top of page

空室対策の同質化がもたらす危険性とは?

更新日:9月15日


賃貸物件は、借主が契約を結ばない限り、家賃収入が発生することはありません。



そのため、空室期間を短縮させるためには、効果的な空室対策を実施することが重要です。特に近年の賃貸市場では、物件供給数が飽和状態にあるため、築年数が浅い物件であっても適切な対策を行わなければ、早期客付けは難しくなります。



空室対策のポイントは「内見者や借主が魅力を感じる部屋作り」であるものの、築年数によって必要な対応方法が異なります。



空室対策は築年数に応じて対応が異なる


例えば、賃貸物件の設備に関する減価償却期間は15年~20年程度が多く、物件築年数がこの期間内であれば、設備の利便性や機能性が大きく劣化していることは考えにくいです。



そのため築20年以下の物件であれば、表装リフォームをきちんと行うことで、早期に借主を見つける可能性が高まります。




しかし築年数が20年以上の物件では、設備の減価償却が終了し部屋自体が現代のライフスタイルとは合わなくなっているため、新築物件と比較すると機能性や利便性が明らかに劣ります。



そのため、表装リフォームだけでは早期客付けは難しく、家賃の大幅に値下げが求められることも少なくありません。



また、近年の物件供給過剰な状態では、家賃を値下げしても必ずしも空室を解消させるケースが少ないのが現状です。



近年の賃貸市場では、ホースステージングが注目されている


このような状況下で、近年注目されている空室対策として、ホームステージングが挙げられます。



ホームステージングとは、募集中の部屋に「おしゃれな家具や雑貨」を配置し、入居後の生活イメージを具体的に想像してもらう手法のことです。



もともとは、戸建て住宅や分譲マンションの購買促進ツールとして用いられたものですが、近年では賃貸業界でも導入されており、多くの早期客付け成功事例があります。



さらにこのホームステージングにかける費用は、概ね「家賃1か月分程度」と、費用対効果の高い対策として注目されています。



ホームステージング頼みの集客は危険

弊社としては、この手法のみを用いた空室対策には、警鐘を鳴らしています。



その理由として、弊社は賃貸空室率が30%台の山梨県で、築30年以上経過した物件を所有しながら、家賃相場を無視したリノベーションを行い、安定した収益を得ることに成功しています。



この中で得た見識から、ホームステージングだけに頼る集客方法には、一定のリスクがあると考えています。その理由については、以下の3点にまとめられます。



理由①:同質化戦略に巻き込まれる


同質化戦略に巻き込まれる


同質化戦略とは、特に業界内でのリーダーポジションを持つ企業が、その資本力を最大限に活用し、成功を収めた商品やサービスを模倣する形で、類似の商品やサービスを展開する手法のことです。



この戦略の目的は、既存の成功した商品やサービスの競争力を弱め、最終的にその市場における影響を減少させることにあります。



これにより、リーダー企業は市場の主導権を握り続けることができますが、他社は競争優位性を失う可能性があります。




ホームステージングは、比較的低予算で実施できるため、リノベーションと比較すると費用対効果の良さが際立っています。部屋の見た目を一新することで、賃貸検索サイト上での反響が増加し、さらには成約率の向上も期待できます。



しかしホームステージングが成功し早期契約に繋がる場合、それを目撃した競合物件もまた、同じ手法を取り入れてくる可能性が高いでしょう。こうした状況が生じれば、エリア内において類似したホームステージング物件は増えるため、新たな問題が発生してしまいます。



同質化となると価格競争が発生する


それは、ステージング自体資産価値が向上していないため、時間が経過するにつれて、差別化要素の価値が次第に薄れてしまいます。その結果、市場は価格競争に突入しやすくなり、物件間の競争激化を招く可能性があります。



価格競争は収益性を大幅に削減する恐れがあり、貸主にとっては避けたい展開です。さらに、ホームステージング集客を積極的に推奨している「空室対策コンサルタント」の中には、このような同質化によるリスクについて、十分な考慮がされていない場合も見受けられます。



その結果、市場の家賃相場を徹底的に意識した集客戦略を取らざるを得なくなり、収益最大化といった選択肢は難しくなる可能性があります。


▶同質化の懸念に関しては、過去記事をご覧下さい。




理由②:コンビニと同じ運命をたどる可能性


ree

大手コンビニ業界では、「ドミナント戦略」と呼ばれる手法を採用しています。



これはチェーンストアが「一定のエリアに集中的に出店」することで、競合他社の入り込む余地をなくすことですが、同じ戦略を他社が採る場合、結果的に「カニバリゼーション」を引き起こし、一店舗当たりの売上が減少するリスクがあります。




▶ドミナント戦略に関しては、下記記事をご覧ください。




では、これを賃貸業界で当てはめて考えてみると、どうなるでしょうか?



