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賃貸空室を減らす具体的な対策とは?

更新日:2 日前


賃貸経営は、借主が入居されることで安定した家賃収入を得られるため、他の投資と比べるとリスクは少ないとされています。



ただし、今後少子化の影響と物件供給量の増加により賃貸需要は低下し、賃貸空室率は全国的に悪化することが予測されています。その結果、これまで以上に客付けができない物件が増えることが懸念され、市場の二極化がさらに進む可能性があります。



こうした状況下で安定した賃貸経営を実現するためには、「賃貸物件の空室を減らす」ための明確な対策を一層強化する必要があります。しかし現状では多くの貸主や管理会社が、短期的な客付けを最優先し、具体的な長期戦略の策定を後回しにしているケースが、少なくないようです。



本投稿は賃貸空室を減らす具体的な対策について解説します。



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▼目 次


1.賃貸空室を減らす具体的な対策とは?

2.空室が埋まらない物件の特徴

3.まとめ


【本記事でお伝えする結論】


  • 空室を減らすには募集部屋と、管理のクオリティーを高めることが重要。


  • クオリティーを高めることで、早期客付けや長期入居に繋がり、安定した家賃収入を得ることができる。


  • クロージングがしやすい環境を作ることで仲介会社からの評価が高くなり、紹介されやすくなる。

1.賃貸空室を減らす具体的な対策とは?


空室を減らす具体的な対策とは?


「空室を減らす」と聞くと、多くの方は入居者募集や、賃貸検索サイトでの反響を増やすための設備投資、あるいは募集条件の見直しといった対策をイメージするかもしれません。



しかし、もう少し広い視点で見ると「空室になりにくい物件を作る」意識を持つことが、より重要であると言えます。



この「空室になりにくい物件」を目指すために、以下5つの取り組みが鍵となります。



  • 物件管理の質を高める

  • 室内機能性を向上させる

  • ニーズを満たす部屋作り

  • 初期費用の見直し

  • 仲介会社との強固な協力関係の構築



それではそれぞれの対策を見ていきましょう。



1)物件管理の質を高める


物件管理の質を高める


株式会社Alba Linkが、引越し経験者500人を対象に行った調査によると、「引越し後後悔した」人は全体の約9割を占めました。その中でも特に多く挙がったのが「騒音問題」に関する後悔です



静かで快適な環境を求めて引っ越したはずが、生活音や騒音で悩まされるケースが後悔を招いているようです。



賃貸物件における生活音問題は、築年数や建物構造躯体の違いを問わず、あらゆるの物件で発生する可能性があります。この問題が厄介なのは、人によって音の感じ方や許容範囲が異なるため、騒音基準を満たしている生活音であっても、それを「耐えられない」と感じる方がいます。



つまり、単なる住環境の問題ではなく、心理的な影響を絡んでいる点がポイントになります。



賃貸経営において、この生活音問題を放置してしまうと、客付けできたとしても長期入居に繋げるのは難しくなります。継続的な運営を実現するためには、この問題を軽減する努力が必要です。



以下に、生活音問題への対策をいくつか紹介します。


借主属性を高める


借主属性を高める

借主属性が低いと、生活上のルールやマナーを意識せず、騒音トラブルになりやすくなる傾向があります。



その予防策として重要なのは、「家賃を安易に減額しない」「滞納歴がある方の入居を慎重に判断する」などの基準を設けることです。



これによりクオリティーの高い顧客を確保しやすくなり、結果的にトラブルの回避が期待できます。


クッションフロアの施工


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弊社物件を管理している管理会社の見解によると、生活音トラブルの主因は「上階からの足音」である場合が多いとのことです。



一般的な物件で使用されている「合板フローリング」や「フロアタイル」では、吸音効果はほとんど期待できません。



しかしリフォームやリノベーション時に、吸音効果が期待できるクッションフロアを取り入れることで、従前と比べ借主の不満を軽減し、クレーム発生率を低下させる可能性があります。



騒音問題は住み心地に直結する要素のひとつ。貸主にとっても借主にとっても、この問題への積極的な対策が、安定した賃貸経営や快適な住まいの実現につながる鍵となります。


▶クッションフロアの詳細は過去記事をご覧下さい。




2)室内機能性を向上させる


室内機能性を向上させる

古いデータではありますが、リクシル住宅研究所が2015年に発表したリリースによると、築年数の経過と共に「室内機能性(断熱、湿気、防音)」が低下することが指摘されています。



