大学や専門学校周辺にある賃貸アパートは、主に学生をメインにしているためワンルームタイプが多いです。
学生対象の賃貸物件のメリットは学校が移設などしない限り、一定の需要が期待できるため高稼働率を維持させることができる点です。
但し今後少子高齢化の波が急速に進むことから、学生向け物件は確実に衰退していきます。恐らくこのことは学生向け物件を所有している賃貸オーナーはある程度把握しているはずです。
学生向け賃貸アパートは学生しか通用しないと思われがちですが、創意工夫することで新たな顧客開拓を行うことは十分可能です。
本投稿は学生向け賃貸アパートを収益化する場合、どのような選択肢があるのかについてお伝えいたします。
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【本記事でお伝えする結論】
"学生向け賃貸アパートを収益化する上で重要なポイント”
1.学生向け物件から卒業する

山梨県にある某私学大学周辺には、学生需要を見越し賃貸アパートが多くあります。ただ数十年前から学校側が学生寮を完備したことにより、近隣の賃貸アパートの稼働率は大幅に悪化。
家賃値下げ/フリーレントなどの空室対策を強化しても、空室率を改善させることが難しくなっています。

文部科学省の調査によると急激な少子化の影響により大学入学者数は2040年には51万人に減少するとのことです。
学生数が少なくなれば私学大学を含め大学統廃合は今後加速することが予想されます。そのため学生だけをターゲットとした賃貸経営は今後成り立たなくなる可能性があります。
しかし少子高齢化が進んでも近年未婚者数が増加傾向ワンルーム物件需要はなくなりません。
つまり新たな顧客開拓を行うことで、ブルーオーシャンエリアで集客することができます。次章では具体的な対策方法についてお伝えいたします。
2.ターゲットを絞った集客を行う

2022年6月に発表された「少子化社会対策白書」によると生涯未婚率は年々増加傾向となっています。1970年と2020年で比較すると男性は約30倍、女性は約6倍に増加しています。
このことから今後単身世帯数は確実に増加することが予想されるため、ワンルーム賃貸物件は一定の需要が期待できます。ただし競合他社も同じような考え方をしているため、生き残るためには何かに特化した賃貸経営を行わなければなりません。
賃貸物件における顧客から不満点は…
生活音問題
居住性
年齢制限がある
の3点があげられます。上記問題に対応している物件は非常に少ないため、対応することで新たな顧客開拓が期待できます。それではそれぞれの対策をみていきましょう。
生活音問題
生活音問題は築年数/構造躯体関係なく発生してしまう問題です。防音性に優れていると言われているRC物件であっても同問題は発生します。
ワンルーム物件は木造構造のケースが多いため、他の構造物件と比べると生活音問題が発生しやすくなります。そこで防音性を強化した物件を提供することで、新規顧客開拓がしやすくなります。
居住性を改善させる
ワンルーム物件は窓が1つしかありません。そのため風通しが悪くなり湿気がこもりやすくなるものの、対応次第では改善させることができます。
弊社リノベーション部屋の一部には、自然素材の漆喰が施工されています。
漆喰を施工すると調湿効果が期待でき、特に高湿になりやすい夏場においては、冷房設定温度を低くしなくても快適な生活を送ることができると、借主から嬉しい報告をもらっています。
更に漆喰には吸音効果/デザイン性も期待できるため、特に女性客を集客したいと考えている場合有効的となります。
▶漆喰に関する詳細は、過去記事をご覧下さい。

またワンルーム物件には3点ユニット(浴槽、洗面台、トイレが同じ室内にある)が設置されていますが、3点ユニットは人気がなくワンルーム物件を探している方は、バストイレ別を希望されています。
空室対策的には3点ユニットを解消しバストイレ別にした方が効果的です。ただ費用が高額になるので、コストを抑えたい貸主にとってはハードルが高くなります。
コストを抑えつつも客付けで有利にするには、3点ユニットを活かしたリフォームが効果的。具体的には室内に専用のフィルムを貼るリフォームですが、これを行うと清潔感が前面に出るため従前と比べると訴求効果が高くなります。
▶3点ユニットリフォーム詳細は、過去記事をご覧下さい。
高齢者も受け入れる
日本人の健康寿命は男女とも年々延伸しています。そのため高齢者を受け入れることによって、新たな需要の掘り起こしをすることが可能となります。
ただ賃貸業界では室内の孤独死を避けるため、高齢者の賃貸入居に関しては消極的となっています。
上記懸念を少しでも解消させるためには民間業者と協力した見守り体制を強化することが重要となります。費用に関しては予め家賃もしくは共益費に加えることで、貸主負担はなくなります。
3.まとめ
今回は学生向け賃貸アパートを収益化する場合、どのような選択肢があるのかについてお伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認確認してみましょう。
学生向けアパートは基本的に需要は期待できるものの、学校の移設や学生寮などが充実してしまうと、一気に需要が低下してしまいます。また今後少子高齢化による学生減少は確実に発生するため、学生対象とした賃貸経営は成り立たなくなってしまいます。
しかし、方針転換することで新たな需要の掘り起こしをすることができるため、空室率が低下しても安定した賃貸経営を行うことは十分期待できます。
今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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