築古アパートをリノベして人気物件に変えるコツと実例紹介
- 空室対策リノベーション コンサルタント ㈲山長
- 8月13日
- 読了時間: 11分
更新日：9月15日
近年、部屋探しに対する価値観が多様化しているうえ、インフレの影響で実質賃金が低下していることから、デザイン性が優れつつも、家賃がリーズナブルなリノベーション賃貸を求める方が増えています。
リノベーションで人気物件にするには「ターゲット層に適したリノベーション」を行うことがポイントで、この点を見誤ると、集客に苦戦する可能性が高くなります。
本投稿は築古アパートをリノベーションして、人気物件に変えるコツと実例についてご紹介致します。
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【本記事でお伝えする結論】
１．賃貸リノベーションを検討すべきタイミング
本題に入る前に、賃貸リノベーションを検討するための適切なタイミングについて、簡単に整理しておきます。賃貸物件は、築年数が浅い物件ほど需要は高く供給が限られるため、募集が始まると早期に部屋が埋まる傾向があります。
しかし築年数が10年を超えると、需要は徐々に減り、供給が増えることで空室率は悪化しやすくなります。部屋探しされる方は、家賃予算を基準に希望条件に合致した部屋を選ぶため、適正家賃で募集しても空室期間が長引く場合があります。
さらに築20年を超えると、設備の減価償却は終了し、物件の競争力も低下しやすくなります。この状況において、次のような条件に当てはまる場合、リノベーションを検討する好機だと言えるでしょう。
築20年以上が経過している
適正リフォーム、適正家賃で募集しても、空室が3か月以上続くことが頻繁にある
これらの要因が見受けられた場合は、物件の価値向上や競争力の維持のために、リノベーションを進めるべきタイミングに差し掛かっています。
２．築古アパートをリノベーションで人気物件にするには？
築年数が古くなったアパートをリノベーションし、魅力的で人気物件にするためには、以下の要素を検討することが重要です。
インテリアデザインによる魅力的な空間演出
利便性と使いやすさを兼ね備えたキッチンの設置
清潔感を重視した快適な浴室環境の整備
十分な収納スペースの確保
室内機能性の向上による快適な居住空間の提供
これらのポイントを、順に詳しく見ていきましょう。
インテリアデザインによる魅力的な空間演出
株式会社一条工務店が全国の男女1,097名を対象に「住まいのインテリアに関する意識調査」を実施したところ、以下のような傾向が明らかになっています。
回答者の7割以上がインテリアにこだわりたいと考え、若年層ほどその傾向は強い
インテリにこだわる理由は「居心地の良い空間を作りたい」意見が多い
現在のインテリアに対して不満を感じている人は半数以上に達している
この調査結果から、部屋探しされる方は入居後のインテリアデザインに高い関心を持っていることがわかります。しかし賃貸物件では、物件ごとに色やテイストが異なるため、内見時や入居後に満足できず、不満を感じるケースが多いと考えられます。
そこでリノベーションを通じて、インテリアデザインを「居心地が良いシンプルナチュラル」や「北欧風」にすることで、顧客ニーズに応える空間を提供することが可能になります。
この取り組みが入居促進だけではなく、長期的な入居率向上にもつながることが期待されます。
利便性と使いやすさを兼ね備えたキッチン
部屋探しをする際、多少希望条件を妥協しても、キッチンの機能や充実度にはこだわりたいと考える人が多いようです。これは、クックパッドのリリースで明らかになった興味深い傾向です。
キッチンは家の中で、生活の中心となる場所。
日々の食事を作るだけではなく、家族や友人との会話や交流の場ともなります。そんな大切な空間だからこそ、リノベーションを考えた際には、キッチンの交換が欠かせないポイントになってきます。
ただ賃貸物件の場合、スペースの制約がある以上、大き目のキッチンの導入は難しくなることも。そのため限られたスペースでも、快適に使える機能性の高いキッチンを選ぶことが重要です。