それに伴い、以下のような状況が明らかになりました。



  • 賃貸アパートに入居している人の約8割は不満を抱いている

  • 不満を感じている約3割の借主は住替えを検討している


つまり築年数が古い物件を募集する際に、「室内機能性を向上させる」取り組みをを行えば、長期入居に繋げる可能性が高まります。しかし実際には、多くの物件でこうした改善策に着手していないのが現状です。



室内機能性を高めるには、断熱材の入れ替えや窓の二重化(内窓の設置)を行うのが効果的ですが、ただコストが高すぎてしまうため、あまり現実的ではありません。


エアコン

そこでおすすめなのが、備付エアコンの入れ替える、あるいはエアコンが設置していない部屋に新設することです。



断熱材の入れ替えや内窓の設置と比べると、大きな効果は期待できませんが、入居時に全ての部屋にエアコンを新調または追加するだけで、これまでより快適な暮らしを送ることができます。



また全室にエアコンを設置している物件は、あまり多くはないため対応すると、内見時の印象が高まり入居促進につながりやすくなります



3)ニーズを満たす部屋作り


入居者ターゲットに沿った部屋作り


募集中の部屋を早期に埋めるには、部屋探ししている人に「ここに住みたい!」と思わせるような、魅力的な部屋を提供することがポイントになります。物件訴求力を高める方法としては、以下の対策を行うと効果的と言われています。


人気設備を導入する


人気設備を導入する

全国賃貸住宅新聞社では、不動産会社に部屋探しされる方が重視する設備についてアンケート調査を実施し、その結果を「人気設備ランング」として、毎年10月に公表しています。



このランキングは「欠かせない必須設備」と「家賃を上げても入居が決まる付加価値設備」の2つに分けて発表されています。



特に付加価値設備は、設置することで賃貸検索サイトでの反響が増え、入居促進につながりやすくなります。築年数が古い物件では、以下の設備が標準対応されていないため、導入することで競争力の向上が期待されます。



  • インターネット無料(毎月の使用料負担がなくなるため、需要が高い)

  • 宅配ボックス(荷物を自由に受け取れ、古い物件には設置していない可能性が高い)

  • オートロック(防犯抑止能力が高い)


▶人気設備の詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。


リフォームやリノベーションを行う


リフォームやリノベーションを行う


物件の築年数が進むにつれ、適正家賃で募集しても空室期間が長引くことがあります。これは時間の経過と共に物件の資産価値が低下することと、募集部屋が現代のライフスタイルとかけ離れ、競争力が弱まることが主な原因です。



しかし築年数に応じたリフォームやリノベーションを実施することにより、付加価値が高まりさらにライフスタイルに合致しやすくなります。効果が期待できるリフォームやリノベーションを挙げると次の通りです。



  • 和室から洋室、DKからLDKに間取りを変更する

  • 古くなった水回りをリニューアルする

  • 内装を顧客が好むインテリアデザインにする



その結果、家賃を値上げしても早期成約を実現させることができます。


▶賃貸リフォーム、リノベーションのタイミング、重要性については、過去記事をご覧下さい。



4)初期費用の見直し


契約者プレゼント


賃貸物件に入居する際、借主は初期費用を支払わなくてはなりません。



初期費用の相場は家賃4ヵ月~6か月とされていますが、株式会社ウチコミが発表したリリースによると、回答者の約6割は「初期費用が高くて入居を諦めた」と述べています。



このリリースから、貸主が思っている以上に初期費用を負担に感じている方が多いことが推測できます。



しかし視点を変えてみれば、初期費用を見直すことで、逆に入居促進に繋げられる可能性が高まると言えます。初期費用の一部は貸主の判断で緩和することができ、その施策として以下の例があります。



  • 敷金、礼金の撤廃

  • 一定期間、家賃が無料になるフリーレントを導入



することで、最大で家賃3か月分程度の負担軽減のが期待できます。これにより「今契約すれば、他社よりオトク」という心理的効果が働き、入居を前向きに検討してもらえる可能性が高まります。


