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賃貸リフォームとリノベーション、貸主が選ぶべき判断基準とは?


築年数が経過した賃貸物件では、設備や内装の老朽化が進み、入居希望者のニーズに合わなくなることで、空室期間が長期化したり、家賃の値下げを検討せざるを得なくなることがあります。



こうした状況を改善する方法として、賃貸リフォームやリノベーションがあります。しかし、どちらを選択すればよいのか、判断に迷う貸主も少なくないのではないでしょうか?



リフォームは比較的少ない費用で老朽化した部分を改善できる一方、リノベーションは間取りや設備を見直すことで、物件の競争力を高め、家賃の維持や値上げにつながる可能性があります。



ただし、工事費をかければ必ず収益性が改善するわけではありません。築年数や設備の状態、空室期間、周辺の家賃相場などを踏まえ、適切な工事方法を選択することが重要です。



本記事では、1993年築のファミリーアパートを実際に経営し、リフォームからリノベーションへ方針転換した経験をもとに、貸主が判断する際の基準や費用対効果、注意点について解説します。


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▼ 目次




【本記事でお伝えする結論】


  • リフォームとリノベーションは築年数だけで判断せず、設備の状態や競合物件、空室期間などを踏まえて選択すること。


  • 工事費の安さや家賃値上げだけに注目せず、空室期間の短縮や維持管理費も含めて費用対効果を判断すること。


  • 工事の失敗を防ぐには、入居希望者のニーズを把握し、改修箇所の優先順位や予算、施工中のトラブル対策を明確にすること。


1.賃貸リフォームとリノベーションについて


賃貸リフォームとリノベーションについて

賃貸リフォームとリノベーションは、どちらも建物や室内の改修工事を指しますが、工事の目的や内容には違いがあります。



まずは、両者の特徴を比較表で確認してみましょう。



賃貸リフォームは、老朽化した設備や内装を修繕・交換し、従来の機能や状態を回復させることが主な目的です。そのため、原状回復工事と重なる部分もあります。



例えば、壁紙や床材の張り替え、古くなった設備の交換などが挙げられます。工事範囲を必要な部分に限定できるため、改修費用を抑えやすいことが特徴です。



一方、賃貸リノベーションは、既存の間取りや設備、内装などを見直し、住まいの機能性やデザイン性を向上させることを目的としています。例えば、3DKを2LDKに変更したり、キッチンや洗面台を使いやすい仕様に変更したりする工事が挙げられます。



ただし、リフォームとリノベーションには明確な統一基準があるわけではなく、設備交換など一部の工事内容は共通しています。



そのため、工事の名称だけで判断するのではなく、どこまで改修する必要があるのか、工事の目的と範囲を明確にすることが大切です。



▶リフォームとリノベーションの具体的な違いについては、関連記事「賃貸リフォームとリノベーションの違いとは?」をご覧ください。



2.賃貸リフォームとリノベーション、貸主が選ぶべき判断基準とは?


賃貸リフォームとリノベーション、貸主が選ぶべき判断基準とは?


賃貸リフォームとリノベーションのどちらを選ぶべきかについては、築年数がひとつの判断材料になります。



例えば、築10~20年程度ではリフォームを中心に検討し、築20年以上ではリノベーションも選択肢に加えるという考え方があります。



ただし、これはあくまで改修方法を検討する際の目安であり、築年数だけで工事方法を決めることはできません。実際には、設備や間取りの状態、競合物件との違い、空室期間などを踏まえて判断する必要があります。



それでは、築年数と家賃相場の関係を踏まえながら、リフォームとリノベーションを選択する際の判断基準について、具体的に解説します。


1)築年数と家賃相場の関係


築年数と家賃相場の関係

一般的に、賃貸物件は築年数が経過するにつれて設備や内装の老朽化が進み、新築物件や築浅物件と比較して家賃相場が低くなる傾向があります。



ただし、家賃相場は築年数だけで決まるものではありません。立地条件や物件の管理状態、周辺の賃貸需要などによっても異なるため、築10年目や20年目に必ず大きく下落するわけではありません。



▶築年数と賃料の関係については、一般財団法人日本不動産研究所の調査資料「賃貸用共同住宅の賃料にみる経年減価とその地域的特性」も参考になります。


2)築10~20年程度の物件はリフォームを中心に検討


築10~20年程度の物件はリフォームを中心に検討


築10~20年程度の物件では、設備や間取りの状態によっては、大規模な改修を行わなくても、内装の張り替えや設備の部分的な交換によって競争力を維持できる場合があります。



