築古ファミリー向けアパートはインフレ時こそリノベーションすべき
- 空室対策リノベーション コンサルタント ㈲山長

- 1月22日
- 読了時間: 9分
一般的に競争力が低下した古い賃貸アパートは、ニーズが少ないため適正賃料で募集しても空室が長期化しやすくなります。
しかし近年では、部屋探しの価値観が多様化しているため、ライフスタイルに合わせたリノベーションを施せば、築年数で判断されにくくなるため、空室問題を解消することが期待できます。
インフレが継続している状況において、部屋探しをされる方は、賃料を少しでも抑えつつも、おしゃれな部屋に住みたい傾向があります。
リノベーション対応した物件は、そうしたニーズに適しているため、築年数が古いファミリー向けアパートを所有する貸主にとって、今このタイミングでリノベーションを実施することは大いにおすすめです。
空室対策としてリノベーションを行うことによって、物件のみ力が高まるため、収益性の向上や入居率の改善につながります。
本投稿は、築古ファミリー向けアパートはインフレ時こそリノベーションすべき理由について、解説します。
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▼ 目次
【本記事でお伝えする結論】
インフレの影響で持ち家志向が低下し、その結果、ファミリー向けアパートの退去件数は減少しやすくなり、稼働率は上昇する可能性がある。
ファミリー向けアパートの退去件数が減少は、供給不足の懸念が生じ、特に仲介会社にとってはこの影響は大きくなる。
新築物件の賃料高騰により、建物完成前の満室は以前より難しくなっている。このため賃料がリーズナブルなリノベーション物件は、築年数が浅い物件を希望する方にとって、魅力的な選択肢になり得る。
1.インフレによる賃貸市場への影響

ファミリー向けアパートに入居する方は、20~30代のカップルや新婚夫婦が大半を占め、将来的に戸建て住宅や分譲マンションの購入を検討している方が多いのが特徴です。
住宅購入を目指す主な理由の一つとして、「賃料を支払い続けても自分の資産にならない」ことが挙げられます。
インフレが深刻化する前は、住宅ローン金利が低水準で推移し、さらに住宅ローン減税の恩恵も大きかったため、住宅を購入するまでの一定期間、賃貸アパートで生活するのが一つの流れとなっていました。

しかし現在、インフレの影響がさまざまな面に表れている中で、住宅購入に対する意識が変わりつつあります。
公益社団法人 全国宅地建物取引業会連合会と、公益社団法人 全国宅地取引業保証協会が、全国の20才から65才の男女5,003名を対象に実施した「住まいに関する定点、意識調査」によると、以下のような傾向が明らかになっています。
不動産を「買い時」と考える方より、「買い時ではない」と回答した方の方が多い
買い時ではない理由として多かった意見は、住宅価格の高騰と収入の不安定さ
持ち家志向は2016年は85.3%だったのが、2025年は63%まで下落
この調査結果から、従前と比べ住宅購入に消極的になっている方が増えていることが見て取れます。
▶公益社団法人 全国宅地建物取引業会連合会と、公益社団法人 全国宅地取引業保証協会が発表した調査結果については、こちらをご覧下さい。

住み替えによる退去件数が減少すれば、管理会社や貸主にとって、空室率の低下による安定した賃料収入や管理料収入が得られやすくなります。
その一方で、物件を紹介し仲介手数料収入を得たい仲介会社にとっては、供給量の減少は物件紹介する機会が減ることになるため、特に繁忙期に一定の供給がなければ、売上に多大な影響を及ぼしてしまいます。
新築物件に関しては現在でも一定の供給がありますので、一見すると新築物件の客付けを強化すれば解決につながると見えます。しかし、インフレ時における新築物件の募集は、予想以上の影響を及ぼしているのが現状です。
2.新築物件の客付けがうまくいかない

新築物件は現代のライフスタイルに適した設備や、デザイン性が高い室内空間になっているため、賃料や初期費用が高くても、一定の需要があります。そのため、早ければ建物完成前に全室満室になることがあります。
しかしインフレが続く現在では、エリアによっては建物完成後であっても空室が埋まらず、募集を継続している物件が増加しており、場合によっては広告料を設定して入居促進を図るケースも珍しくはありません。
なぜこのような状況になったのか、その背景にはインフレによる建築費の上昇により、インフレ前と比べ賃料が約2割程度高くなったこと、さらに実質賃金の伸び悩みも要因の一つと考えられ、これにより入居を希望するものの、予算に合わず断念するケースが多いことが推測できます。
例えば、弊社物件エリア内に2025年8月末に完成した単身者向けの1LDKアパートでは、本執筆時の2026年1月22日時点で、約30%の部屋がいまだに募集を続けています。
新築アパートを検討される方は、募集時期や賃料などは特に考慮していませんが、空室がここまで続くことはインフレ前ではあまり見られなかったため、高額な賃料を支払える一部の富裕層を除いては、予算に見合った他の物件を選んでいる可能性が高いと言えます。
3.インフレ時こそリノベーションすべき理由

