響を受けやすくなり、適正賃料が下落することを意味しています。その結果利幅は確実に減少します。
利幅が減少すると損益分岐点が必然的に上昇し、退去が重なれば一気に赤字転落し、キャッシュフローが悪化するリスクが高まります。
さらに日銀が2024年3月にマイナス金利を解除しました。これにより今後政策金利が上昇する見込みが強まります。アパートローンの多くは変動金利型であるため、政策金利の上昇は短期プライムレートの上昇を招き、毎月のアパートローン返済の負担が増加します。
アパートローンを利用している貸主は、適正賃料を過度に意識すると、キャッシュフローが厳しくなることは確実です。
2)物件内での家賃乖離

貸主が適正賃料に基づいて賃料設定すると、その情報は賃貸検索サイトに掲載され、現在の借主との賃料に乖離が発生します。
設備や間取りなどが今までと同じの場合、現在の借主は「不公平」と不満を抱き、貸主に対して募集賃料並みに値下げを求める可能性が高まります。
また借主側も近年の賃貸市場が「借り手有利」であることを意識しているため、値下げに応じなければ退去の意向を示すことが考えられます。
貸主にとっては退去されるより賃料値下げの方がメリットが大きいと判断します。その結果負のスパイラルが続き、収益は右肩下がりになってしまいます。
3)属性の低下
適正賃料に基づいた賃料設定することで、成約率は向上する可能性があります。しかし賃料値下げの代償として、借主属性は確実に悪化することになります
こちらのユーチューバーは激安物件に2年間入居した体験を動画内で公表していますが、入居デメリットとして属性の悪さを挙げています。
属性が悪化すると借主同士によるトラブルが発生しやすくなります。トラブルが原因で退去となると、再募集時に告知しなければならないため、適正賃料以下で募集しても客付けハードルが高くなってしまいます。
3.収益改善を目指すならどうする?

ここまで適正賃料に基づいた設定は、メリットが少ないことをお伝えしました。築年数が経過した物件の収益を改善するには、どのような手段があるのでしょうか?最も効果的な方法は「資産価値を向上させること」です。
資産価値を高めるとは?
築年数が経過すると減価償却が終了し、競争力が急激に低下してしまうため、空室が目立つようになります・
しかし物件の資産価値を向上させることができれば、たとえ築年数が古くても競争力が高まり、適正賃料に沿った募集を行わなくても、早期客付けは十分に期待できます。
ここでいう物件資産価値を高める方法とは、リノベーションを行うことです。
リノベーションして本当に家賃アップ可能なの?
弊社物件が取り巻く環境について、簡単に説明いたします。
物件がある山梨県は賃貸空室率30%で、全国ワースト3位
弊社物件がある甲府市大里町は、1990年代に施工された物件が多い
空室率の悪化により価格競争が激化し、空室期間が長期化している物件も多い
弊社物件は1993年築の2LDK賃貸アパートで、2016年まではリフォーム強化したこともあり、相場より高めの賃料設定でも客付けに苦戦することはありませんでした。
しかし翌年の繁忙期募集部屋が全く埋まらず、3月末に転勤による2部屋同時退去が発生し、収益性が低下しました。
弊社代表は資産価値を向上させなければ、今後のキャッシュフローは今後さらに悪化すると判断し、翌年から空き部屋を随時リノベーションを行うことにしました。

リノベーションを通じて資産価値を向上させ、さらに競合物件との差別化を明確にしたことで、競争の厳しい市場での優位性を築くことができました。
その結果、賃料値上げしても安定した集客が可能となり、2020年以降は増収増益を実現し、満室経営を達成することができました。
▶弊社リノベーション詳細については、過去記事をご覧下さい。
4.まとめ
今回は適正賃料の問題点についてお伝えいたしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
近年では部屋探しに対する価値観が多様化し、個々のライフスタイルを重視される方が増えてきています。
このため競争力が低下した築年数が古い物件をリノベーションすることで、部屋探しされる方のニーズに応えることが可能となります。その結果適正賃料を超えた賃料で貸し出しても、客付けに影響が出ることはありません。
適正家賃はあくまでも参考程度にとして考えるべきで、これを過信するとキャッシュフローの悪化を招く恐れがあるため、注意が必要です。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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