賃貸リフォームとリノベーション、貸主が選ぶべき判断基準とは?
- 空室対策リノベーション コンサルタント ㈲山長
- 6 日前
- 読了時間: 9分
賃貸経営は借主が入居すれば、安定した家賃収入を得ることができます。しかし、物件資産価値は築年数の経過と共に低下するため、次第に空室が目立つようになり、場合によっては家賃値下げを余儀なくされてしまいます。
一方で付加価値を高めるリフォームやリノベーションを施すことにより、物件価値を向上させることができます。
その結果、家賃の更なる値下げを回避し、物件稼働率を安定させることができますが、その効果を最大限に引き出すためには、リフォームやリノベーションを実施するタイミングが非常に重要になります。
本投稿は、賃貸リフォームとリノベーションについて、貸主が選択する際の判断基準についてお伝えいたします。
▶︎お知らせ◀︎
私の経営する有限会社 山長ではアパートの経営改善、空室対策など賃貸経営者を支援するコンサルティングサービスを行なっています。自己破産寸前の状態から空室ゼロへ、そして安定した入居率を実現するまでに至った経験をもとにオーナー様と一緒になって改善のお手伝いをさせていただきます!
まずはお手軽無料相談からお問い合わせください。
【本記事でお伝えする結論】
1.賃貸リフォームとリノベーションについて

本題に入る前に、賃貸リフォームとリノベーションについて、改めて整理したいと思います。
近年の賃貸業界は、物件供給数の増加や借主ニーズの多様化により、築年数が古くてもデザイン性や機能性の高いリーズナブルな物件への需要が高まっています。
そのため昔と比べるとリフォームやリノベーションを行う物件は多くなっています。一方で適切な時期にリフォームやリノベーションを行わない物件は、仮に適正家賃以下で募集したとしても空室が長引く傾向があります。
リフォーム | リノベーション | |
老朽化した箇所を改修 | 目 的 | 物件全体の価値を高める |
必要な部分のみを改修 | 工事内容 | 間取り、設備を一新しライフスタイルに合わせる |
安い | 費 用 | 高い |
従前家賃を維持 | 効 果 | 家賃値上げが期待できる |
賃貸リフォームとリノベーションは、どちらも「付加価値を高める」点では同じですが、工事規模や費用、顧客への影響は大きく異なります。
賃貸リフォームは、老朽化した設備や内装の交換が主な目的となるため、ある意味においては原状回復に近い工事と言えます。
このため改修費用を抑えつつも、家賃を維持したい場合は、リフォームが最適な選択肢となります。
一方賃貸リノベーションは、間取りや内装、設備を現代のライフスタイルに合わせて改装することが目的です。そのためリフォームと比べ物件価値が向上し、家賃値上げがしやすくなるメリットがあります。
収益性を向上させたい場合は、多少コストがかかるもののリノベーションを行った方が費用対効果は高くなります。
2.賃貸リフォームとリノベーション、貸主が選ぶべき判断基準とは?

賃貸リフォームやリノベーションを行うタイミングについて、判断が難しいと感じる貸主は少なくありません。
リフォームやリノベーションの適切な時期は、物件の状況やエリア条件により異なるため一概に言うことはできませんが、一般的にはリフォームは築10年~20年目まで、リノベーションは築20年を超えたタイミングで行うと効果的です。
物件資産価値は築年数の経過と共に下落し、エリア内の家賃相場もそれに比例して値下がりしていきますが、特に築10年目と築20年目は、新築時と比べて物件価値が大きく下落し、家賃値下げ幅が大きくなります。
そのためこれらの時期に付加価値を高めるリフォームやリノベーションを行わないと、物件全体の訴求力が高まらないため、適正家賃で募集しても客付けが難しくなります。
築10年~20年の間では、新築時と比べると物件価値は下落するものの、設備や間取りの老朽化はまだ感じられません。
そのため表装リフォームを今まで以上に強化することで、古さは感じられず、また価値の目減りを抑えられるため、家賃値下げを余儀なくされても最小限に抑えることができます。
しかし築20年を超えると、設備や内装の古さが顕著となり、間取りも現代のライフスタイルとは適さなくなってきます。この状態で表装リフォームを行っても、物件価値が高まらず、適正家賃で募集しても空室が埋まりにくくなります。
築20年以上が経過し、以前と比べて成約期間が長くなったときが、リノベーションを検討するタイミングと言えます。
3.賃貸リフォームとリノベーションの費用目安と費用対効果について