このような場合は、表装リフォームを強化することで、工事費を抑えながら家賃の維持や値下げ幅の抑制を目指すことができます。



ただし、築年数が比較的浅くても、エリア内の競争が激しい場合や、新築物件の供給が増加した場合には、競争力を維持するために部分的なリノベーションも選択肢になります。



▶なお、建物や設備の修繕時期については、国土交通省が公表している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」も参考になります。


3)築20年以上の物件はリノベーションも選択肢に


築20年以上の物件はリノベーションも選択肢に


一方、築20年以上の物件では、設備や内装の老朽化に加え、間取りが現在の入居希望者のライフスタイルに合わなくなっている場合があります。



こうした物件では、表装リフォームだけでは十分な競争力を確保できず、適正家賃で募集しても空室が長期化する可能性があります。



特に、従来と同じリフォームを行っても成約期間が長期化するようになった場合は、工事方法そのものを見直すタイミングと言えるでしょう。



ただし、築20年以上でも賃貸需要に対して物件の供給が少なく、安定した入居が見込める場合には、設備や内装に多少の古さが残っていても、必ずしも大規模なリノベーションを行う必要はありません。


4)最終的には物件の競争力と成約状況で判断する


最終的には物件の競争力と成約状況で判断する


築年数は改修方法を検討する際の目安になりますが、実際には競合物件と比較した設備や間取りの魅力、募集家賃、成約までの期間などを総合的に判断することが重要です。



安易な家賃の値下げに頼らず、物件の競争力を高めるためには、必要な箇所に適切な費用をかけることが大切です。



ただし、改修に費用をかければ必ず入居者を確保できるわけではありません。工事費と期待できる収益改善のバランスを確認し、費用対効果を見極める必要があります。



▶築古物件の空室対策やリノベーションの進め方については、関連記事「空室対策リノベーション完全ガイド」をご覧ください。


3.賃貸リフォームとリノベーションの費用目安と費用対効果について


賃貸リフォームとリノベーションの費用目安と費用対効果について

賃貸リフォームとリノベーションでは、工事内容や改修範囲によって必要な費用が大きく異なります。

また、同じ金額を投資したとしても、施工後の家賃や空室期間によって得られる収益改善効果は変わります。



そのため、工事費の安さだけで判断するのではなく、施工後にどの程度の収益改善が期待できるかを確認することが重要です。ここでは、それぞれの工事費用の考え方と、費用対効果を判断する際のポイントについて解説します。


1)賃貸リフォームとリノベーションの費用目安


賃貸リフォームとリノベーションの費用目安

賃貸リフォームの費用は、壁紙や床材の張り替え、設備の部分的な交換など、工事内容や施工範囲によって異なります。そのため、一律の費用目安を示すことは難しく、必要な工事を整理したうえで見積もりを取ることが重要です。



一方、リノベーションには、既存の設備や間取りを生かしながら必要な箇所を改善する部分リノベーションと、室内を広範囲に改修するフルリノベーションがあります。



弊社が運営する1993年築のファミリー向けアパートでは、これまでの施工経験を踏まえ、部分リノベーションでは約120万~150万円、フルリノベーションでは約200万~240万円をひとつの予算目安としています。



ただし、これらは弊社の施工事例に基づく金額であり、一般的な工事費用の相場を示すものではありません。実際の費用は、物件の広さや設備の状態、施工範囲、使用する材料などによって異なります。



▶部分リノベーションとフルリノベーションの施工内容や予算配分については、関連記事「賃貸リノベーション予算が限られている場合どうしたらいい?」をご覧ください。


2)部分リノベーションでも家賃値上げは期待できる


部分リノベーションでも家賃値上げは期待できる

リフォームや部分リノベーションは改修範囲が限定されるため、工事内容によっては家賃値上げにつながりにくい場合があります。



一方、入居希望者が重視する設備や内装を重点的に改善することで、比較的少ない投資額でも家賃の維持や値上げにつながる可能性があります。



例えば、キッチンや洗面台など、入居希望者が内見時に注目しやすい設備を改善することで、競合物件との差別化につながる場合があります。



そのため、必ずしも室内全体をリノベーションする必要はなく、入居希望者のニーズと既存設備の状態を踏まえ、優先順位を決めて改修することが重要です。


3)リノベーション後の家賃設定は周辺相場を参考にする


リノベーション後の家賃設定は周辺相場を参考にする

フルリノベーションを行うことで、間取りや設備、内装などを現在のライフスタイルに合わせて改善できるため、物件の競争力が高まり、家賃の値上げにつながる可能性があります。