そして機能だけではなく、デザインにもこだわることで、居心地の良さがぐんとアップします。キッチン選びは部屋探しやリノベーションの際に、とても重要な要素です。心地よいキッチン空間を作ることで、より豊かな生活を送るための第一歩となるでしょう。
清潔感を重視した快適な浴室環境の整備
浴室は、日々の疲れを癒し、快適な生活を支えるために欠かせない重要な空間です。
しかし年数が経過するにつれて、シャワー水栓や鏡、浴槽の機能性が低下し、全体的に古びた印象を受けることがあります。特に女性とって浴室はとても重要な要素であるため、浴室が古臭い状態では、契約段階で拒否されても不思議ではありません。
この問題はシステムバスの導入で解決できますが、総額で60万円以上の費用がかかります。コストを抑えたい場合は、浴室リノベーションを行うことで浴室の古臭さはなくなります。
浴室改修には一定の費用がかかりますが、その投資効果は十分期待できるため、リノベーションを計画する際には、浴室改修を優先的に行うべきと言えるでしょう。
十分な収納スペースの確保
レタスクラブが発表したリリースによると、住居の収納に関して、特に「キッチン」「玄関」「クローゼット」で不足を感じる方が多く、賃貸アパートの入居者ほど、収納への不安が顕著であることが明らかになりました。
室内全体の収納力が不足すると、モノが増えてしまい生活感が強調されるため、どんなにデザイン性が高いリノベーションを施しても、この問題が改善しない限り長期入居は難しくなる可能性があります。
しかしこれらの問題は「キッチンリニューアル」「シューズボックス交換」「一部収納をクローゼット化」といった工夫により、解消することができます。
室内機能性の向上による快適な居住空間
リクシル住宅研究所が発表したリリースによると、物件の築年数が経過するにつれて、室内機能性（断熱、湿気、防音）が低下し、約8割の入居者は住環境に不満を感じていることが明らかになっています。
その中で、不満を抱いている入居者の3割は、不満を解消するために住替えを検討している状況です。
しかし、現時点では多くのリノベーション物件が、これらの問題に対応していないのが実情です。リノベーションで人気物件にするには「入居者の声」を反映させた改善が不可欠で、たとえコストがかかっても室内機能性を向上させることは、今後の集客において大きなメリットをもたらします。
具体的には、窓ガラスの交換、最新型エアコンの導入、断熱材のリニューアルなどを行うことで、室内機能性を効果的に改善することが可能です。
３．築古アパートリノベーション成功事例
弊社物件は築年数が経過しているため、2018年から空き室を順次リノベーションしています。2025年７月末現在で、全20戸中15戸リノベーション済みで、全室満室となっています。
リノベーションにおいては、競合物件との差別化を図り、資産価値の最大化を目標に掲げています。具体的には自然素材を活用し、カフェスタイルに特化したデザインで、物件価値を向上させました。
その成果として、2020年以降は4期連続で増収増益を達成し、昨年度（2024年）には家賃収入が過去最高を更新することができました。
それでは弊社物件が、リノベーションを通じて人気物件となった要因を、簡単にご紹介します。
ターゲットに沿ったシンプルナチュラル空間
賃貸リノベーションの室内インテリアを考える際、トレンドを重視する方がいます。しかし流行は時間と共に色褪せるものです。また好みは人それぞれ異なるため、流行や時代に左右されない「シンプルなデザイン」を取り入れることで、より柔軟なレイアウトが楽しめるでしょう。
そのため弊社リノベーションでは、トレンドに左右されない「シンプルナチュラル空間」をコンセプトにしています。
特に、室内の配色は2色以下に抑えることを心がけており、これにより誰でもおしゃれな空間を簡単に演出できるのが魅力です。この工夫は内見時の印象を良くし、物件の価値を引き上げる効果も期待できます。
▶弊社が室内のインテリアテイストにこだわる理由は、過去記事をご覧下さい。
憧れのカフェスタイルキッチンで、日々を特別に
キッチンは女性にとって、毎日の家事を支える大切な場所です。そこで重要なのは、使い勝手の良さだけではなく、心地よいデザイン性です。
