不動産賃貸市場は全国的に物件供給数が飽和状態となっているため「借り手有利」となっています。一昔前は競争力が高い新築/築年数が浅い物件が人気でしたが、近年部屋探しの多様化が進みリノベーション物件が認知/普及されてきています。
そのため全ての賃貸オーナーにとって空室対策は必須であり、空室対策を行わなければ築年数が浅い物件であっても客付けは厳しくなってしまいます。
本投稿は賃貸オーナーが知っておくべき空室対策の基本について、お伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.空室対策の重要性
1)空室の原因と影響
野村総研が2017年に発表したリリースによると、2033年の空き家数2,166万戸(2018年比:1,083万戸プラス)空き家率30,4%(2018年比:13,4%プラス)になる予測を発表しています。
背景には人口減少(特に15~64才までの生産年齢人口の減少)と新規物件供給過剰が挙げられます。現在の賃貸市場は需要と供給のバランスが逆転しているため、全国的に空室率が悪化し特に地方都市の一部エリアではすでに空室率30%台に達しています。
空室率が悪化すれば競争力が低下した築年数が古い物件は確実に影響が出てしまうため、価格競争を余儀なくされてしまいます。その結果…
家賃値下げしても客付けがうまくいかない
家賃値下げしたことで収益が低下
家賃値下げしたことで属性が悪い入居者が増え、管理トラブル増加
などが起こり所謂負のスパイラルに陥ってしまう可能性が高くなります。
2)空室対策のポイント
賃貸物件の資産価値は築年数の経過と共に下落します。資産価値が下落すると物件に魅力が感じられなくなるため空室が目立つようになります。
空室対策のポイントはやはりリフォーム/リノベーションです。リフォーム/リノベーションすると従前と比べ資産価値が向上するため、早期客付け効果が期待できます。
設備の減価償却は15~20年で終了します。そのため築20年を境に20年以下なら表装リフォームをメインに20年以上の場合は、資産価値UPが期待できるリノベーションを行うと効果的です。
なお空室対策の一環として家賃値下げがありますが、正直おススメできません。家賃値下げすると反響が多くなるため客付けしやすくなりますが…
貸主収益が悪化する
同一物件内で家賃乖離が発生するため、他の借主とトラブルになる
他の借主から家賃値下げ交渉が入りやすくなる
属性が悪い借主が入居しやすくなるため、トラブル発生率が高くなる
可能性が高くなるため安定した賃貸経営を行うことが難しくなります。
3)賃貸オーナーの心構え
一昔前は賃貸物件の供給数は少なかったため、空室対策しなくてもすぐに部屋は埋まりました。そのため一時期は賃貸オーナーは通帳を見る以外特段することはありませんでした。
しかし今後の賃貸市場は空室率悪化がさらに深刻になるため、安定した家賃収入を得ることは難しくなります。
賃貸オーナーの心構えとしては…
通帳を見ているだけの事態はすでに終わっている
副業感覚でできる仕事ではない
ことを常に意識しなければ賃貸経営は必ず失敗してしまいます。
4)需要の変化と対策
ライフスタイルの変化により顧客が求める賃貸像は日々変化しています。つまり需要に追い付かない賃貸物件は敬遠されてしまうため集客が難しくなります。
昔は部屋数が多い物件の方が人気が高かったため、DK物件は多かったのですが近年はリビングで寛ぎたい/明るい間取りを希望される方が多くなったため、DK物件の需要は大幅に低下しています。
しかしLDKに間取り変更することで、反響数を上げることができるため、従前と比べると客付けに有利になります。
5)競合物件との差別化
先程もお伝えしましたが近年の賃貸市場は物件供給数が完全に飽和状態となっています。そのため競争力が低下した築20年以上の物件は、家賃値下げしただけでは空室を埋めることが難しくなってしまいます。
安定した賃貸経営を行うには競合物件との差別化は必須です。冒頭でお伝えした通り近年の賃貸市場は部屋探しの多様化が進んでいるため、リノベーションを行うと早期客付けが期待できます。ただリノベーションしても競合物件も同様の対応をとることが予想されるため…
競合物件が追随できないぐらい徹底した差別化を図ったリノベーション
