近年の賃貸市場は需要と供給が完全に逆転しているため、借り手有利となっています。そのため競争力が低下した築年数が古い物件はもちろんですが、人気が高い築年数が浅い物件であっても客付けで苦戦することがあります。
客付けで苦戦している場合、条件を緩和すると成約に結び付けやすくなります。その中で効果が期待できるのがフリーレントと広告料です。
両者を設定すると特にクロージングの際有利になりますが、入居促進に繋げたい場合どちらを設定すべきなのか悩む貸主は多いですよね?
そこで本投稿はフリーレントと広告料を設定した場合、どちらが客付け効果が期待できるかについてお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.フリーレントと広告料とは?基本の解説
本題に入る前にフリーレントと広告料について解説します。
フリーレントとは?
フリーレントとは一定期間家賃が無料になるサービスのこと。フリーレントは家賃のみに適用され共益費や駐車場代などの費用は対象外となるため注意が必要です。
フリーレント設定メリットはやはりオトク感+訴求効果が期待できる点です。
賃貸物件を探されている方は高額になる初期費用を何とか抑えたいと考えていますが、現実的に抑えることはできません。しかしフリーレントを設定することで初期費用の中に含まれている前家賃の家賃部分と相殺できるため、入居促進効果が期待できます。
一方デメリットは、空室で悩んでいる競合物件ではフリーレントを設定している可能性が高いため「差別化」の部分では期待することができない点です。
広告料とは?
広告料とは貸主が仲介会社に支払う広告費のことで、業界的にはAD(Advertisement)と呼ばれています。
物件成約が決まると仲介会社は成約報酬となる仲介手数料をもらうことができます。ただ報酬は法律により最大で家賃1.1か月分までですが、貸主が広告料を設定すると客付けに成功した仲介会社は仲介手数料と広告料双方を受領することができます。
つまり広告料を設定すると1件で複数件客付けさせることになるため、紹介頻度が多くなり特に広告料付き物件と内見物件の条件が近ければ積極的に営業を行います。
また広告料設定することで柔軟なクロージング(仲介手数料をわざと無料にして広告費で充当する)ができるのも魅力と言われています。
広告料の相場は概ね家賃1か月のところが多いですが、空室で悩んでいる/とにかく早期客付けしたい貸主は家賃3か月以上設定することもあります。
一方広告料のデメリットは客付けしてくれた仲介会社に費用を支払うため、広告料設定していない物件と比べコストが高くなる/広告料をつけても早期客付けは保証できない点です。
2.フリーレントと広告料、客付け効果が期待できるのは?
結論から先に申し上げますと広告料設定よりフリーレント設定した方が、客付け効果は期待できます。背景には部屋探しの多様化が進んでいるからです。
近年の部屋探しは事前に賃貸検索サイトで希望条件に合致した3件程度の物件を決めた上で内見しています。その結果従前と比べ仲介店舗来店数は減少傾向となり1契約につき1~2店舗程度となっています。
そのため仲介店舗で広告料付き物件紹介が難しくなり、また内見者が希望する物件条件と広告料付き物件の条件が合わなければ成約に繋げることは難しくなります。
フリーレントは一時的に家賃が無料になるのに対し広告料は内見者には一切恩恵がない以上、フリーレント設定の方が訴求効果は高いと言えます。
ただしフリーレントを設定したとしても、物件クオリティーが競合物件より優れていなければ客付けは厳しくなります。
弊社物件がある山梨県は空室率が30%台と高く、また築年数が経過しているため2018年から空き室を随時リノベーションしていますが、広告料は一切設定せずフリーレントのみ1か月設定しています。
弊社リノベーション物件は家賃相場より高めの家賃設定していますが、募集開始から1~2か月で客付けに成功していることを踏まえると、広告料をつける費用があれば設備投資に回した方がメリットは多いと推察します。
3.まとめ
本投稿はフリーレントと広告料を設定した場合、どちらが客付け効果が期待できるかについてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。
at-homeが発表したリリースによると、インターネットで物件を探す際必ず見たい物件設備写真の上位3つはいずれも水回りでした。そのため早期に客付けしたいのであれば魅力的な部屋にすることがまず第一です。
そのため広告料を設定してもクオリティーが低ければ内見時の物件印象を高めることができないため、費用対効果は正直期待できません。
早期客付けしたいならば水回り強化したリフォーム+フリーレントの組み合わせが一番効果が期待できます。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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