賃貸リフォームとリノベーションにかかる費用は、部屋の広さや工事内容によって大きく異なるため、一概に費用を示すことは難しいのですが、目安としては以下の通りとなります。
なおリノベーションには部分的な改修を行う「部分リノベーション」と、物件全体を大きく変える「フルリノベーション」の2つの方法があります。
内装リフォーム:10万円~30万円
部分リノベーション:100万円~200万円
フルリノベーション:200万円~400万円
リフォーム、リノベーションを行うことで、付加価値が向上するため従前と比べ反響が増え早期成約に繋げられる点では共通しています。しかし、リフォームや部分リノベーションは改修範囲が限定的なため、家賃値上げには繋がりにくい傾向があります。
ただし、短期間で工事を完了させることできる点は、メリットが大きいと言えます。
一方フルリノベーションは、現代のライフスタイルに合わせた改修を行うため、従前と比べ家賃値上げがしやすい点は最大のメリットと言えます。しかし、新築物件の家賃水準を超える価値を生み出すことはできないため、家賃値上げ幅も、最大でも新築物件家賃の80%程度までとなります。
そのため過剰な投資をしてしまうと、回収期間が長期化してしまうため、キャッシュフローに影響が出る可能性があります。工事期間も1か月程度かかるため、繁忙期にリノベーションを行うと客付けに影響が出てしまう可能性があります。
影響を最小限に抑えるためには、リノベーション予算を明確に設定し、最長でも3年以内で回収できるよう計画を立てることが重要です。
また過去に同一物件内でリノベーションを行った部屋がある場合は、その写真を賃貸検索サイトに掲載することで、物件の反響を高め、リノベーション完成前に入居申込をもらえる可能性も期待できます。
4.賃貸リフォームとリノベーションを行う際の注意点

賃貸リフォームやリノベーションを行う際には、以下の点に注意しないと思わぬ失敗につながえる可能性があります。
賃貸リフォーム編
築20年以上の物件では効果が薄い
先程もお伝えしましたが、築20年を超えると設備や内装の老朽化が進み、さらに間取りも現代のライフスタイルに合わなくなります。そのため表装リフォームを行ったとしても、物件価値を高めることは難しく、適正家賃で募集しても空室が長引く可能性が高まります。
収益性を向上させることは難しい
賃貸リフォームは部分的な改修に留まるため、従前と比べ資産価値を高めることは難しくなります。そのため、適正家賃で募集することを余儀なくされ、収益性を大きく伸ばすことは期待しづらい状況になります。
見た目ではわかりにくい
賃貸リフォームはリノベーションと比較すると、外見上の変化が分かりにくいため、入居希望者にどこが改善されたかわかりにくい場合があります。
そのため、リフォームを行った際には賃貸検索サイトに「リフォーム済み」と明記し、反響を増やしやすくする工夫が必要です。
賃貸リノベーション編
ターゲット戦略と予算の明確化
リノベーション物件を探している方の多くは、自分が好むインテリアスタイルで生活したいと考えています。
そのためリノベーションを検討する際には、成約ターゲットが求めるインテリアデザインを選定することが重要です。また家賃値上げも限られているため、予算を明確に設定し、投資費用を早期に回収するよう計画を立てる必要があります。
これができないと、客付けできても十分な収益性を確保することが難しくなります。
緊急修繕が発生する可能性がある
リノベーション工事中に、建具や配管などが破損していることがあり、緊急修繕を行わなければならない可能性があります。
損傷の状況によっては追加費用が発生したり、工期に影響が出てしまうことも考えられるため、リノベーションを行う際には、事前に予備日や予備費用を設定しておくと、リスクを回避することができます。
騒音トラブル対策
全面改修を伴うリノベーション工事は、リフォームと比べ騒音が発生しやすく、また工事期間も長いため、隣接している借主からクレームが発生する可能性があります。
トラブルを避けるには、リノベーション前に通知文を配布し、周知徹底させることが重要です。さらに借主が在宅している夕方以降や日曜、祭日は工事を行わないよう、事前に施工会社と打ち合わせをして、スケジュールを調整する必要があります。
5.まとめ
今回は、賃貸リフォームとリノベーションについて、貸主が選択する際の判断基準についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
弊社物件は築年数が経過しているため、2018年から空き室を随時リノベーションを行っていますが、実は築24年目までは表装リフォームを強化していたことから、家賃値下げをしなくても早期成約ができていました。
しかし翌年の繁忙期において、客付けに大失敗したことを受け、これを機にリノベーションへと方針転換をした結果、2020年以降は4期連続で増収増益を達成しています。
一方、築20年以上経過している物件で、未だに原状回復しか行っていない物件は、適正家賃以下で募集しても空室が埋まりにくい状況が続いています。
このことから、リフォームとリノベーションの判断基準を間違ってしまうと、賃貸経営全体に多大な影響を及ぼす可能性があると言えます。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。
過度なメール配信、強引な営業活動等は一切行なっておりませんのでどうか安心してご相談ください。


取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
あなたのアパート経営を支援させていただきます!
▶︎〒400-0053 山梨県甲府市大里町2090
▶︎まずはお気軽にお問い合わせください
055-241-2218
090-8514-3562