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賃貸家賃値上げの基本とは?


2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、原油などのエネルギー価格や原材料価格の上昇に拍車がかかり、円安も重なって日本国内の物価上昇が続いています。



賃貸業界でも、内装材を含む建設資材の価格上昇が、リフォーム費用を押し上げる一因となっています。国土交通省によると、2021年後半から原材料費やエネルギーコストの上昇によって建設資材価格が高騰し、2023年以降も全体として高止まりしています。



また、燃料価格の高騰や円安は電気料金にも影響しており、契約内容や使用量によって異なるものの、共用灯の電気料金など、物件の維持管理費も貸主の負担となっています。



こうした状況から、契約更新のタイミングで家賃値上げを借主に提案したいと考える貸主もいるでしょう。



「家賃を値上げしたいが、本当に認められるのだろうか」「借主が応じなかった場合はどうなるのだろうか」と疑問を持つ貸主の方も多いのではないでしょうか?



結論からお伝えすると、家賃値上げが法律上認められる場合はありますが、貸主が一方的に決定できるものではなく、実際には借主の同意を得ることが大きな課題となります。



本記事では、賃貸物件の家賃値上げが認められる条件、値上げ交渉が難しい理由、退去後のリフォームやリノベーションによって家賃を見直す方法について解説します。



▶空室対策全体の考え方については、「空室対策リノベーション完全ガイド」で詳しく解説しています。


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▼ 目次




【本記事でお伝えする結論】


  • 税負担や経済事情、近隣相場との比較で家賃が不相当な場合は、借主に増額を請求できる。


  • 正当な理由があっても、入居中の家賃値上げは借主の理解を得にくく、成立のハードルが高い。


  • 退去後に設備や間取りを改善して付加価値を高め、募集時の家賃を見直す方法が現実的。



1.賃貸家賃値上げはできるのか?


賃貸家賃値上げはできるのか?

結論から先に申し上げますと貸主が家賃値上げ要求することは法的に認められています。根拠となるのが借地借家法で同法第32条1項には次のように明記されています。



建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相応となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額を増減を請求することができる。


貸主側の家賃値上げは認められているものの、値上げする際は「正当な理由」を示すことが条件となります。



家賃値上げ要求に必要な正当理由とは?


貸主側がただ単に家賃値上げしたいからという理由で、借主に交渉することはできません。先程もお伝えしましたが、値上げする際は「値上げが必要となる正当理由」を証拠して提示しなければなりません。



家賃値上げ要求に必要な正当理由とは以下3つを挙げることができます。



◦固定資産税が値上がりした


固定資産税は3年ごとに見直しされますが、例えば再開発/人口増加により周辺地価が上昇すると土地評価額が上がるため固定資産税も高くなります。従前より高くなったことを示すことで家賃値上げ交渉ができます。



◦家賃が相場より安い


物価上昇/再開発などで家賃が家賃相場より安くなった場合は、家賃値上げする正当理由となります。人気エリアに物件あり家賃見直しをしていない物件は、もしかしたら家賃が相場より安くなっている可能性があります。



◦その他経済事情の変動


その他の経済事情の変動とは建物/地下騰落以外の経済的な事情(物価や国民所得の変動など)のことです。物価上昇も「その他の経済事情の変動」に該当するため、家賃値上げする正当理由として考えられます。


2.正当理由があっても家賃値上げが難しいワケ


正当理由があっても家賃値上げが難しいワケ

家賃値上げ交渉はいつ行っても特に問題はありませんが、契約更新のタイミングで行うケースが最も多いです。



家賃値上げ交渉を行う場合、値上げする正当理由を記した資料を借主に送り同意を得ることになりますが、正当理由があっても家賃値上げはハードルが高いのが現実です



家賃の増額請求自体は法律上認められていますが、借主が値上げに納得しなければ、話し合いだけで新しい家賃を確定させることは難しくなります。実際の現場では、借主が従前の家賃を支払い続けることもあります。



また、値上げ交渉をきっかけに退去につながる可能性も否定できません。増額を求め続ける場合は調停などの法的手続も選択肢となりますが、解決には時間や費用がかかるため、入居中の家賃値上げは貸主にとって慎重な判断が必要です。


3.賃貸家賃値上げの基本とは?


家賃値上げの基本とは?