インフレ時こそ、競争力が低下した築20年以上の物件はリノベーション施すことで、その効果を最大限に引き出せる可能性があります。
冒頭でもお伝えしましたが近年の賃貸市場は、部屋探しに対する価値観が多様化しています。そのため、ライフスタイルに合ったリノベーションが施されていれば、築年数だけで物件を選ぶ方は少なくなっています。
リノベーション物件は、築年数が古いものの、外観や内装は新築並みに整い、さらに賃料は新築の2割程度抑えられています。
このため、インフレ時において新築や築年数が浅い物件を希望される方にとって、賃料を抑えながら新築に近い住環境で暮らせられ、立地が良いリノベーション物件は、魅力的な選択肢となってきます。
また仲介会社にとっても、リノベーション物件は競争力が高く、早期成約が期待できると判断し、他社仲介会社も含めて積極的に紹介されやすいため成約率は高くなります。
さらに貸主にとっても、多くのメリットがあります。
リノベーションを行うことで従前と比べ資産価値が高まり、賃料の値上げがしやすく、また管理を徹底すれば長期入居に繋げられるため、収益性の向上や入居中にリノベーション資金の回収がしやすく、高い費用対効果を見込められます。

賃貸アパートの建物の減価償却は、物件構造により異なるものの、木造は22年で終了してしまいます。償却期間が終了すると税負担が大きくなるので、一般的に築20年を超えたタイミングで、出口戦略を検討します。
今後も需要が期待できるエリアに建物があれば、建て替えを検討することで、節税効果を高めることができます。しかし現在の新築物件の建築費は非常に高騰ししているため、まとまった頭金を準備しない限りは、以前と同様の賃料収入を得るのは難しいのが実情です。
しかしリノベーションは、建て替えと比べて50~70%の程度でコストで実施できる点は大きな魅力です。
そこで将来的に建て替えを検討する場合、まずはリノベーションで収益性を高め、手元資金を余裕を持たせてからの方が、結果的に貸主にとって大きな利益をもたらす可能性が高いと言えます。
▶築年数が古い物件の出口戦略については、過去記事をご覧下さい。

弊社物件は築年数が経過しているため、2018年から空き室を順次リノベーションを行っています。
競合物件との明確な差別化を打ち出すために、ターゲット層となる20~30代女性を意識し、白を基調した自然素材を取り入れた、カフェスタイルに特化したリノベーションを展開し、リノベーションを機に賃料を8~10%アップして募集しています。
その結果2020年から4期連続で増収増益を達成することに成功しています。インフレ下においても、安定した賃料収入が得られていることを踏まえると、弊社代表はインフレ時だからこそ、リノベーションを進める価値は十分にあると強く感じています。
▶弊社リノベーションの事例、実績の詳細に関しては、過去記事をご覧下さい。
4.まとめ
今回は、築古ファミリー向けアパートはインフレ時こそリノベーションすべき理由について、お伝えしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
インフレの影響で持ち家志向が低下し、その結果、ファミリー向けアパートの退去件数は減少しやすくなり、稼働率は上昇する可能性がある。
ファミリー向けアパートの退去件数が減少は、供給不足の懸念が生じ、特に仲介会社にとってはこの影響は大きくなる。
新築物件の賃料高騰により、建物完成前の満室は以前より難しくなっている。このため賃料がリーズナブルなリノベーション物件は、築年数が浅い物件を希望する方にとって、魅力的な選択肢になり得る。
インフレ時においては、節約志向が高まりやすいため、これまで以上に築年数が浅い物件よりも、築年数は古いものの、間取りや設備が一新され、賃料がリーズナブルなリノベーション物件が選ばれる可能性は高くなります。
また近年の部屋探しの特徴として、たとえ賃料が安くても原状回復しか行っていない古いアパートは避けられてしまいます。インフレを理由に適切なリノベーションを行わないと、借主を確保することは難しく、空室リスクは大きくなる一方です。
インフレ時においてリノベーションを行うと費用が高くなってしまいますが、それによって借主や貸主双方が抱える不安要素は解消できるため、最終的には費用対効果は十分期待できると言えます。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
アパート経営、空室対策コンサルタント
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