▶株式会社ウチコミが発表したリリースは、こちらをご覧下さい。


5)仲介会社との強固な協力関係の構築


仲介会社との協力体制

空室を迅速に埋めるためには、仲介会社とのスムーズな協力体制の構築が非常に重要です。仲介会社は契約が成立しない限り、成功報酬としての仲介手数料を受け取ることができません。



繰り返しになりますが、近年の賃貸市場では物件供給が過剰となり、借り手の選択肢が豊富な状況が続いています。その影響で、内見時や入居申込時に交渉が発生するケースがあり、原則として貸主の許可が必要になります。



管理会社に管理委託している物件で交渉が入ると、一度管理会社経由で貸主に相談することになります。繁忙期を除き、内見は土休日に集中するため、交渉が入ると少なくとも、翌営業日以降にずれ込むことになります。



株式会社PR TIMESが「お問い合わせフォームを利用した回答時間」に関する調査を行ったところ、「24時間以内の回答」を求めている層が、約70%に達していることが明らかになりました。つまり内見者からの交渉があった場合、1日以内に対応しなければ、空室が埋まりにくくなる恐れがあります。


▶株式会社PR TIMESが発表したリリースは、こちらをご覧下さい。



そこで、内見者からの交渉が入った場合に備え、仲介担当者に事前に以下のポイントを共有しておくことをおすすめします。



  • あと一歩で申込に繋げそうな際には、フリーレント〇か月分までなら現場決済で対応可能

  • 難しい交渉条件が入った際は、土休日でも貸主に電話相談を可能にする



これらの対応を事前に整えておくことで、迅速な対応が可能となり、成約率の向上が期待できます。また柔軟かつスピーディーな対応は、仲介会社からの評価も高まり、結果として長期的な信頼関係強化へとつながるでしょう。


▶仲介会社を味方につける秘策については、過去記事をご覧下さい。



2.空室が埋まらない物件の特徴


空室が埋まらない物件の特徴


弊社では、空室で悩む貸主に向けて初回限定で無料相談を実施し、実際に物件の確認を行っています。現地で状況を確認した際「このままでは部屋が埋まらない」と直感的に感じることがあります。



空室対策を講じているのに、空室を減らせられない物件には、いくつかの共通点があります。それは築20年以上経過しているにも関わらず、内装の部分的な張り替えといった最小限の原状回復しか行っていないこと。



そして以下のような条件で募集している物件です。



  • 家賃相場より低めに設定して募集している

  • 定期的に客付けに強い仲介会社に訪問営業を行う

  • 広告料を増額して周知を図っている

  • 安易にペット可に変更する



これらの取り組みは、一見すると賃貸検索サイトでの検索で有利になるだけでなく、多くの仲介会社に物件を把握してもらえるメリットがあります。しかし、以下の理由から空室率を大きく改善するのは難しい場合が多いです。


1)反響が伸びない


反響が伸びない


at-homeが2025年に発表したリリースによると、ポータルサイトを利用された方の約半数以上は、水回りの写真を見ていることが、明らかになっています。



またクックパットの調査でも、部屋探しの際、多少条件を緩和してでも充実したキッチンがある物件を希望している方が多いこと判明しています。



一般的に築20年以上経過すると、水回りの老朽化が進み、加えて間取りも現代のライフスタイルに合わなくなります。そのため、原状回復のままでは反響が伸びにくくなり、空室が埋まりにくい状態が続きやすくなります。


▶at-home、クックパッドのリリースはこちらをご覧下さい。



2)競争力がない物件は訪問営業しても効果ない


競争力がない物件は訪問営業しても効果ない


定期的に客付けに強い仲介会社に訪問営業することで、物件や貸主について理解してもらえるようになり、結果的に客付けに有利になるとされています。



物件を募集する際には、仲介会社に賃貸検索サイトに掲載してもらうよう、依頼することになりますが、掲載料は全額仲介会社が負担しなければなりません。



先程もお伝えしましたが、ポータルサイトを利用する方は、水回り写真を注視する傾向があります。そのため水回りが古臭いと感じられると反響に結び付かなくなり、空室が長期化してしまいます。