ありきたりで機能だけで特化したキッチンは、長時間過ごすうちにストレスを感じることもあるでしょう。
一般的な賃貸リノベーションでは、セパレートタイプのキッチンが採用されることが多いですが、このタイプは調理スペースや驟雨スペースが限られていることが課題であり、さらにデザインの画一性が強いため、多くの女性には物足りなさを感じさせてしまいます。
こうした状況を打破するため、弊社物件では、リノベーションのタイミングで「オリジナルのカフェスタイルキッチン」を導入。具体的には、既存のキッチンをリメイクし、無垢材の扉やスタイリッシュなキッチンパネルを取付けています。
また新しく設置したカウンターで、デザイン性だけでなく実用性も大きく向上させました。
さらに、上級グレードの部屋にはペンダントライトとダウンライトを採用。これにより洗練された雰囲気がプラスされ、キッチン全体の魅力が一層引き立つ設計となっています。
▶弊社カフェスタイルキッチンの詳細は、過去記事をご覧下さい。
コストカットに成功した浴室リノベーション
浴室改修といえば、多くの貸主がシステムバスを思い浮かべることでしょう。システムバスを導入すると、清潔感が向上し機能性も高まるため、内見時の物件印象を良くする効果が期待されます。
ただし、システムバスの導入には、高額なコストがかかり、最低でも60万円は必要になります。
弊社物件ではシステムバス導入ではなく、浴室内装の改修と水栓、鏡をリニューアルするリノベーションを行っています。既存浴室を活用することで、システムバス導入と比べ費用を3分の1程度に抑えつつ、見た目も古さを一切感じなくなっています。
また弊社代表はシステムバスの導入に費用をかけるよりも、その予算を造作洗面台の設置に充てる方が、費用対効果が高いとの判断から、あえて浴室リノベーションを選択しています。
▶浴室リノベーション、造作洗面台の詳細は、過去記事をご覧下さい。
低コストでできる収納拡張
築年数が古い物件での収納スペース拡張と聞くと、高額な費用が必要と思われがちですが、工夫次第で低コストで対応することができます。弊社物件の場合では、以下の工夫を行っています。
キッチン：収納付きのカウンターを購入して、スペースを増加
シューズボックス：既製品を採用して、収納容量を拡大
クローゼット：リノベーションを機に既存収納をリフォーム
これらは数万円程度の費用しかかからず、利便性を向上させることで、入居促進へとつなげています。
漆喰施工で室内機能性を改善
弊社物件では、上級グレードの部屋において、自然素材である漆喰を居住スペースに取り入れています。漆喰には調湿効果や断熱効果、吸音効果などが期待でき、従前と比べると室内機能性が大幅に改善することが可能です。
その結果、実際に漆喰が施工された部屋に住んでいる入居者から、住み心地に関する高い評価を頂いています。さらに漆喰は、職人による完全手作業の施工となるため、壁そのもののデザイン性が高く、室内空間に温かみが感じられます。
インテリアとの調和性も抜群で、とりわけカフェスタイルキッチンでは、その魅力を一層引き立てるため、視覚的な効果も期待できます。
▶漆喰の詳細は、過去記事をご覧下さい。
４．まとめ
本投稿は築古アパートをリノベーションして、人気物件に変えるコツと実例紹介をいたしました。冒頭でお伝えしたポイントをもう一度確認してみましょう。
部屋探しを行う多くの方は、募集物件の水回り写真を注意深く確認しています。視点を変えればリノベーションを機にデザイン性が高い水回りを導入することで、早期客付けが期待できることが示唆されます。
弊社物件は2018年からカフェスタイルに特化したリノベーションを展開し、2年後から成約率、稼働率を大幅に改善させることに成功。2025年の繁忙期は2件の退去がありましたが、1件は退去3日以後、もう1件は入居中に申込が入り、その結果成約期間が過去最短を更新することができました。
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取締役 長田 穣(オサダミノル)
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