仮に正当な理由があっても、借主が値上げに納得しなければ、話し合いだけで新しい家賃を確定させることは難しくなります。



一方、退去後であれば、物件の資産価値を高めるリフォームやリノベーションを行い、新たな募集条件として家賃を見直すことができます。これが本記事で考える家賃値上げの基本です。



弊社でも、入居中の家賃値上げではなく、退去後にリフォームやリノベーションによって物件の資産価値を高めた上で、募集条件を見直す方法を基本としてきました。その結果、付加価値に見合った家賃設定でも入居につながった経験から、入居中の値上げ交渉より現実的な方法と考えています。



賃貸物件の資産価値は、築年数の経過に伴って低下する傾向があり、賃料にも下げ圧力がかかります。三井住友トラスト基礎研究所が東京23区の賃貸マンションを対象に行った調査では、築0~25年の賃料下落率は平均で概ね年1%前後とされています。



ただし、賃料の下落幅は築年数やエリア、物件タイプ、周辺の需給状況などによって異なります。



借主は家賃だけでなく、「その家賃に見合う住まいか」を比較して物件を選びます。そのため、キッチンなどの設備、内装、間取り、デザイン性を改善して物件の付加価値を高めることで、同程度の築年数の物件との差別化につながり、募集時の家賃を見直しやすくなる場合があります。



▶リノベーションの費用対効果を判断するポイントについては、関連記事賃貸リノベーション空室対策は費用対効果は期待できる?で詳しく解説しています。


設備リフォーム/リノベーションが効果的になる築年数とは?


築20年以上の物件では、建築当時の設備や間取りが現在の入居者ニーズと合わなくなっていることがあります。



そのため、借主から選ばれにくくなっている原因を確認した上で、キッチンなどの設備、内装、間取りを改善することで、同程度の築年数の物件との差別化につながり、募集家賃を見直しやすくなる場合があります。



▶築年数が経過した賃貸物件のキッチンを改善する方法については、関連記事【賃貸オーナー向け】狭い賃貸キッチンリフォーム成功事例!リメイクシートを超えた差別化戦略で紹介しています。


リノベーション後の家賃は類似する新築物件を基準に考える


設備リフォームやリノベーションによって物件の付加価値を高めると、同程度の築年数の物件と比べて募集家賃を見直しやすくなります。ただし、リノベーション後の適正家賃は、物件の立地、構造、間取り、広さ、設備、内装などによって異なります。



賃貸リノベーションを手掛けるエイムズでは、フルリノベーション後の家賃について、類似する新築物件の約8割を一つの目安とし、外装まで改修した場合は約9割まで上げられることが多いとしています。



ただし、これは一律の上限ではないため、周辺の競合物件や成約賃料を調査した上で判断することが重要です。



▶家賃アップにつながりやすい人気設備については、関連記事「【賃貸オーナー必見】人気設備導入すれば家賃相場より高くても決まる?」で詳しく紹介しています。



▶実際に弊社が家賃改善を行った事例は、「空室対策リノベーション実績」で紹介しています。


4.まとめ


今回は、賃貸物件の家賃値上げが認められる条件、値上げ交渉が難しい理由、退去後のリフォームやリノベーションによって家賃を見直す方法について、お伝えしました。



インフレ状態が続けば家賃値上げの正当理由になるため借主に交渉することができます。ただ昨今のインフレは「悪いインフレ」(給与が増えず物価だけ上昇している)のため、家賃値上げを要求するとかえって逆効果(退去のきっかけをつくる)となってしまう可能性があります。



そのため家賃値上げをする場合は、入居中ではなく退去後資産価値を高めるリフォーム/リノベーションを行うのが効果的と言えます。




今回ご紹介した内容は、私自身が1993年築のアパートを運営する中で実践し、試行錯誤を重ねながら取り組んできた空室対策です。



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空室対策コンサルタント 有限会社山長

有限会社山長 長田 穣

取締役 長田 穣(オサダミノル)    空室対策コンサルタント


1993年に祖父が建設した3棟のアパートを、2007年に突如相続。当時は赤字経営に陥り、修繕費すら捻出できない絶望的な状況からのスタートでした。


暗中模索の中、2018年より独自の「高付加価値リノベーション」を本格開始。


その結果、2020年以降はリノベーション前の入居率77%から、年間平均95%以上へと大きく改善しました。築30年以上の物件ながら、周辺相場より10%以上高い家賃設定で「年間収入430万円アップ」を達成しています。


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現在は、山梨県内を中心に空室対策コンサルタントとして活動。自ら苦境を乗り越えた「大家の痛みがわかる専門家」として、コストを抑えつつ物件収益を最大化する、持続可能な満室経営をサポートしています。


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