を行うと効果的で具体的には、リノベーションブランド力を高めることが求められます。
▶差別化の詳細は過去記事をご覧下さい。
2.入居者募集について
1)効果的な募集
主要賃貸検索サイトに物件掲載する
部屋探しされる方は賃貸検索サイトを利用していますが、その中でもSUUMO/LIFULL HOME'S/at-homeは「3大ポータルサイト」と言われ反響数UPが期待できます。
基本的に賃貸検索サイト掲載は仲介会社が行います。管理会社に管理委託している物件では仲介会社に依頼してくれるため、貸主が特段対応することはありません。
適正家賃を把握する
部屋探しされる方は「家賃相場」を意識しています。募集物件の家賃とエリア内の家賃相場に乖離があると家賃が安い物件の方に流れてしまう可能性が高いため、募集する際は「適正家賃」を把握することが重要です。
適正家賃の調べ方はとても簡単で、SUUMO賃貸経営サポートにログインし必要情報を入力する家賃相場/設備相場を確認することができます。
募集条件を緩和する
募集条件を緩和することで入居促進を図ることができ代表例が敷金/礼金の撤廃です。
両者は昔からある商習慣ですが、敷金は家賃保証会社を利用すれば滞納/夜逃げリスクをカバーすることができ、礼金は貸主に支払う謝礼金ですが、物件供給数が多い現在礼金は時代遅れと言っても過言ではありません。
敷金/礼金を撤廃することで初期費用を削減することができるため、効果的な募集を行うことができます。また一定期間フリーレントをつけるとさらに効果的です。
2)内見ポイント
部屋探しされる方は3件程度内見→内見からの成約率は約2割と言われています。そのため成約率を高めるには内見数を増やすことと物件印象を高めることが重要になってきます。
一般的に「第一印象は3秒で決まってしまう」と言われいます。そのため内見時…
物件外観/共用部が整理整頓されていない、清潔感がない
内見した部屋から嫌なにおいを感じる
清潔感がない
と、例え適正家賃で募集しても「入居後の生活イメージ」が連想しなくなるため成約率は悪くなってしまいます。
上記を予防するには、定期的に物件清掃を行う/排水管のトラップ部分に水が溜まるようにしておく/リフォームやリノベーションを行うと効果的です。
3.メンテナンスとリフォームの重要性
1)定期メンテナンスの必要性
賃貸経営における定期的に行うメンテナンスとしては…
退去後の室内リフォーム
エアコン/換気扇などの消耗品交換
10年に1度の大規模修繕
があります。築年数が経過すると経年劣化が多くなるため修繕費は右肩上がりとなってしまいます。また昨今は金利上昇/原材料費高騰の影響を受けリフォーム費用も高くなっています。
そのため貸主的にはメンテナンスに消極的になってしまいますが、メンテナンスを行うことで…
建具トラブルを予防することができる
建物寿命を延ばすことができ結果的に修繕費用を抑える効果が期待できる
資産価値の下落を防ぐことができる
ため結果的には貸主メリットが大きいと言えます。
2)リフォームの重要性
近年の賃貸業界では「低予算リフォーム+ホームステージング集客」がとても人気になっています。低予算で客付けができれば…
空室による家賃機会損失を最小限に抑えられる
費用を抑えられるためキャッシュ改善効
が期待できます。ただ上記空室対策を行っても物件資産価値は向上していません。そのため適正家賃に合わせた募集を行わなければ客付けは難しくなるため収益改善は期待できません。
また適時リフォームを行わないと経年劣化を見逃してしまう可能性が高くなるため、場合によっては建物/管理トラブルに発展するリスクが高くなります。
4.まとめ
今回は賃貸オーナーが知っておくべき空室対策の基本について、お伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。
賃貸経営は築年数が経過すると修繕コストが多くなるため、うまみがあまりないと言われています。ただ適切な空室対策することで築年数が経過しても早期客付け/収益アップは十分期待できます。
また空室対策を強化している物件は、仲介会社からの紹介が多くなるため、結果的には空室対策を行った物件が勝者となります。
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