しかし、室内を新築同様に改修したとしても、建物自体の築年数や構造、共用部分などが新しくなるわけではありません。



そのため、新築物件と同程度の家賃に設定してしまうと、内見者から「同じ家賃を支払うのであれば、新築物件のほうがよい」と判断され、かえって客付けが難しくなる恐れがあります。



弊社では、リノベーション後の家賃設定を検討する際、周辺の新築物件の家賃を参考にしながら、原則としてその80%を超えないことをひとつの目安としています。



ただし、実際の募集家賃は、立地条件や間取り、設備、競合物件の状況などを踏まえて判断しています。



また工事費を回収しようとして家賃を高く設定しすぎると、成約までの期間が長引き、結果として収益改善につながらない可能性があるため注意が必要です。


4)投資回収期間と費用対効果を確認する


投資回収期間と費用対効果を確認する

リノベーション予算を設定する際には、施工後の家賃増額だけでなく、空室期間の短縮や将来的な修繕費用なども考慮し、投資回収の見通しを立てることが重要です。



例えば、リノベーションによって家賃が月額5,000円上がった場合、年間の家賃増収額は6万円になります。



しかし、家賃増額分だけで投資回収を判断すると、空室期間の短縮による収入改善や、工事後に発生する維持管理費などを十分に反映できません。



そのため、施工前後の収益を比較する際には、家賃の増減だけでなく、想定空室期間や修繕費、維持管理費なども含めて検討する必要があります。



特に高額な工事を行う場合は、期待できる収益改善効果に対して投資額が過大になっていないか、事前に確認することが重要です。



▶リノベーションの費用対効果や施工後の収益性については、関連記事「【アパート経営】リノベーション空室対策の費用対効果」をご覧ください。



4.賃貸リフォームとリノベーションを行う際の注意点


賃貸リフォームとリノベーションを行う際の注意点


賃貸リフォームやリノベーションでは、工事内容の選定や予算管理、施工中のトラブルへの対応など、事前に確認しておきたい注意点があります。



特に、改修箇所の選定を誤ったり、想定外の追加工事が発生したりすると、予定していた収益改善につながらない可能性があります。ここでは、施工前・施工中に起こりやすい失敗と、その防止策について解説します。


1)空室の原因を確認せずに表装リフォームを行う


空室の原因を確認せずに表装リフォームを行う


表装リフォームを行う際に注意したいのは、壁紙や床材を新しくするだけで、必ずしも空室の原因を解消できるわけではないという点です。



例えば、入居希望者がキッチンや浴室などの設備に不満を感じている場合、内装だけをきれいにしても、十分な改善効果が得られない可能性があります。特に注意したいのは、空室の原因を十分に確認せず、これまでと同じリフォームを繰り返してしまうことです。



そのため、工事を発注する前に、空室の原因が内装の古さにあるのか、それとも設備や間取りにあるのかを確認し、改修する箇所の優先順位を決めることが重要です。



▶弊社が従来のリフォームによる空室対策に限界を感じ、リノベーションへ方針転換した経緯については、関連記事「【アパート経営】相続してから空室0にするまでやってきたこと①」をご覧ください。


2)必要以上の改修による過剰投資に注意する


必要以上の改修による過剰投資に注意する


賃貸リフォームやリノベーションでは、設備や内装を改善することに意識が向きすぎると、必要以上に工事範囲を広げてしまう場合があります。



例えば、既存設備が十分に使用できるにもかかわらず、見た目を新しくするためだけに交換すると、工事費が増える一方で、家賃や成約期間への効果が限定的になる可能性があります。



一方で、費用を抑えることばかりを優先し、入居希望者が重視する設備まで改修対象から外してしまうと、十分な競争力を確保できない場合もあります。



そのため、工事費の削減だけを目的とするのではなく、入居希望者への訴求に必要な部分と、既存設備を活用できる部分を見極めることが重要です。




▶弊社が実際に経験したリノベーションの過剰投資や、費用削減による失敗とその改善策については、関連記事「【2022年】実体験をもとに賃貸リノベーション失敗と対策を解説」をご覧ください。


3)ターゲット戦略と予算の明確化


ターゲット戦略と予算の明確化

リフォームやリノベーションを行う際には、どのような入居希望者をターゲットにするのかを明確にしておくことが重要です。



ターゲットを決めずに設備や内装を選んでしまうと、工事費をかけても入居希望者のニーズに合わず、十分な効果が得られない可能性があります。例えば、単身者向けとファミリー向けでは、求められる間取りや収納、設備などが異なります。



そのため、周辺の賃貸需要や競合物件を確認し、想定する入居希望者に合った改修内容を検討する必要があります。



また、工事を進める中で設備や仕様を追加すると、当初の予算を超えてしまう場合があります。施工前にはターゲットと改修目的を明確にし、工事内容と予算の上限を決めておくことが大切です。