例えば、近隣エリアに似たような条件を持つホームステージング済みの物件が複数ある場合、差別化を図ろるつもりでも、結果として同質化してしまいます。



ホームステージングそのものに特段の付加価値がない場合、顧客は自然と家賃が安い物件を選ぶ傾向が強くなります。



さらに、客付けできたとしても、物件自体に大きな魅力がなく、機能性や利便性にも優れていなければ、契約更新時に家賃値下げを要求される可能性が高まります。その結果、継続的な長期入居が難しくなり、安定した家賃収入を確保することが困難になってしまうでしょう。



理由③:重大事故が発生しやすくなる


重大事故が発生しやすくなる

築20年以上が経過すると、物件の外壁や屋根の劣化が目立ち始める他、水回り設備の老朽化も次第に深刻な問題となる傾向があります。このような状況では、部材の損傷や設備の不具合が原因でトラブルが発生する確率が高くなります。



しかし定期的なリフォームやリノベーション、さらにはメンテナンスを行うことで、早期に劣化箇所を発見し、適切な対応を取ることができます。



その結果、建物寿命を延ばすことができるだけでなく、重大な事故やトラブルを事前に予防するという、多方面の安全性確保にもつながります。


ステージングは最低限のリフォームしかしないため、建具トラブルが発生しやすい

一方で、ホームステージングによる集客を目的とした場合、基本的には最低限の範囲しかリフォームが実施されていないことが多く、内装の見栄えを整えることに主眼が置かれている傾向があります。



この結果、表面化しない部分や、目視では確認できない箇所に潜む劣化や問題点を発見することが難しくなることがあります。そのため入居後に、想定外のトラブルや重大事故が発生するリスクが高まる可能性があります。







同質化から抜け出すためには、競合他社が簡単に模倣できないほどの、明確な差別化を実現することが不可欠です。



差別化戦略は、築古物件が生き残る唯一の方法


弊社物件がある山梨県は、賃貸空室率が約3割に達するという厳しい状況が続いています。このエリアの賃貸市場は、1990年~2000年代に建築された物件が多いため、価格競争が激しくなっているのが特徴です。



弊社物件も築年数が経過しており、築年数だけを見れば、稼働率や収益性が低下していると捉えられるかもしれません。しかし実際には、2020年以降は4期連続で増収増益を達成し、物件稼働率は95%以上を維持し続けています。



この実績を支えているのは、徹底した差別化戦略による集客と、価値を引き上げるリノベーションの実施です。これにより、市場で他社との差別化に成功し、高い競争力を保ち続けています。


▶弊社が行ってきた空室対策の全貌は、過去記事をご覧下さい。






今回は「空室対策の同質化がもたらす危険性」について、お伝えしました。



競合物件と同じような空室対策を行うと、客付けできるかもしれませんが、価格競争に巻き込まれやすくなるため、結果的には家賃の値下げを繰り返すことになります。これでは、収益性が大いに悪化してしまい、長期的な経営にも影響が出かねません。



一方で、差別化戦略を導入することで状況は一変します。



他社物件が簡単に真似できない魅力を持たせることで、物件そのものの価値が大きく向上します。この価値の向上によって、仮に家賃を値上げしたとしても、十分な集客を維持することが可能になります。



さらには、そうした差別化が収益性の改善に大きく貢献し、安定した経営基盤の確立に繋がるでしょう。



空室対策には、自社独自の視点を取り入れることが重要です。同じ土俵で戦うのではなく、他にはない価値を提供することで、一歩先を見据えた収益改善を目指してみてはいかがでしょうか?




今回ご紹介した内容を実践して頂ければ確実に効果は期待できますが、「こんなのどこから手をつけていいかわからない!」という方もいらっしゃるのではないかと思います。


そんな時は私ども(有)山長の「お手軽無料相談」をご利用ください。


過度なメール配信、強引な営業活動等は一切行なっておりませんのでどうか安心してご相談ください。







ree
ree

取締役 長田 穣(オサダミノル)

アパート経営、空室対策コンサルタント


あなたのアパート経営を支援させていただきます!


▶︎〒400-0053 山梨県甲府市大里町2090

▶︎まずはお気軽にお問い合わせください

055-241-2218

090-8514-3562



コメント

コメントが読み込まれませんでした。
技術的な問題があったようです。お手数ですが、再度接続するか、ページを再読み込みしてださい。
bottom of page