賃貸経営は借主が入居してもらわない限り家賃収入は発生しません。そのため一定期間空室期間が続くと「家賃値下げして入居促進させた方がいいのでは?」と考える貸主は非常に多いと思います。
「家賃値下げして満室を目指す」
一見合理的な考え方かもしれませんが、長期的な視点から見てこれは不正解。家賃値下げは様々な弊害をもたらすだけです。
本投稿は家賃値下げして満室を目指すことは正解なのかについてお伝えいたします。
▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.賃貸家賃値下げして満室目指すのは正解なのか?
冒頭で「家賃値下げして満室を目指すことは弊害」とお伝えしたが、どうして家賃値下げすることが貸主にとって弊害となるのか?
その理由として以下の3つを挙げることができます。
収益悪化
利回りが悪くなる
質が悪くなる
それではそれぞれの対策を見ていきましょう。
1)収益悪化
賃貸物件の資産価値は築年数の経過と共も下落していきます。そのため家賃相場も比例していきます。
例えば家賃3,000円値下げし客付けに成功したとしても年間で36,000円→10年経過すると360,000円マイナスとなります。
家賃値下げ集客すると、他の借主にバレてしまう可能性が高くなります。そのため契約更新のタイミングで家賃値下げ要求されてしまい、負のスパイラル状態に陥ってしまう可能性が高くなります。
▶負のスパイラルに関しては、過去記事をご覧下さい。
2)利回りが悪くなる
家賃値下げ=物件価値が下がることを意味するため、物件売却をする際非常に不利になります。
例えば家賃50,000円×10戸所有していた場合、年間家賃収入は6,000,000円です。空室を早期に埋めるために全室3,000円値下げすると年間家賃収入は5,640,000円となり年間36万円マイナスになります。
エリア内の市場利回りが7%と仮定した場合、物件売却価格に大きな差異が発生し結果的に損失額が大きく売却が難しくなることもあります。
家賃値下げする前 | 家賃値下げ後 | 差額 |
8,571万円 | 8,057万円 | ▲514万円 |
3)質が悪くなる
家賃値下げすると客付けはしやすくなる一方で、借主属性は悪くなります。特に「家賃滞納」「借主同士のトラブル」発生率は高くなり、その結果…
借主の長期入居が難しくなる
借主が強制退去となり、物件価値/評判が下がる
騒音トラブルが原因で退去となると告知義務対象物件となり客付けに不利
仲介会社からの評価が下がり、紹介されにくくなる
ことがあり貸主にはマイナスとなってしまいます。
2.家賃値下げ集客は限界に達している
近年の賃貸市場は「物件供給数が飽和状態」「人口減少」の影響から、地方都市においては空室率が悪化しています。一部エリアではすでに30%台に達していますが空室率はさらに悪化すると言われています。
空室率が悪くなれば、競争力が低下している築年数が古い物件は不利になり、家賃値下げしても供給数が多いため空室期間が長期化してしまうリスクが高くなります。
弊社物件がある山梨県は、日本一空室率が悪い県。山梨県の賃貸市場は1990年代に発生した「相続税対策」で賃貸アパートを建てた貸主が多いため、築年数が古い物件が多いのが特徴です。
築年数が経過しても資産価値を高める空室対策を実施している物件は、客付けに苦戦していないものの原状回復程度リフォームしかしていない物件では、家賃相場以下に家賃を落としても空室が埋まらなくなっています。
今後空室率はさらに悪化するため、客付けができる物件とできない物件の二極化はさらに大きくなります。生き残るためには「物件資産価値を高める空室対策」を行うしか方法はありません。
3.賃貸経営で生き残るためには?
新築物件は募集開始と同時にすぐに部屋が埋まり、建物が完成する前に全室満室になることは珍しくはありません。
どうして新築物件に多くの方が入居するのか?
その理由は資産価値が高いからです。最新設備/入居履歴がない新築物件は家賃はとても高いですが、新築物件に入居される方は「家賃以上の価値を求めている」からです。
視点を変えれば資産価値を高めれば、築年数が古い物件でも「家賃値上げが可能となり安定した集客を実現」することができます。つまりリノベーションが有効的。
リノベーションは借主/貸主双方にメリットが大きいのが特徴です。
借主:デザイン性が優れているのに新築より家賃が安い
貸主:築年数の古さをカバーでき、収益改善が期待できる
実際リノベーションを行っている物件は、早期客付け/リノベーションを機に家賃値上げを行っているため安定した家賃収入を得ることに成功しています。そのため近年ではリノベーションを行う物件が多くなってきています。
賃貸市場的にリノベーション物件が多くなることで活性化につながるため、歓迎すべきところではあるものの、リノベーション物件の供給数が多くなれば過当競争が発生するリスクがあります。
過当競争から回避するには「物件資産価値をいかに維持するか」が問われていきます。つまり資産価値が下がりにくいリノベーション物件を提供するのがカギとなります。
弊社物件は築年数が古いため2018年からリノベーションを開始。競合他社との徹底的な差別化を図る目的から「カフェスタイル」に特化したリノベーションを行っています。
自然素材の無垢材/漆喰を取り入れることで、時間の経過と共に「味わい深くなる部屋」となります。ナチュラルテイストが好きな方にとって「温かみや温もり」が感じられる部屋は、価値が高いと判断します。
自然素材は材料費が高いため、競合リノベーション物件はなかなか手を出すことができません。その結果資産価値が下がりにくくなり長期入居/家賃維持/再募集したとしても早期客付けがしやすくなります。
▶弊社リノベーション詳細は過去記事をご覧下さい。
4.まとめ
今回は家賃値下げして満室を目指すことは正解なのかについてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
設備投資に消極的な貸主は
リノベーションで本当に満室になるのか?
高額になるリノベーションの費用回収はできるか?
上記2点のいずれかで悩んでいると思います。しかし今後の賃貸市場は空室率はさらに悪化し、競争力が低下した古い物件は更に客付けに不利になるためキャッシュフローが悪化することは明白です。
弊社物件は築年数が古い/物件がある山梨県は空室率全国ワースト1位です。しかし差別化リノベーションを徹底したことで2020年以降増収増益+満室継続を実現。弊社リノベーションは不動産系メディアにも他州紹介されるほど注目されています。
▶詳細はこちらをお読みください。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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