空室が長くなれば、サイト掲載料負担も増えるため、貸主が訪問営業を行ったとしても、原状回復程度の部屋では、仲介会社は「反響が期待できない」と判断される場合があります。結果的に、一方的に掲載を取りやめられたり、案内が入ったとしても当て馬的に扱われる可能性が高くなります。


▶仲介会社が一方的に掲載を取りやめる理由については、こちらの動画をご覧下さい。



▶仲介会社の訪問営業の詳細は、過去記事をご覧下さい。


3)広告料の効果には限度がある


広告料の流れ

仲介会社の主な収入源は、物件成約時に発生する仲介手数料のみです。ただし、貸主が客付け強化のために広告料を別途設定した場合、その物件が成約になると、借主からは仲介手数料、貸主からは広告料が支払われるため、他の物件より優先的に紹介されやすくなります。



しかし近年では、事前にポータルサイトで希望条件に合致した3件程度の部屋を内見し、その中から部屋を決める傾向が強まっています。また仲介会社への来店数も年々減少しているため、広告料設定物件と内見者が希望する物件の条件が合わなければ、優先的な紹介は難しくなります。



特に築20年以上の物件で、原状回復程度のリフォームしか行っていない物件は、家賃帯を抑えたい方以外は選択肢から外れ、さらに年数が古い物件は供給が多いことから、結果的に客付けハードルは高くなってしまいます。


▶仲介手数料と広告料の詳細は、過去記事をご覧下さい。


4)安易にペット可に切替える


安易にペット可に切替える

株式会社クロス・マーケティングが発表したリリースによると、現在ペットを飼っていない人のうち、て、約3割が「今後はペットを飼いたい」と考えているとのことです。



一方で、LIFULL HOME'Sが発表したデータでは、賃貸物件における「ペット可物件」の割合は、全体の約2割程度しかなく、ニーズに対する需要が追いついていない状況が浮き彫りになっています。



さらに興味深いのは、ペット可能物件は不可物件と比較して、家賃を高くしても部屋が埋まりやすいことも明らかになっています。



このことから、空室対策の一環としてペット可能にすることは、一定の効果を生み出す可能性があると言えます。


▶株式会社クロスマーケティングと、LIFULL HOME'Sのリリースは、こちらをご覧下さい。




ここで実際にあった事例を一つ紹介します。



弊社の初回無料相談に応募されたある貸主物件に訪問したところ、その物件は築40年を超え、主に低所得者向けで貸し出されている物件でした。そのため原状回復程度のリフォームしか行っていませんが、客付け強化のために、ペット3匹まで飼育可能として募集していました。



しかしあまりにも部屋のクオリティーが低かったこともあり、結果として募集開始後1.5年でようやっと成約になりました。



このことから、ペット可物件の需要の高さは否定できないものの、物件自体のクオリティーも同時に重要だということが再認識されました。




3.まとめ


今回は賃貸空室を減らす具体的な対策についてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。



  • 空室を減らすには募集部屋と、管理のクオリティーを高めることが重要。


  • クオリティーを高めることで、早期客付けや長期入居に繋がり、安定した家賃収入を得ることができる。


  • クロージングがしやすい環境を作ることで仲介会社からの評価が高くなり、紹介されやすくなる。



現在の賃貸市場では、需要と供給のバランスが完全に逆転しており、とりわけ、競争力が低下した古い物件では、適正家賃で募集しても空室を減らすことが困難な状況です。



ただし、物件のクオリティーを向上させ、仲介会社が紹介しやすい環境を整えることによって、築年数が古い物件でも早期に入居者を見つける可能性は十分にあります。



なお、近年では最低限のリフォームを行った後に、家具やインテリアを配置して、部屋の見栄えを良くするホームステージング集客が注目されています。コストを抑えながら早期成約が期待できるため、採用する物件が増加しています。



しかし築年数が古いは新築と比べて、室内機能性は明らかに劣っていることが判明している以上、入居後に借主が不満を抱いた場合は、退去リスクが高まります。



そのため、築年数が古い物件は一定レベルのリフォームやリノベーションを行った方が、結果的に入居者満足度が向上するため、長期入居に繋がり、費用対効果の面でもプラスになります。





今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。


そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。


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空室対策コンサルタント 有限会社山長
有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント


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