▶リノベーションの予算設定や資金確保については、関連記事「賃貸リノベーションに必要な資金計画の立て方」をご覧ください。


4)緊急修繕が発生する可能性がある


緊急修繕が発生する可能性がある


築年数が経過した物件では、リノベーション工事中に、事前の確認だけでは発見できなかった劣化や損傷が見つかる場合があります。



実際に弊社でも、洗面所のクッションフロアを張り替える際、床下の根太が腐食していることが判明し、追加で根太の交換工事を行った経験があります。このような想定外の修繕が発生すると、追加費用だけでなく、工期にも影響する可能性があります。



そのため、リノベーションを計画する際には、工事予算とは別に予備費を確保し、工程にも余裕を持たせることが重要です。弊社では、想定外の修繕に備え、工事費の10%程度を予備費として確保するようにしています。



また、追加工事が必要になった場合には、施工会社から工事内容や費用、工期への影響について説明を受け、双方で確認したうえで進めることが大切です。



▶弊社で実際に発生した追加修繕や工期遅延などの事例については、関連記事「弊社が体験した賃貸リノベーショントラブル3選」をご覧ください。


5)騒音トラブル対策




賃貸リフォームやリノベーションでは、工事中の騒音や振動が、ほかの入居者の生活に影響を与える場合があります。



特に、床材の撤去や設備の交換、間取り変更などを伴う工事では、大きな音が発生することがあるため注意が必要です。



こうしたトラブルを防ぐためには、工事開始前に入居者へ通知文を配布し、工事期間や作業時間、施工会社の連絡先などを知らせておくことが重要です。



また、大きな音が発生する作業については、可能な範囲で施工予定日を事前に伝え、入居者の理解を得られるよう配慮する必要があります。



工事を円滑に進めるためにも、施工会社と作業時間や騒音対策について事前に打ち合わせを行い、既存入居者への影響をできる限り抑えることが大切です。




▶リフォーム・リノベーション工事中に発生しやすい騒音や、入居者からのクレームを防ぐための具体的な対策については、関連記事「賃貸内装工事でよくあるクレームとは?」をご覧ください。


5.まとめ


今回は、賃貸リフォームとリノベーションの違いや判断基準、費用対効果、施工時の注意点についてお伝えしました。



弊社では、築24年目までは表装リフォームを中心に空室対策を行い、家賃を下げずに早期成約を実現していました。しかし、2017年の繁忙期に従来の方法では空室が埋まらなくなり、2018年からリノベーションへ方針転換しました。その結果、2020年以降は年間平均入居率95%以上を維持しています。



この経験から、過去に成功した改修方法が、将来も通用するとは限らないと実感しています。



大切なのは、築年数だけで判断せず、入居希望者のニーズや競合物件の状況を確認し、必要な改修に適切な費用をかけることです。物件の現状に合った工事方法を選び、安定した賃貸経営につなげていきましょう。


「リフォームとリノベーションのどちらを選べばよいのか」「どこまで費用をかけるべきなのか」と悩まれる方もいらっしゃるのではないでしょうか?


弊社では、実際の賃貸経営で培った経験をもとに、築古物件の空室対策やリノベーションに関する無料相談を行っています。


弊社が実際に行ったリノベーションの施工内容や収益改善の実績については、「空室対策リノベーション実績」でご紹介しています。


空室がなかなか埋まらない、改修方法や費用の判断に迷っているというオーナー様は、ぜひ一度、(有)山長の無料相談をご利用ください。






空室対策コンサルタント 有限会社山長

有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)    空室対策コンサルタント


1993年に祖父が建設した3棟のアパートを、2007年に突如相続。当時は赤字経営に陥り、修繕費すら捻出できない絶望的な状況からのスタートでした。


暗中模索の中、2018年より独自の「高付加価値リノベーション」を本格開始。


その結果、2020年以降はリノベーション前の入居率77%から、年間平均95%以上へと大きく改善しました。築30年以上の物件ながら、周辺相場より10%以上高い家賃設定で「年間収入430万円アップ」を達成しています。


この逆転劇は『全国賃貸住宅新聞』などの業界メディアでも大きく取り上げられました。


現在は、山梨県内を中心に空室対策コンサルタントとして活動。自ら苦境を乗り越えた「大家の痛みがわかる専門家」として、コストを抑えつつ物件収益を最大化する、持続可能な満室経営をサポートしています。


あなたのアパート経営を支援させていただきます!


▶︎〒400-0053 山梨県甲府市大里町2090

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