アパート経営はインフレに強く、他の投資と比べるとリスクが少ないと言われています。しかし日本の人口は2008年をピークに下落傾向+物件供給数は飽和状態となっているため、今後のアパート経営を取り巻く環境は非常に悪いと言わざるを得ません。
しかしリスクマネジメントを把握し適切な対策を講じれば、安定した家賃収入を得ることが期待できます。
本投稿はアパート経営の将来展望において注意すべき点と対策をお伝えいたします。
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▼目 次
【本記事でお伝えする結論】
1.アパート経営のメリット
本題に入る前にアパート経営のメリットを簡単に説明いたします。アパート経営を行うメリットは主に2つ挙げることができます。
節税対策
安定した家賃収入が得られる
それではそれぞれのメリットを見ていきましょう。
節税対策
アパート経営を行うと相続税/固定資産税/所得税を節税させることが期待できます。
①相続税対策
2015年1月相続税の基礎控除が引き下げられたことで、課税対象者が増加してしまいました。
改正前の基礎控除:5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
改正後の基礎控除:3,000万円+600万円×法定相続人の数
土地や建物は路線価を基準に評価額を算出します。そのため現金より不動産を所有することで評価額を抑えることができます。評価額が下がれば税率も下がるため節税効果が期待できます。
アパート経営される方(新築施工)は基本的に金融機関から借入を起こしていますが、わざと負債を作ることで「債務削除」が適用されるため、相続税対策としてとても有効的となります。
②固定資産税対策
不動産を所得すると固定資産税と都市計画税を毎年支払わなければならなくなりますが、アパートを建てると、住宅1戸につき200㎡までが「小規模住宅用地」の扱いになるため…
固定資産税評価額が6分の1
都市計画税評価額が3分の1
になる軽減措置を受けることができ節税効果が期待できます。
③所得税対策
賃貸アパートを建設すると毎年一定金額を経費計上(減価償却)できるため、帳簿上の利益を抑える効果があります。仮に帳簿上のアパート経営がマイナスで本業がプラスの場合、結果的に所得を抑えることができるため、所得税/住民税を抑えることができます。
安定した家賃収入が得られる
アパート経営の魅力はやはり安定した家賃収入を得ることが期待できる点です。入居者を見つけることが前提となるものの、一度入居すれば数年は居住するため稼働率を維持できれば、景気が悪化しても安定した収入を得ることができます。
2.アパート経営の将来展望、注意すべき点と対策
節税対策/安定した家賃収入が期待できるアパート経営ですが、今後人口減少は確実に加速するため全国的に空室率は悪化し、野村総研の予測では2040年には空室率40%前後になります。
そのため築年数/エリア関わらずどの賃貸物件でも以下の問題が発生しやすくなるため、キャッシュフローが悪化するリスクが高くなります。
資産価値下落による空室悪化
金利上昇
デッドクロス
人口減少
修繕費
それではそれぞれの注意点と対策を見ていきましょう。
1)資産価値下落による空室悪化
賃貸物件は築年数の経過と共に価値が下落します。一般的に家賃は築1年毎に1%下落すると言われています。
物件価値が低下すると訴求力が期待できなくなるため、適正家賃で募集しても空室が埋まりにくくなります。空室期間が長期化すれば家賃値下げを行いますが、競合物件も同様のことを考えるため、その結果負のスパイラルに陥ってしまいキャッシュフローが悪化してしまいます。
▶負のスパイラルの詳細は、過去記事をご覧下さい。
【対 策】
物件価値を向上させるリノベーションを行うことで、従前と比べ機能性や利便性、デザイン性が向上するため早期客付け+収益アップが期待できます。
▶リノベーション効果の詳細は過去記事をご覧下さい。
2)金利上昇
日本銀行が今年マイナス金利を解除したことで、今後借入金利が上昇することが懸念されます。アパートローンは基本的に変動金利が採用され、また変動金利の住宅ローンは「5年ルール」「125%ルール」は適用されていますが、アパートローンは上記ルールは適用外となります。
そのため年2回の見直しで金利が上昇すれば毎月の支払額も増えてしまうため、キャッシュフローに影響が出てしまうことは避けられません。
【対 策】
キャッシュフローが悪化すれば返済計画を見直す必要がありますが、メインバンクによって対応が180度変わってしまうと言っても過言ではありません。金融機関は貸主にとって最大の取引先であるため、リスクを避けたいのであれば一度金融機関を見直すことも重要です。
▶金融機関見直しに関しては過去記事をご覧下さい。
3)デッドクロス
先程お伝えいたしましたが、アパート経営は毎年減価償却を経費計上できるため節税効果が期待できます。しかし減価償却は物件構造躯体によって期間が定められています。
そのため減価償却がなくなってしまうと帳簿上の利益が多くなるため、所得税/住民税が大幅に高くなってしまいます。このことをデッドクロスといいます。
【対 策】
デッドクロスを避ける/予防するには…
新規物件を購入し減価償却を増やす
法人化し所得税を抑える(個人より法人の方が税率が安い)
金利が安いアパートローンに借り換えるorリスケジュールを行う
借入が複数あれば一本化すると毎月の返済額を抑えられる可能性がある。
物件売却する
対策を講じなければなりません。ただ上記はデメリットもあるため根本的な解決方法にはなりません。
4)人口減少
日本は今後少子高齢化社会となるため、必然的に賃貸物件の空室率は悪化してしまいます。空室率が悪化すれば競争力が低下した築年数が古い物件は敬遠されるため、今後二極化が激しくなることが予想され、物件によっては淘汰する可能性も否定できません。
【対 策】
近年ではSDGs普及による部屋探しの多様化が進んでいるため、築年数が古くてもリノベーションされていれば早期客付け+収益アップは十分期待できます。弊社物件は築年数が経過しているため2018年からリノベーションを展開していますが、2020年以降増収増益を達成しています。
5)修繕費
築年数が経過すると設備不良/外壁劣化、退去によるリフォーム費用などの修繕費が増加してきます。アパート経営は収入の上限が決まってしまうため、修繕費が多くなるとキャッシュフローが悪化してしまう可能性があります。
【対 策】
修繕積立を行うことで、キャッシュフローの悪化を抑えることができるものの、日頃から支出の見直しを行うことで内部留保が溜まりやすくなります。
3.まとめ
今回はアパート経営の将来展望において注意すべき点と対策をお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認しましょう。
アパート経営は立地が全てと言われいますが、3年前の新型コロナウイルスの感染拡大により首都圏に本社があった企業の一部は地方都市に移転したことで一時期大都市圏の空室率は一気に悪化しました。
アパート経営をする以上リスクは必ず発生してしまいますが、リスクマネジメントを強化/対策することで最悪の事態を避けることができます。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
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